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前衛的
ござさんのピアノは不思議な音がする。
旧来の懐古的な響きでもなく、
安定したおなじみの展開でもない。
なぜならそれらは、ござさんが過去に全て通ってきた道だからだろう。
そしてその過程ですべて掌握してしまった領域だからだろう。
ござさんは見たこと無い景色を見ながら新しい道をたどりたいのだろう。
でもその道は危うい。
破綻するかどうかの境界線を眼下に眺めつつ、
ぎりぎり境目の稜線を颯爽と闊歩する。
踏み外すという単語はござさんの辞書にはないらしい。
ござさんのやっている音づくりはそれくらい前代未聞なのだ。
でも、誰もやらないから新しい。
聞いたこと無いから面白い。
前と同じことやらないからこそ。
ござさんはいつも、新しいこと思いついた!という風にいたずらっ子のような目を輝かせて一つ一つ音を紡ぐ。ただその速さが見てるぶんには目に止まらないだけで。
自分はござさんの果敢に攻めたアレンジが好きなのであって、また如何様にもなる表現が好きなのだ。
新しい調の組み合わせ、新しいリズムの取り方、色んな音楽のジャンル……
ほら無限に面白くなるでしょ?
とでもいうようにござさんの手は鍵盤の上を踊る。
ござさんにとっては常にピアノで実験してるだけなのかもしれない。
手当たり次第に組み合わせてるわけではなく、ござさんの過去のおびただしいアレンジ解説動画を見てわかる通りその手法にはセオリーや王道テンプレともいえるパターンが無数に生かされている。
これはアレンジで演奏されてる人は誰もが取り入れてることのはずだが、自分はござさんのアレンジが水になじむらしい。理由は知らないけど。
こうやってござさんが自由に音で遊べるのは、言うまでもなく理論と知識が徹底的に叩き込まれてるからであり、また日々の膨大な練習量がその理論を現実にする。これを音大行かずに仕事しながら何年もかけて習得されたというところにござさんの自己完結した世界と飽くなき音楽への執念を感じる。
この今使ってるシンセも前代のやつからしてステージでプロがライブに使うやつだが、そのマニュアルを仕事しながら昼休みに覚えてるところとか。体力仕事の介護職で合間にやることじゃない。
n回目ですけどこのツイートを引用します。
5年前くらいのDTMの自習ノートが出てきた。スマホにシンセとDAWの取説pdf片っ端から入れて職場の休み時間にやってたおもひで pic.twitter.com/xxOQ6XP8iN
— ござ @5月アルバム&ライブ (@gprza) 2020年7月18日
仕事しながら何かを習得するというのはよほど確固たる意志がないと、資格にしろ何でも難しいことです。
ござさんにとってピアノの練習とは演奏の練習と音楽理論の構築を含めて、描いてる世界を具現化する手段にすぎないのであり、演奏そのものを目的というよりは、演奏はあくまで理想の音楽表現への通過点なのかもしれない。
ござさんが提唱する音楽の世界はピアノにとどまってないから。
雨の日はひとり合奏ごっこがはかどる pic.twitter.com/S3XkdJJQMQ
— ござ @5月アルバム&ライブ (@gprza) 2024年3月12日
こういうのをさらっと書けるようになりたい pic.twitter.com/WkRtJ38y8k
— ござ @5月アルバム&ライブ (@gprza) 2024年3月9日
これらの各楽器の音源ソフトを入手されたようで(というか以前に)、音源ソフトを使いこなすための実験と実益を兼ねた趣味などとのたまわれておられた。各パート楽譜に起こし、バンドスコアまで作って。もはやそれは趣味っていうかアレンジ曲の作曲家というんです。
それを匿名SNS(いうても公式アカウントではあるが)で何気なくそっと置いてて、単に公開しているだけというのが……
そういう雑念はこの記事では書かないことにしたんでした。
3/16の生配信
この記事ではあわせて3/16の生配信のことを書きたいのだった。
ピアノ弾いてますリクエスト募集中! 2024/03/17 - YouTube
といっても、具体的に述べるのは素人なのでできない。
自分が言いたいのは、
「全くトークできないのでピアノ弾こう」
とござさんが言い始めたらそのときの配信はアレンジが格別に冴えわたってるから絶対に聞き逃さないように、ていうかYoutubeだからアーカイブあるから必ず、で き れ ば ど う に か し て ゆったりと聴ける時間を作って、ぜひござさんの作る世界に存分に浸ってほしいということだ。
あ、この部屋を読んでる人はそんなのご存じですね。すいませんでした。
ござさんの第一言語はピアノでしたね。なので、トークが全然振るわず、手持ち無沙汰にピアノ弾き始めた時点で、その日の配信は最高なの確定です。永久保存版です。いえいつもアーカイブ置いててくれてるので大丈夫ですけど。自分の中で永遠にリピート決定版です。
場繋ぎに演奏されてる間奏がすでに音楽としてえもいわれぬ完成度です。
そんなのいつもでしょという説もあろうかと存じますが、確かにいつもですが、でもあえてトークが振るわない日は中でも格段に素晴らしいということを自分は意地でも申し添えたい。
自分はアレンジの有識者ではないため、具体的に曲について言及しませんが。
ござさんの配信は見た目に「あの曲弾いてるんだな」という客観的事実では推し量れない。
上記に述べたアレンジの引き出しの膨大さから、ほんとに、同じ曲でも一回として同じ演奏は無いと断言して差し支えありません。
え?そんなの今更大きな声で言わなくてもわかってる?
いいじゃないですか敢えて明文化するくらい。
とにかく、毎回アレンジ違うので正確にアレンジごとに分類しようなんてことは不可能で、およそ250回を超えるYoutube配信と、アーカイブ残ってないから回数不明のツイキャスとニコ生を含めればその歴史をたどることはもう無理といえるござさんの演奏遍歴には、文字通り天文学的なアレンジのアイデアが玉手箱みたいに詰まっている。
ござさんは、自分みたいな素人にだって平易にわかりやすく聴きどころに山場をつくり、心に響く印象深い演奏をしてくれる。
ござさんほどの腕を以てして、素人のために分かりやすい音楽を奏でてくれるのだ。
なんか、ここが自分が今まで抱いてきた音楽家のイメージと決定的に違う点でしたね。だって偉大な演奏家は偉大なままで、その演奏がどうすごいのかは聴衆が音楽の情報を集め、多くの演奏を聴き込んで知識を積まないとわからないものだったじゃないですか?
でもござさんは偉大な存在だと思いますけどでも演奏の表現手法は素人に近づいてきてくれてる、だから素人でも楽しめる部分はある。いちいち予習しないでも、ござさんのピアノは楽しいし美しいし洗練されてるのは誰が聴いても首肯するところだろう。
そうやって表現を磨き上げつつ、どこかにちょっと笑える機知を潜ませてくるお茶目でやっぱりいたずらっ子なのだ、ござさんは。
そして、聴いててもじゅうぶん楽しめるのだが、ござさんは毎月月刊ピアノに楽譜と解説記事を連載されている。2019年暮れからだから、連載4年目に突入してることになる。この月刊ピアノはあくまで例えで、Twitterにも楽譜付きの演奏動画を投稿されていたり、またソロアルバムの楽譜集も公式に発売されてるから、ござさんの演奏は本格的かつ難解だが誰でも手に取ることができる。
だからござさんの演奏の秘密に触れることは、誰でも可能でもある。
楽譜の公開というか販売って普通、やります?
アレンジが伝家の宝刀であり秘術なのだったら普通それは企業秘密として秘匿しますよね。
それをどんどん楽譜付き動画とかまたは販売楽譜として公式に出している。
ということで、企業秘密にするより、ござさんはアレンジをファンと共に楽しみたいのだと思う。
いつか、ファンの音楽偏差値あげるんだというようなことを言われてたし。
そんな教師みたいなことではなく、あくまで少しでも多くの人と音楽の楽しさを分かち合いたいっていう意味だったような気がする。
まあ自分はござさんの楽譜を練習してるけど実際にその理論がわかるまでは地平線の彼方までの道程が必要なようで、遠い道のりです。
しかしござさんの楽譜は見てわかるというより素人には鍵盤を押しさえすればその不思議さの一端はわかるというか。
まるで今まで見たことない和音使って、世の中のセオリーからすると「次はそうはならんやろ」という展開で意表を突くのです。
月刊ピアノもかなりの回数を重ねてきましたが、しかし毎回盛り込まれてる要素がいちいち本格的。なのに全く話題は尽きない。
ござさんの配信聴いてると、やっぱり不思議な和音と不思議なリズムが目白押しで、さらにいろんなジャンルが交錯して、聴いてて一瞬たりとも飽きない。
結論としては、ござさんの演奏は聴いてて楽しいし、感動する。
だが実際に弾いてみると、さらに楽しい。
どっちにしてもござさんはファン全員に楽しんでもらいたくてその一心でピアノ弾いてる……んだろうな。
いや、ござさんが楽しくピアノ弾いてたら、ファンも楽しめる演奏になってる。といったほうが正しいかもしれない。