Web回線上のピアノリサイタル会場。
ウエルカムドリンクのごとく、ささやかに流れる音楽。
約束の時間になると続々と集まってくる人々で客席(=モニターの前)はいっぱいだ。
演奏されていたのはカブトムシ。
夏だから?
ござさんのきらきらした音と独特の間合いで再現されるaikoの歌。
切ない和音。
恋する気持ちで胸いっぱいの乙女の気持ち。
(リアル乙女だった若かりし頃カラオケでいつも歌っていたなあ)
甘酸っぱい旋律を聞きながら、
挨拶の声のさざめきに紛れて自分もこっそりコメントする。
「ござさん、こんばんは」
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ござさんは最近何やってるんだろう?
ござさんの動向はこのバーチャルインタビューにまとめてみた。
主にTwitterからの情報だけど、このバーチャルインタビューによればござさんは最近書籍を執筆しているという疑いがある。この番組 ↑↑↑ の中では本人はうなずいてないけど、状況証拠から間違いないだろう。
今回生配信の冒頭トークでさらにはっきり言及されている。
曰く
「ずっと机に向かってるから、生まれてこのかた初めてのレベルで肩凝ってる」
「今んとこ家でやるデスクワーク的な仕事たくさんあるんで」
「2.5件くらい案件抱えてますね、告知できる日はまだまだ先ですけど、いずれお出しできます」
「楽譜書いて、Wordで文章書きながら、作曲ソフトで打ち込みしつつ、イラストソフトで簡単な図を描いて、…色々要領つかむのが大変です」
さらにラストでは、
「デスクワークの成果が皆様へお届けできる日を楽しみに……あと半分くらい、あとちょっとでイイ感じになるんで、それをお待たせしてる関係者の方々へお送りして…」
ほんと嘘つけない、隠し事できない性格ですね。
そーいうところが(以下略
………ふむふむ?
アレンジかオリジナルの楽譜書いて、Wordで解説書いて、デモ音源のデータを打ち込みして、イラストで図解をやってるわけですね(たぶん)。
書くか寝てるかっていうくらい忙しいわけですね。
要するに楽譜集か、または各種アレンジの解説本か?
その過程でこうなっちゃうわけですね。
コード進行について誰かに説明するの難しい…。頭の中では理屈というより「りんごは(「赤いからりんご」ではなくりんごはそのまま)りんごです」みたいな状態で知識として収納されているので、コードについて質問が来ても「三角形はなぜ三角なんですか?」に応えるようとするな感覚になってしまう。
— ござ 🎹 (@gprza) 2022年7月21日
なるほどね。第一言語が音楽のござさんならではです。
前回の配信でも、左手は何やってるのかわかんないって言われてましたし。JAZZ風アレンジにしたいと思えば左手が自動でJAZZ風にやってくれるから考えなくていいとか何とか。
考えなくていいくらい、練習してアレンジが自分のものにできてるってことでしょうか。(そんな簡単なことじゃないよね)
話が横道にそれた。
今回書いてるのは7/23の生配信について。
ピアノ配信 リクエスト募集中 2022/07/23 - YouTube
帰ってきたメインコンテンツ
生配信が始まって早々、
「えっ?」
と自分は一瞬耳を疑った。
曲目はラジオ体操。
夏休みだから?
≪いやいやいやそんな訳ないだろ。絶対遊びたいんでしょござさん!わーいラジオ体操だーー!!≫
と自分は画面を見ながら一人で叫んだ。
ラジオ体操は数年前、視聴者数もチャンネル登録者数も少なかった頃のお馴染みのナンバー(?)である。そのころの配信の常で、どの曲もアレンジが意表を突くものが多い。
ピアノ生配信でラジオ体操が出てくる時点で既にシュールな空気が流れてるww
※ここには最もオーソドックスなラジオ体操を挙げておこう。(どっちも夏ではない)
・顔出し一人ピアノ リクエスト受付中! / Piano live 2019/11/21 - YouTube
・顔出しピアノ リクエスト受付中! / Piano live 2020/04/20 - YouTube
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爽やかな夏休みの朝、ご飯を食べて、近所の集会場に行く道に眩しく差し込み始めた日差し、カードにハンコもらって帰ると冷たいスイカが食卓に並んでいる……という昭和の夏休みを思い出す見事なラジオ体操が優雅に演奏され……てると思ったら今回はSummer(菊次郎の夏)と混ざっていた。
そういうお約束である。
髪型もおしゃれになって、服も垢抜けて、生配信の曲目も(スパチャリク廃止した事もあって)一般的な内容に変わった。それもファンが増えたから、もうござさんは人気者なんだなと思って自分は生配信を静観していた。
しかし。
最近こうやってシレっと辺りを見回して(?)、時々遊びをねじ込んでおられますね。
そのまま順調に、もっと自由になんでも好きにやっちゃってください。
ござさんの生配信の醍醐味はこれである。
次に何がくるか分からないところ。
有名な曲も、思わず唸るようなひねり方をしてくるところ。
というかそれはピアノで弾くものなの?っていう曲も入れ込んでくるところ。
ござさん曰く「魔改造してみましたテヘッ。」
何をいまさら?
元の調子に戻っただけですね。
また曰く「一人でこういう 遊び あんまりやんないから、配信の時間は貴重です」
………遊びって言ってるところが、生配信ほんとに楽しいんだなって手に取るように分かって聞いてる自分も幸せです。
そして引き続き斉藤和義さんの曲を……って言いながら遊ぶござさん。
ラジオ体操に続きSummerごちゃ混ぜメドレー、気づいたら夏の曲メドレーになっているから遊んでるだけではなく実は緻密な計算に基づいていて、自分らは単にござさんの掌の上で転がされていたのだった。えー??またSummerアレンジですかー?って思って本当にすいませんでした。
そしてこの爽やかなSummerアレンジメドレーとは別に、配信の最後にJAZZ風夏の曲メドレーもやってくれた。ラジオ体操よりも辺りを気にしてなくてwww、さらにのびのびと魔改造して遊んでる所が楽しそうで何よりです。
もう何でもありだ(いつものことだ)。
曰く「和音をJAZZ風に変え、左手をウォーキングベースにしたり、ラテン風の曲とか、ブルースの曲も入れて、……」って遊んでるのだろうか。シレっと唱歌とかまで入ってきたぞwwwでもどれもその場で考えたにしてはがっつりJAZZだ。どういう仕組みなのかさっぱりわからない。
前回(7/16)の生配信だったか、ジブリのラテンアレンジ解説のあたりで、「特定の曲のアレンジ(特に左手)をあんまり練習すると、その曲だけにしか使えない左手パターンという形で覚えてしまうので、そういう事態に陥らないように、何にでも使える汎用パターンを身につけるよう心掛けている」と言われているから、遊べて楽しいとかいいながらも選曲には明確な意図が、またアレンジには細心の注意を払ってそうではある。
この汎用性のある左手パターンとコード進行を駆使してるから、たとえば夏メドレーとかいうこの間からしょっちゅう来るリクエスト、そしてこの夏いっぱいはついて回るであろうテーマも、歌手縛りだったりアレンジにテーマを持たせたりしてて、毎回聞いても毎回楽しい。
ござさんの生配信はいつ聴いても新鮮なんだ。
そして次は山下達郎メドレーだ。
それはなんか夏と関係あるんですか?
夏とラジカセ
山下達郎といえばクリスマスイブ?それって冬じゃん。
というか…ラスト・クリスマス?それはWam!だ。
クリスマス…キャロルの頃には?それは稲垣潤一だ。
というくらい自分にはなじみが薄い。
えーとほら奥さんが……誰だ、岡村孝子じゃない…そう竹内まりやだ。しかし。有名人の夫婦で奥さんがタケウチさんといえば、武内直子とトガ氏義博夫妻のほうが自分の中では通りがいい。
でも山下達郎の、どの辺が夏なんだ。(夏っていえば前回のサザンメドレーとかでしょ)
サマーウォーズの曲はわかる。夏の農村と青い空って感じで。
でもSPARKLEってRADWINPSだよね?君の名はのスパークルだよね?そっちにも楽曲提供してたの山下達郎は?
え?違うの?
その辺りでチャット欄に「シティ・ポップですね」というコメントが見えた気がした。
シティ・ポップって何だ?
そのジャンルが流行したのは主に80年代らしい。主要なアーティストは大瀧詠一、山下達郎、吉田美奈子、荒井由実、竹内まりや、大貫妙子、南佳孝…… ほんとだ山下達郎が入ってるぞ。竹内まりやも入ってる。大瀧詠一って誰だ?なんか名前が昔っぽいな。(………ござさんのレパートリーを見る)「君は天然色」の人か。
[Official] 大滝詠一「君は天然色」Music Video (40th Anniversary Version) - YouTube
ジャケットが思いっきり夏だった。
……シティ・ポップの主要アーティストはほとんどが東京出身者もしくは東京を拠点に活動した者たちだった。従ってシティ・ポップで歌われる「シティ」とは高度経済成長を経た「現代の東京」であり、それもリアリズムから一歩引いた、広告都市的な消費の街というフィクション性を多分に含んでいた。そうした「シティ」における、お洒落なライフスタイルや都会の風景、時には都市生活者ならではの孤独感や哀愁を、良いメロディと洒落たコードに乗せて歌い上げたのがシティ・ポップだった。
シティ・ポップが成立した背景には、日本人の生活水準の向上と、変動相場制導入と円高による海外の文物の流入、いわば東京の国際都市化という社会的変化があり、シティ・ポップの盛衰は日本経済の盛衰と重なるところが多い。
ー-中略ー-
( シティ・ポップ - Wikipedia より)
真夏のビーチや海沿いのハイウェイ、スイミングプールなどのデザインがジャケットにあったらその曲はシティポップだそうだ。
夏っぽいってそういうこと?
確かに夏の海辺とか夜の高速とか、これをカーステレオで聴きながら走るとぴったりかも。(都会に限るらしいが)
でもイメージがざっくりしすぎじゃない???
「明確な定義は無い」「定義は曖昧」「ジャンルよりもムードを指す」だそうだから、やっぱり分類はざっくりしてるのか………
メドレーの冒頭の Loveland, Islandも動画をググってみた。
これもイメージがめっちゃ夏。曲の内容もリゾートっぽい。
シティ・ポップのターゲット層を調べると、こういう具合だ。
……東京のみならず横浜から湘南にかけてのリゾート色の強いエリアもシティ・ポップの射程内へ入るようになった。自家用車を所持し、こうした音楽的環境へ加わるために必要な機器をすべて所持する余裕のある、裕福な都会の職業人をモデルにしていた。(上記wikiより)
しかしリゾート地へ車で出かけ、そこにウォークマンとかステレオを持ち込んで音楽を聴くおしゃれな習慣なんか、自分は持ち合わせていなかった。
自然のある場所にポータブルな音楽を持ち込まなくても、自分的に身の回り全部が自然だったし。音楽ってTVからしか流れてこなかったし(でもチャンネル権はなかった)。生活のBGM?昼はセミ、夜はカエルの鳴き声です。
また、シティポップはこういう分類もされていた。
AORー-アダルト・オリエンテッド・ロック(Adult-Oriented Rock)「大人向けのロック」「アダルト志向のロック」を意味する。ソフトロックとも称される( AOR - Wikipedia )
要するにバブル時代全盛期ってことですね?
なんとなく山下達郎を自分がほぼ知らない理由がわかった気がする。
彼らの曲が流行ってた80年代は大人じゃなかったからな。小学生だったから車も乗らず、音楽機器はなぜかピアノはあったけど、裕福じゃない田舎の子供だったからだ。彼ら裕福な職業人向けのCMとか見ずに、TVで日本むかし話とカトちゃんケンちゃん見てたからだ、たぶん。
夏休みはその辺の湧き水で遊んで、田んぼでトンボつかまえて、井戸で冷やしたスイカ食べていたから。(80年代前半なら牛とヤギとニワトリがいたかもしれない)コンビニもマックもない田舎、東京での流行なんて外国の出来事かってくらい情報が無かった。
90年代になってから家に小さな四角いラジカセが来て、友達からカセット借りて録音していたような……。という理由で当時の自分の好きな特定の歌手は無い。
このシティポップのサウンド聴いて自分が思い出すのはこっちだ。(バブル末期…?)
ZOO Choo Choo TRAIN PV.flv - YouTube
(同じ理由で、YMOも知らなかった。それもアナログな電子ピアノでテクノポップとかいうジャンルで、当時は最先端だったと思うけど)
夏メドレー動画でもちゃんと弾いてくれてるんだけど当時は知らない曲?でかたづけてたんだろうか。(原曲を今聞くと歌唱力半端ないなあ。Tatsuro Yamashita - Ride on Time (1980) - YouTube )
定番夏JPOPメドレーピアノで弾いてみた - YouTube
この動画ではベースも指ドラムも楽しめる。途中でなんか見えるが気のせいである。
リアルなライブ体験の需要
この自分にとっては謎の山下達郎ゾーンを抜けるとカーペンターズの世界だった。
透き通るようなボーカル、フォークソングの原曲の持つ素朴で美しい世界、ござさんの作る音は原曲よりも本物らしい。聞こえる音のニュアンス全部を拾っているから?こう展開するともっと盛り上がるなあってところでちゃんとそのキメがくる。
ござさんは最近配信はずっと家の電子ピアノである。RolandのFANTOM8。タッチはより本物のピアノに鍵盤の感触を近づけてると思うが、内臓音源でいえば前のFA-08の方が豊富だったらしい。今のこのピアノは外部音源=ソフト音源が主らしい。
しかしおそらくソフト音源と思われるその演奏を聴くにつけても、電子ピアノであるにしても、ござさんの音はござさんらしい。
べつにカーペンターズなら、というかほかの歌手の曲も原曲音源はたくさんyoutubeにあるのだが自分はござさんの音が聴きたくて配信に来てる。
ミスチルの(たぶんハモって歌っているのであろう)メロディの和音も忠実に、というかあの魂の叫びみたいなボーカルまで完コピしてて当時を思い出す。
ミスチルとスピッツとジュディマリあたりまでが日本の音楽界が元気だった最後の時代というか、エネルギーを感じたんだよなあ。そこからネット主体というかサブスクに時代が移行してCDは主流ではなくなり、渋谷のHMVは閉店してアーティストのオリジナリティが問われるようになる中、なぜかライブ業界だけは盛況を続けてたと思う。
普段の音楽の楽しみ方はウォークマンやカーステレオで持ち運ぶもの、からさらにスマホやデジタルプレーヤーとイヤホンでポケットに入るサイズになって音質や容量も比べ物にならないほど良くなった。
しかしライブで感じる感動、生の音と生の歌のリアリティは時代が変わってもかえがたいものらしい。そこでしか感じられないものがあるからみんなライブに足を運ぶのだろう。
クラシック分野もCDが昔から出回っているが、コンサートが相変わらず人気なのはそういうことだ。
ござさんの演奏は、そういうライブならではのバンドの呼吸、楽譜では表されない(そもそも即興のござさんアレンジに楽譜は無い)間合い、そこであったらいいと思う音、諸々の原曲の魅力を詰め込んで再現し生まれ変わらせている。原曲もいいがそれ以上にござさんのピアノが胸を打つ。どういう仕組みかは知らない。
今年も色々ライブは目白押しである。しかし昨今の感染状況で妹の帰省もどうなるかわからない。ロックフェスも行われているらしいが自分には関係ない。
またしても職場から謎のメール、通称県外へのお出かけ制限が出る中、よく考えたら推しがござさんでよかったなとしみじみ思う。最近も忙しい中を縫って、定期的に生配信をやってくれるからだ。メンバーにさえ入ってれば、期限もなく楽しめるから。
最近パソコンとネットがつながらなくて(結局本体が壊れてたみたいで)、いつもの状態で配信を楽しんだりこの記事書くことができなかった。
定期的にござさんの配信を楽しめる環境というのは地味なようで自分には生命線でした。また安定して動画を聴けるようになって、この記事もすらすら書けるようになって息を吹き返した次第です。
繰り返すけどござさんの音は自分にとってビタミン剤。
無いと精神的に生命のバランスが狂うようです。
またこれ書けるようになって嬉しくてどっから書いたらいいかわからずぎこちないですがそのうち慣れる…と思います。