それは、とある土曜日のお昼すぎ。都心は相変わらずの梅雨空、そぼ降る雨に道端のクスノキもしっとりと葉を濡らしている。
神田川のほとり、飯田橋の歩道橋のたもと。首都高速とその下の目白通りをひっきりなしに走り抜ける車の列を横目に見ながら、自分は立ち食いそば屋の暖簾をくぐった。申し訳程度についている青い軒には、年季の入った「肉そば」の文字。ここの厚肉そばが評判だと、いつかのTwitterで美味しそうに漫画仕立てで書かれていたのを読んで、ふらっと食べに寄ったのだ。(どうやって来たかって?(*^▽^*)\ テヘ
「すいません、厚肉そばを一つください」
「あ、同じのもう一つください……」
自分のすぐ後にもお客さんが入ってきた。小さいながら、結構人気店のようだ。 と思ってふとその人を見て、狭いカウンターの前で自分は思わず後ろに飛びすさり壁に背中をぶつけた。(痛い)
その人は露骨に眉をひそめてこちらを眺め、目の辺りに迷惑そうな表情をありありと浮かべている。【なんだこいつ、この前のどこでもドアのうさんくさいやつじゃないか……】という心の声が聞こえてきそうだ。服装はというと首元が伸び気味なTシャツにファンシーなスヌーピー柄の青いシャツを羽織った、30年輩のやせた男の人。どこかで見かけた黒いリュックに青い紐靴。前、見えてます?と思う位に緩くウェーブを描いて伸びた前髪。黒縁の度のきつそうな眼鏡。
それは他でもない、ござさんだった。
「ござさんは、ご自宅の近くのケバブを食べて生きてると思ってましたけど?」
気が付いたら自分は咄嗟に悪態をついていた。あーこんな事言いたいんじゃないのに!
「僕もラーメンにコンビニ、ちゃんとメニューを変えて健康には気を付けてます」
「(うーん……どの辺が健康なんだろ…?)」
「だいたい、うどん県民のくせしてどうしてこんな店に?」
「あ、これ使ったんですよ。科学忍者隊ガッチャピンに連れてきてもらいました」
と言って自分はバッグから新しいアイテムを取り出した。といっても外見は、スーパーの単なる景品。使い込まれたよれよれの保冷バッグ。
「この中に入ると忍者よろしくどこでも潜り込めますから。サイズがちょっと小さめですけどね、さすが科学忍者隊、神出鬼没です。ここの肉そばが以前からどうしても気になってて……ここ、昭和な店構えもノスタルジックでいい感じですよね」
「ほぉーーーん……?(意訳:いい年して何言ってるんだ騙されないぞ)」
「信用していただけないとは心外ですね。この間の配信でハッスルとか言ってた昭和な人に比べれば、このアイテムは断然最新版ですよ」
「ガッチャピンなんて所詮20年前のキャラじゃないですか、どこが最新なんですか?」
なにか暗雲が立ち込めている……自分はそんな雰囲気はお構いなしに、ここぞとばかりに機関銃のようにしゃべり始めた。旨い、早いが立ち食いそば屋の売りだというのにカウンターで話し込んで、店にとっても甚だ迷惑な客である。
「ここで会ったが百年目です。ござさんこの間、生配信の時間まちがえてませんでした?Twitterの告知が8時半で、Youtubeのサイトに行ってみると8時ってなってましたよね。で、いつまでたっても始まらない。Twitterで後で9時半って告知きましたけど、Youtube画面は8時のままでした。」
「あーそうですね、重ね重ねお詫び申し上げます」
「ここで謝罪したってしょうがないでしょ」
「(じゃあ、どうしろっていうんだ)」
ーー ↓↓↓ 以下、自分の機関銃トークーー
「同時視聴者数見ました?最近2500人~2700人くらいはいつも見てくれてたんですよ。で、今回多くても2100人くらいでした。その差少なくとも400人はどこ行っちゃったんですか?ツイッターフォローするほどのファンではない通りすがりの人は告知なんて知らないだろうし、チャンネル開けても始まらないし、待っててくれたとしても途中で諦めてどっか行っちゃったんじゃないんですか?」
「それに、【ねぴらぼお得セット】ってどういう事か説明してもらいましょうか。夏とか冬とかいつだっけ?という寝言は寝てから言ってください。
配信とはいえあのレベル、あの規模でのライブはピアノ界にとってはもはや革命というか事件と言っていい。前衛的すぎて世間がついてこない気がします。有料だから宣伝しないとチケット買ってくれないし、ライブがどんなにすごくても見てくれないと意味ない。「最近なんか再版されたらしいですよ」って他人事かい!じゃなくて、あのねぴらぼ副音声版は一般人向け商材として画期的です。出演者4人の飾らないトークで、かつ噛み砕いて解説されてる。専門的な音楽知識を持ってなくても楽しめる格好の素材です。どのへんがinventionなのか世の中に広く訴求できる、これ以上ないチャンス。生配信の中でとはいえ、何でちゃんと紹介しないんですか?クラシック界以上にセオリーが存在しないYoutuberは、自分の個性をアピールしていかないと生き残れませんよ。純粋に実力社会ですからね。恩師も派閥も関係ない。聴衆を味方につけられるかどうかです。別に大衆的に売り込んだらなんて言ってません、別に。
お得セットなんて言い方、あんまりだって言いたいだけです。
控えめなのが日本人の美徳?はあ?誰に遠慮してるんですか、宣伝できるのに黙ってるのは単に職務上の怠慢です。
しょうがないですね、チケット販売サイトのリンクと、ねぴらぼinventionライブの自分の感想記事でも貼っときます。あ、これ本当はござさんはじめ関係者が大々的にプレゼンすべき内容ですからね、お忘れなく。ただ、自分もまだ副音声版は聞き込めてないんで、それはすいません謝りますが」
※2020/7/24のねぴらぼ公演:副音声版
NEO PIANO CO.LABO.(ねぴらぼ) 完全版~副音声付~ チケット受付ページ
※2021/2/11のねぴらぼinvention副音声版
NEO PIANO CO.LABO. “Invention” ~完全版~ 副音声付き - イープラス
※ねぴらぼ公式HP
NEO PIANO CO.LABO. "Invention" 配信ライブ特設サイト
※ねぴらぼinvention について自分の感想
「……なんで配信時間を少々間違えたとかその程度でこんなにブツブツと言ってるのかというと。しかも、たかだかYoutube配信ごときで。無料で聴けるというのに。」
「結論から言うとござさんのピアノが好きなので。
それだけ。
………なので、今ピアノ演奏というか音楽活動を職業にしてもらって、リスナーとしては色んなござさんの演奏を思う存分堪能させてもらってるこの贅沢な環境、失いたくないと思うわけです。ござさんにとっても大好きなはずの音楽活動、息長く続けてもらいたいと思うんです。
そのためには職業として続けていくための演奏以外の地固めというか社会人として最低限の常識を守ってないと、特にサラリーマンと違ってセオリーがないように見えるその業界は、見えないマナーとかあると思うんです。
って理屈っぽい御託を並べてますが、要するにござさんの演奏が、今見る限りその実力に対してどう見ても埋もれてるようにしか見えないので、もっと広く注目してもらいたい一心で言ってるんです。自分みたいな単なる素人じゃなくて、もっと専門的に分かる人にござさんを知ってもらいたいんです」
ーーここまで自分のマシンガントークーー
「はーい、厚肉そばのお客さん、お待ち~~~~!」
そうやって舌戦を交わし、不毛な戦いを続けているところにアツアツの厚肉そばがカウンターへ並べられた。お店の人はその場を支配する尖った空気に恐れをなして、会話のすき間を狙っていたとしか思えない。
「・・・・・」
食べてる間は静かである。美味しい物を前にすると人類みな平等、世の中平和なものである。6月のまだ肌寒さを感じるひんやりした空気の中、あたたかいダシが体に染みる。(くれぐれも風味を感じるにとどめ、ダシを飲んではいけない)
「この分厚いお肉が食べたかったんです~!おそば屋って自分の地元にあまり無くって、カウンターで食べれるって手軽でいいですねー!お値段も良心的です、又来ますねー」
「まいど~~!お客さんありがとねー」
自分は支払いを終え、ござさんに続いて外へ出た。歩道橋にならんで車の流れを眺めつつ、バッグから午後の紅茶レモンティーを一本出してござさんへ渡す。
「これでさっぱりお口直しして下さい。あ、自分はこれから神宮でヤクルト巨人戦でも見てきます。ござさんは曲作りでお忙しそうですね?」
「あ、ドリンクどうも。……そーだな、あまりにも最近家にカンヅメだったから気晴らしに出てきたってのはあるかな…」
「細かいことは置いといて、一つだけ言いたいんですけど。」
「(一体僕が何したっていうんだ……?)」
「音大の先生に殴られそうって何ですか?これ以上ブツブツ言うなら自分にも考えがあります。
もう音楽専業の宣言されてから1年以上経つんですよ。普段練習されてるジャンルだって他にも色々やってますよね。それを楽しみに、ござさんの生配信には色んなジャンルのファンが聴きにこられてるんです。もうちょっとピアニストとして自信持ってください。逆に言えばクラシック畑の人にはない絶対的アピールポイントがござさんにはある。それが最強の武器です。自分は生配信聴いてて、イラッとするあまり、もう少しでヘッドホンのコード引きちぎる所でしたよ」
「でもリクエストして下さってるファンの皆さんにはちょっとでもいい演奏を届けなきゃ……そうすると、僕のクラシック演奏はまだまだ……」
…プチッ(# ゚Д゚)シツコイナ・・・≪まだ言ってるよこの人≫
「あと、ついでに言えば 髪形 も。ねぴらぼでセンター分けがお気に召したようですが、最近パーマ?も取れてきたし、ストレートアイロンは全然うまく掛けれてないと思うし、ここはひとつ去年秋頃の、さわやかな短髪はいかがですか。無人島生活100日目とか、笑えない冗談はやめてください」
「うーん、最近また自粛っていう世の中だし、美容院ねえ…そのうち髪型は考えます」
そういってござさんは地下鉄乗り場への入口へと姿を消していった。
自分が神宮へ観戦しに行くのは、単にここ飯田橋からアクセスがいいからである。本来推してるチームのカープは5位と6位を行ったり来たりしているが、そんなことはファンである自分にはさしたる問題ではない。強いチームが好きならとっくに巨人を応援しているだろう。何でカープを応援してるかって聞かれても……理由はわからない。
推してる理由が説明できないという点で、ござさんと一緒である。
(カープの地元広島市に行くとこういうマンホールがある。その柄のコースター)
自分も午後の紅茶ミルクティーを口にしてから中央線の改札をくぐった。都会は何かとせかせかしててどうにも自分は水が合わないが、電車が充実してる点だけは羨ましい事この上ない。辺境の地では20~30分に1本しか電車はこないから。さて信濃町でJRから降り、運動不足だしそのまま神宮外苑の中をゆっくり球場に向かって歩いていくことにした。近くのテニスコートからは、爽やかなラケットの音がこだましている。
と、このように偶然ではあるが自分はござさんにばったり会って言いたい事が言えて雑念が消え、憑きものが落ちたようにすっきりした。
いや……普段の自分は思ってる事と正反対のことを言うタイプだ。というか真の本音は絶対言わない、といった方が正しい。
外苑の木々の間を散策しながら、じゃあ本音って何だったのか?考えてみた。
本音は、今回のござさんのJAZZ格好よかった って言いたかっただけだ。それだけ言えばよかったのに何でああなったんだ?
【※参考までに、今回弾いてくれたJAZZの原曲リンク。ピアノソロは競技人口が少ないので、このリンクはほとんどが本来のJAZZセッションです。】
A列車で行こう(Duke Ellington, "Take the A Train" - YouTube)
サマータイム (Oscar Peterson - Summertime - YouTube)
Room 335 (Larry Carlton - Room 335 - YouTube)
Some Skunk Funk(Brecker Brothers Live In Barcelona - Some Skunk Funk - YouTube)
Giant steps(Giant Steps - YouTube)
Caribe(Michel Camilo Trio: Caribe (live in Munich, 1990) - YouTube)
XYZ(HIROMI UEHARA "XYZ" - YouTube)
なんでJAZZをござさんが弾くと、そんなにかっこいいんだろ。⬇️この動画でも冒頭で「JAZZはまず雰囲気作りがだいじ」と述べられている。ふむふむ。違和感ゼロ?!都庁でジャズメドレーに【あの曲】を混ぜてみた結果…? - YouTube
黒人音楽がルーツのJAZZは、どこかに陰がある。(……というと人種差別になるのだけど当時の歴史的経過を振り返りたいだけで音楽以外の深い意味はありません、ご了承ください。)その背景は大航海時代以降、西アフリカの奴隷海岸からカリブ海を経て南部アメリカへ連れてこられた黒人奴隷に端を発する音楽。黒人霊歌とか労働時の歌がルーツらしい。そういや高校生の時に「風と共に去りぬ」を読んだが、今考えると余り好意的ではないイメージで黒人奴隷が描かれていた。それは南北戦争が背景の1860年代。
【※参考リンク: ジャズ入門 ジャズの歴史 誕生 - @jazz】
サマータイムの旋律がけだるいのは、夏の夜の熱気を表現しているから、だけではない。 どの曲も明るくテンポよく進んでいても、どこか和音に素直な綺麗な響きとは言い難い引っ掛かりを感じる。
その時代背景に存在したのは、黒人が奴隷として扱われていたアメリカ南部の劣悪な労働環境と、世代を超えて厳然と存在した人種差別。人権もなく抑圧された報われない状況の中、自然発生的に(?)黒人文化の中から形成されていった魂の叫びみたいなものだろうか?
ござさん特有の透き通るみたいなグランドピアノの音で奏でられる、哀愁を帯びたブルース。独特のタメを効かせて左手で刻まれるストライドのリズム、古き良き時代の(アメリカ風に言うと)スタンダードJAZZの雰囲気。
(昭和歌謡を聴いていても同様だが)つくづく思う。何でこの若さでこういう陰のあるアレンジができるのだろう。人生のあらゆる苦難をかみしめてきたような、喜怒哀楽のすべてを経験しある意味達観したようなその渋いアレンジと展開はどこからくるんだろう。まるで未来を見透かしているかのようだ。
そこから一気にファンクとラテン、XYZのような現代曲まで一気に息もつかせない疾走感。
アドリブでずっと飛ばしっぱなし。すごすぎる。
グランドピアノ特有の一つ一つはっきり聞こえる音、高速アドリブが展開されてもシビアに指の動きを拾う。鋭い刃物の様に刺さってくる響き。
途中で展開なんだっけなどという雰囲気に水を差すござさんののどかな呟きさえなければ、見ているこちらはずっと固唾を呑んで鍵盤の上を突っ走るござさんの手を見守るだけ、息するのも忘れそう、瞬きもできない。
所謂気を吐いているというか、後ろからのカメラなのでござさんの表情が読み取れないがその後姿からは火焔が立ち昇る。
鬼気迫る雰囲気である。
参考イメージ:火焔山(西遊記の舞台となったと考えられる場所)
参考リンク: 火焔山 - Wikipedia
ござさんの背中に火焔が見えるなら。
その手には青龍が宿る。
即興が徐々に熱を帯びてござさんの手が鋭くひらめくと召喚されてくる、古代中国に端を発する神獣。
風を切って短い鬣を翻すと微かな残響と共に華麗なアルペジオに姿を変え、またその鋭い爪は怒涛の同音連打となって鍵盤に刺さる。
瑠璃色の咆哮がグランドピアノ全体をまるで地響きのように揺るがし、また龍の目からは極彩色の閃光がまばゆい輝きを放つ。
攻めたベースラインは重い闇の色をした漆黒の稲妻となって目の前の空間を切り裂くが、その闇は自らをも蝕む諸刃の剣。
中国の神獣とは即ち玄武に白虎、朱雀に青龍。あれだ、高松塚古墳とかに描かれてるので有名なやつだ。元の壁画の損傷がひどすぎて見えないので、似たやつの復元図。
※左側の壁画リンク:東壁青龍 | 文化庁


※右側のイラストリンク:
キトラ古墳「青竜」の復元図公開/最新写真も | 全国ニュース | 四国新聞社
そんなことを考えながら歩いていると、いつしか神宮球場に着いていた。今日の楽しみはつば九郎に会う事である。むしろ今日の目的の半分はそれだ。
ヤクルトファンでない自分はそっと三塁内野席に座る。もちろん指定席。チケットは例の忍者に頼んで手配済みである。ヤクルト選手の中では密かに気に入ってる、石山本願寺の和尚のイラスト入りサワーを飲みながら、客席からヤクルト選手の練習風景を眺めていた。
幸い雨脚は遠ざかっているようだ。
そもそも野球というアスリートの世界こそ、この一軍のスポットライトの当たる舞台で活躍できるのは競技人口の中でも本当に一握りというか一つまみである。
その生き残りを賭けた戦いはまるで生き馬の目を抜くような激しさだ。
Youtuberの世界も同じようなものだろう。不必要に他人と比べなくていい業界だとは思うが、だからこそ逆に言えば個性が無いとすぐに同業他者と区別されなくなって埋もれていくに違いない。ござさん?そこは安心して応援できること請け合いだ。(ただ壊滅的にもともとの宣伝が足りない)
ヤクルトスワローズ。ここも3冠王を取ったことがある山田選手、若くして打線の中軸村上選手、特徴的な投球フォームのライアン小川投手等、人気選手には事欠かない。だからといってチームがダントツトップで優勝できるかというとそうでもないなあ、とサワーを飲み唐揚げを食べつつ考えるのだった。
ござさん。最近ペース配分もこなれたものである。
サムスカにCaribe、XYZときて体力的に厳しい局面になると「ちょっと癒し系にしましょう」ということでボサノバ調夏祭りをスマートにその展開に組み込んでくる。いつぞや言ってた「ゆったりJAZZやボサノバアレンジがあれば、スタミナの調整はどうとでもなりますから」ということだ。
この辺、職業演奏家としてその手法も板についてきたといった所か、いやほんとにこれであとちょっと宣伝さえしてくれたら……!と思って自分はいつもやきもきして気を揉んでいる。
ただ調べれば調べるほど、JAZZの世界は奥深い。自分は、学生時代以来足を踏み入れると恐らく出てこれなくなる予感がしてわざとJAZZには一切関わってこなかった。
そのジャンルもあらゆる表現を網羅できるほどに幅広く底知れない。
今回ちょっと見てみただけでその魅力は尽きない事に気づいてしまった。どうしよう吹奏楽の世界も面白いが、さらに奥が深いかもしれない。
やばい、ほんとに出てこれないかもしれない。
ミーハーとでも何とでも言ってください。
≪余談 ピアノから離れます≫
6月という季節。
前回6/16の配信ではワダツミの木、今回は涙そうそうを弾いてくれた。それは沖縄にゆかりの曲である。
どちらも最近の現代の曲だが、 自分的には6月に沖縄とくれば、第2次世界大戦の沖縄戦しか思い浮かばない。要するに日本で唯一、地上戦が展開された場所である。
4月1日連合軍の上陸開始から6月20日まで。軍人以上に民間人が犠牲になっている事実。
日本側の軍隊は早々に機能を失い、現実的には民間人は家も家族も失って食料も無い中原野を逃げ回ったという方が正しい。そんな中戦闘に巻き込まれるというより飢えとかで命を落とした人も多いはず。
それに戦後敗戦国となった代償として、沖縄は返還されるまで日本ですらなかった。
現在修学旅行とか観光地として人気(コロナ流行の今はそういった需要が消え経済的に詰んでいると思われるけど)の地だが、そういう現実があったっていう事は忘れないようにしよう、と思う(個人的に)
そう思ってひめゆりの塔:香川恵子主演(昭和28年)のビデオを去年修学旅行の計画があった中三男子に見せて予習させとこうと思ったら、修学旅行自体が中止になり、結局戦争について考えさせる機会を失った。まあDVDだしそのうち見せて、こういうことが日本でもあったんだよーって話をしとこう。
主人公たちは高1男子とあまり年も変わらない。あの映画でもかなり美化されていると思うけど、戦争の現実をまだしっかり描いているほうではないかと思うので、見てもらって考えてもらおう。