ござさんの魅力を語る部屋

ピアニストござさんについて、熱く語ります

後ろ向きな会話

急に肌寒さを覚えるようになった今日この頃。

自分はとある本郷のカフェラウンジに、コーヒーでも飲もうと思ってぶらっと立ち寄った。向かい側のT大の東洋文化研究所の図書室に、予約枠を確保してお目当ての本を閲覧に行った帰り、きれいに晴れた秋の昼下がりである。

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うどん県民の自分が何でそんなとこにいるかって?ちょっとこれに入って移動したんです。使わない時は折りたたんでバックに入る優れものです。

 

店は平日のためかそれほど混んでいなかったので、席についてほどなくすると店員らしき人がメニューを運んできてくれた。

ここはピアノの生演奏が楽しめる穴場だ。ゆったりと流れる優雅なひととき。

そうだな、ケーキセットにしようかな?♪♬ 🍰

ふと店員が差し出してくれたメニューを見ると、そこには謎のメモが挟まれている。

「今から黙って出口まで歩け。会計はしなくていい。」

はっと気づいた時には遅かった。咄嗟に振り返って店の外を見るとそこには怪しげな見知った顔、言わずと知れたJ・Gさんとその仲間Iさんの姿。

さすがは秘密結社、やることがぬかりない。こうしてあえなく自分は逃亡に失敗したのであった。

 

※以下、

J・Gさん Iさん 

【自分は この色(≧▽≦)】

という色分けで会話文が進行します。

 

というわけでここは秘密結社のアジト、都内の某オフィスビルの地下。

 

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まもなく、何やら小ぶりの清楚なスイーツがコーヒーに添えられてテーブルに載せられた。さっきのカフェで注文しそびれたケーキセットの代わりのつもりか?

赤坂見附の名店、しろたえのレアチーズケーキです。ささ、どうぞ」

自分は冷ややかな目でそれを一瞥してから視線を前に戻す。

「ここで出されるお菓子なんて、怪しくて手をつけられますかって……(なんか入ってるでしょ)それもいいですがウチが好きなのは銀座マキシムのナポレオンパイですし。」

「あーっお客さん、すいませんねぇぇ……マキシムはつい数年前閉店しちゃって(泣)」

 

ええぇ…まじで?(立ち直れない)

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「なんか故意に話題を逸らしてません?」

「えぇ……つい心の叫びが……」

 

 

 

「それよりも、ネタは上がってるんですよ。こんなのを巷で見かけたんですけどね?」


「ピアノ界にガセネタに近いデマを振りまくのはやめてもらいましょうか。せっかく今イイ感じで世間一般に広くピアノが、音楽が認知されようとしてるのに!何ですかこの時流に逆らうようなインチキ記事は?」

「音楽に携わる人は日夜研鑽をつんでお互い真剣に切磋琢磨しあって成長してるんですよ。なんですか、その真剣勝負をこんなイベントにでもして有料にしてしまえとかいう荒唐無稽なたわごとは?」

 

「だって他の何の分野でも世界トップレベルの戦いとくれば、鑑賞するには料金がいるでしょ?オリンピックがTVで流れてるのは有力企業がスポンサーについてくれてるからですよ。何するにも資金が無いと始まりません(オリンピックは運営を国がやってるからあれは正確には税金が資金です)。」

「有料にするなら、方法はいくらでもあります。今はブロードバンドで世界中がつながってるのだから、amazon プライムなりYoutube Premiumなり、動画配信で収益を上げる方法はあるはずです。」

 

「しかしこの規模で視聴されてるのは無料だからこそでは?」「色々な人の、色々な演奏で多様な曲を聴いてもらうことで、これを機にクラシックに興味を抱く人もいるかもしれませんよね。」

 

「参加者は何から何まで自己負担じゃないですか?渡航費用から、滞在も何日かかると思ってるんですか?練習場は?」

 

腕に覚えのある若い人は、我こそはと競って名乗りをあげ、決戦に挑むのです。」

「どの世界でも、どんな手段を使ってでも決着はつけられなければなりません。

「このコンクールで実力が認められれば世界中に存在が認識されるでしょうからね。」

 

「実力を認められるって、誰に?」

「審査員です。名だたる演奏家が名を連ねていますから評価は確かです。」

 

「そんな誰かに評価されるのを意識した、勝負が目的の演奏とか興味ないです。」

 

「まあ彼らの演奏を聴いてごらんなさい。そんな周りの顔色を気にしてる人は予選にも上がって来てませんから。」

「結局のところ自分自身を自然に表現できてる人の演奏が一番魅力的なんですよ。」

 

「でもねえ、曲の解釈とかそもそも知りませんし。ネットがあれば手軽に聞き流して楽しめるので、アーカイブも残ってるしBGMにして聴いてますけど。」

 

なんともったいない・・・!」

「演奏動画では鍵盤と手元も映ってて、演奏するときの姿勢とかリズムの微妙な取り方、手の形、音に表情をつける時の色々なタッチがばっちり見えるから、非常に参考になるんですよ?」

「あなたもピアノ練習してるんでしょ?」

「ちょっと見習ったらいかがですか?」

 

「だから、そういういかにもピアノ教室でないと習得できなさそうな専門的なことが動画見たら分かるなら、なおさら有料で動画配信すればいいのに……」

 

「ほらこのへんでブツブツいうのをやめて下されば、名店の天丼が食べれますよ?」

Uber Eatsで出来たてが届けられましたので。」

 

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「もーだからこの話題は平行線ですよ。」

「あの膨大なクラシックの知識は今更習って身に付くものじゃありません。今自分がピアノを聴いてるのも練習してるのも、楽しいからです。それ以上の高尚な目的は自分にはありません。」

 

 

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こうして談合は決裂し、無事に自分は秘密結社のアジトから無罪放免となったのだった。よかったよかった。どうなる事かと思った。

 

ふとそこで、ほっとしたので路上のフリーペーパースタンドから何気なく1枚を手に取って読んでみた。

そこには特集記事が組まれているようだった。

 

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ふむふむ筆者は、ピアニスト……?

はあ、パリへ留学……国内外で広く活躍…?やっぱ主な活動の舞台はヨーロッパなのねぇ……などと月並みな感想がちらっと頭をかすめた。

 

ふむふむ……要約すると…?

癒し、喜び、祈り、太古の昔より人々は音楽に助けられてきた。

人間の心に大きな影響を与える音楽。

音楽を通してできる事ってなんだろう。

(中略)

ピアノとは……

10本の指で88の鍵盤をいくつも押さえてペダルも踏み、一度に莫大な情報処理が行われることで脳が鍛えられ……

バランス感覚や記憶力、呼吸の制御能力、瞬発力や集中力、そして豊かな感受性が養われ…

だれでも鍵盤を押さえれば演奏でき、和音の構成も思いのままで交響楽団のような壮大な音楽を作り出すこともできる……

構造は打楽器と同じく音は減衰するけど、その減衰の過程の音色を工夫して無限の表情を創り出す…

 

音楽は世界共通の言語、地球の裏側の人とだってピアノを弾けば、感じてることを素直に意思疎通しあえる。共通の感動を分かち合うことが出来る…

 

何世紀も受け継がれてきた素晴らしい作品をこの楽器で演奏するという事は、まさに時空を超える。

 

 

この記事を読んで、さっきまで秘密結社の地下室で討論してたことは記憶のどっかへ飛んで行った。

記事の内容が素直に意識に入ってきた気がした。

そうだった、自分がいつも聴いてるネットピアノ界でも

「クラシックはあらゆる音楽の基礎となっている」「音楽の基本にして全てがクラシック音楽には網羅されてる」

って誰かが言っていたような(たぶんけいちゃんさんが。)

 

ねぴらぼinventionでも鍵盤楽器調べてみたんだった、ピアノって何百年も改良を重ねながら受け継がれてきた楽器だってことが、それで分かったんだっけ。

 

 

この記事読んで、なんで自分は音楽を昔から(分野は色々だけど)聴いてるのか、ござさんのピアノが本質的に好きなのはなぜなのか、そしてなぜ自分でもピアノ弾いてみようと思ったのか、分かったような気がした。

ござさんのピアノ動画で初めて聴いた髯ダン動画がいつまでも宝物であるように、この記事もずっと大事に持っておこう。