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生配信
ござさんのピアノ生配信は、ひとつの壮大な物語。
ござさんのアレンジは、
配信という大きな流れでみても、
テーマごと、曲単位、さらにひとつのフレーズ単位まで細分化して解析しても、
常に起承転結がはっきりと意識されている。
はじめに音が生まれ、
いくつかの流れが集まって主題をかたちづくり、
その主題は次第に大きなうねりを伴いながら昂ぶりをみせ、
やがて壮大な流れになって幕を閉じる。
またはささやかな日常に溶け込むように、おだやかな陰翳になって姿を消す。
このような展開はあくまで通常論であるがござさんの音楽にはこのようなはっきりとした流れが見えるのだ。(もちろん通常の一般形でない方が多いのはいうまでもなく)
どんなに大きな括りでも、
どんなに些細なフレーズでも。
ござさんの生配信は世の中のすべてを表現する物語そのものだ。
自分は本好きなため文字が世の中でもっとも真実そして真理を表現する媒体だと信じているが、しかしござさんのピアノもまた世の中でもっとも雄弁なのではと感じ、今までの持論を少しだけ軌道修正した。
無邪気に胸をはずませ、
胸が踊る。
胸がいっぱいになり、
胸が張り裂けそうになる。
胸ということばひとつで考えても、ござさんのピアノはあらゆる表情をみせてくれるのだ。
しかし本来の顔は、どこかにクスっと笑えるポイントを絶対仕込んでくる生粋のニコニコ生配信出身らしい一面があるのをよく存じ上げているけど。
ぎりぎりの攻防に手に汗を握り、
意表を突かれ、
足元を掬われ、
奈落に落とされる。
それもまたござさんのピアノのほんとうの姿。
世の中のすべてのことを美しいヴェールに包んだまま、ござさんは裏表なくピアノで語る。
Youtubeとツイキャス配信
ござさんのYoutube配信が大きな物語だとすれば、ツイキャス練習配信は物語を構成するパーツの辞書だ。
2000曲のレパートリー表からランダムで弾いていく無言練習放送https://t.co/fJCm8ewmVk
— ござ @5月アルバム&ライブ (@gprza) 2022年12月15日
レパートリーから無作為に抽出した選曲だから演奏曲にだれも異議は唱えない。
これで珍しい曲もレパートリーから姿を消すことはない。
ジャンル別にござさんが2018年に分析されたところの構成はこんな感じ。
3年前にざっくりとしたレパートリー一覧を作ってみた際にできたレパートリーのジャンル別内訳。アニソン・クラシック・ポップス(洋楽・懐メロなど含めたすべて)の三つどもえでした。ゲーム音楽とジャズがいい勝負してるのが面白いですね。 pic.twitter.com/ieNPneAoVI
— ござ @5月アルバム&ライブ (@gprza) 2021年8月4日
ファンにとってはこっちのツイキャス練習配信のほうが生命線だったりする。
なぜなら無作為にExcelファイルから抽出される曲なので、youtube配信で拾われない、いにしえのレパートリーが発掘されるからだ。ひょっとしてござさんもこの練習配信でアレンジをメンテナンスしてる節すらある。
というかござさんも弾けることをすっかり忘れてる曲もある気がする。
2000曲を超えるレパートリーを暗譜で維持するという事はそういうぎりぎりの綱渡りみたいな作業だということがこれでよくわかる。
ただただ、その人間離れした偉業に敬服するばかり。
ござさんのアレンジ
上の項目では生配信を客観的に聴いた印象を書いてみた。
しかしござさんはただ闇雲に原曲通りを再現しているわけではない。
確かに原曲通りかと見紛う演奏も多々あるが、しかし原曲の構成を全部踏襲しているわけではない(はず)だ。
この日記部屋でも何度も書いてきたが、ござさんの第一言語は音楽なのである。
ピアノで語ると、
また音楽を通して表現すると、
とたんに流暢になるござさん。
なぜなら、精巧で綿密な設計に裏打ちされた、複雑な音楽理論が伏流水のように見えないところで張り巡らされているからだ。
ござさんの音楽はただ聞いているだけでも一級品のエンタテイメントである。
事実は小説より奇なりというが、
自分にはござさんの作り上げた現実世界での演奏が、よっぽど小説よりも奇抜で意表を突き、またオリジナリティにあふれてると思う。
でも。
ござさんは、あくまでファンにもこの音楽の無限の底知れない奥深さ、楽しさを分かち合ってほしいと言ってるように見えるのだ。一般人には難解でしかない音楽理論とそれに基づいたアレンジを、どうにかして理解し共有して楽しんでほしい、らしい。
(即興でコードを自在に操り、独自の解釈で表現するピアニストはなにもござさんだけではない。それ自体は、世の中の普遍的文化ともいえるだろう。)
なんでだ?
ござさんは即興生配信で自由にアレンジして弾いてるのが一番息するように楽なはずなのに。
でも思えばこの和音解説動画にはじまり、ござさんのYoutubeには各種のおびただしい解説動画が投稿されている。
【ピアノアレンジ講座】①「和音(コード)の概要」 - YouTube
【ピアノアレンジ講座】②「コードの種類と単体での性格」 - YouTube
【ピアノアレンジ講座】③「オンコードとテンションノート」 - YouTube
【ピアノアレンジ講座】全調練習入門~いろいろなコードに馴れる - YouTube
★ほかにも、このJAZZふうアレンジ解説動画とか、
★リズムの解説とか色々ある。この動画もなにげに74万回再生されてて、需要はあるところにはあるんだなあと痛感させられる。
「丸ノ内サディスティック」で実用的リズムパターン解説! - YouTube
★さらに練習ガイド動画まであった。ほんとになんでもある。
さてこの動画のお題というかサムネになんか書いてますね。
魅力的なことばが。
そう、「Youtubeを見ながらでもできる!『永遠に続けられる基礎練習』」という素敵なキャッチフレーズ。
なになに?Youtubeを見ながらでもできる!?
このステキな呼び込みにうっかりつられてピアノ練習始めたのはほかでもない自分です。
だってYoutube見ながら手軽にカンタンに練習できるって、楽しそうじゃないですか(^o^)
しかしこれが落とし穴だったのだった。
この動画のレベルの速さで練習できるござさんだからこそ、この24調の指の動きが無意識にできるまで頭と体に叩き込まれてるからこそ、ここに至るまでの長年積み重ねた練習があってこその、
「Youtube見ながらでもできる」
練習という意味だったのだった。
端的にいってYoutube動画見ながら基礎練は絶対できない。リズムがわかんなくなるし、youtubeの音はピアノにかき消されて聞こえない。二兎を追う者は一兎をも得ず。
そうですよね、世の中そんなに甘くないのです。黙って真面目に練習しなきゃ。
ほんとに、しみじみとプロの偉大さを噛み締めるばかりです……
さて暗に地道な練習こそ王道と指示してくれるござさんの動画だが、実際に動画だけではなくピアノ練習ガイドもござさんは執筆されている。
それは月刊ピアノの連載、そして「ござ式ピアノ演奏裏ワザの極意」である。
月刊ピアノの連載講座「ござさんの All that Goza's Piano Arrange」
この動画リンクは再生リストで、わかりますかね、ちょうど動画が53本ある。つまり連載は53回を数えるということになる。だからなのか何なのか、気がついたら2024年5月号、今発売してる号でござさんの連載は終了となるようだ。
ござさん4年余りの間、毎月欠かさず楽しい楽譜を連載して下さりありがとうございました。
ござさんの53回分の連載の内容を追うと、いろんな分野のアレンジを系統立てて習得できることに気がついた。
終了が決まってから気づいてもタイミングが遅すぎる?
はいごもっともです。
今更過ぎてすいませんが、しかし素人には一つ習得するのに最低3か月~2年以上はかかる月刊ピアノ連載なので、自分的には半永久的に練習のお題が提示されている現状には変わりない。
月刊ピアノ連載は左ページがその回のアレンジテーマに沿った音楽的解説、右ページが譜面となっている。
この解説が、本格的で充実してるのに素人にもわかりやすく読んでて楽しい内容なのだ。
そして譜面もござさんこだわりの和音だったりリズムだったり曲の展開も凝っていて、一分前後の短い曲ばかりなのに、曲を理解し習得すると自然とござさんの考える音楽理論が身につくというか方向性を共有できるように設計されている。
自分は理論じゃなくて経験から入るタイプ、しかも楽しくないと練習する気にならないので、月刊ピアノの楽譜はやってて身についたなーという実感があった。
ござさんの書く解説を頭から鵜呑みにするのではなく、自分の中で主体的に理解しようとするとより奥深い意味が分かってくるような気がする(なんのこっちゃ)。
というわけで、月刊ピアノの連載楽譜が気になる人は練習にチャレンジしてみよう。
上の動画リストから気になる動画を選んで、自分に合ってるな?と思ったら該当する月のバックナンバーを公式サイトから購入できるのです。
公式サイト:月刊Piano|雑誌|ヤマハの楽譜出版
そんなんタイミングが遅い、4年間も連載期間あったのだから途中で書いとけばよかったと言えばそれまでですが。
自分がピアノの練習楽しいなーとすなおに向き合えるようになったのもほんの最近のことですし。ものごとはなるようにしかならない。
この月刊ピアノの連載53回分は、動画再生リストから見てもわかる通り、ござさんの昔のYoutube解説動画とは質量ともに比較にならないレベルの充実ぶりですので、ぜひ一回分でもいいから関わってみてほしいのです。
まず一つのお題の曲で3回分くらい違うアレンジになってる。この時点で全く別の曲かって言うくらいどれも個性的なアレンジで、聴いてても飽きない。
また、どのお題の曲も誰もが知る耳になじんたもので、「知らないから取っ掛かりにくい」という音楽に関わる際の最初の敷居が低い。
さらにどのアレンジも専門的に仕上げられてるのに、左ページの解説が親しみやすくておもしろいから理解するのも苦にならない。
ござさんの解説文の言い回しひとつにも、またアレンジ楽譜の和音ひとつとっても、なんとかしてファンにもピアノに親しんでもらいたいという気概を感じる。
だって解説文がやさしいので難しくてもつい読んでしまうし、それよりも楽譜が弾けるようになってくると、ござさんのアレンジの工夫が実感できるようになってきてよりすごさがわかってくる。そうなると楽しくてさらにやめられなくなるのだ。つまりピアノ練習の沼である。(^o^)
弾くのは難しいかもしれないけど、それでも習得すれば音楽の新たな素晴らしい世界が見えてくるから、頑張りましょうっていうござさんの叱咤激励みたいな声が聞こえてくる(気がする)。
ござ式 ピアノ演奏裏ワザの極意
ござさんの執筆した練習ガイドはもうひとつある。言わずと知れたこの本である。
※YAMAHA出版の特設サイト:ござ式 ピアノ演奏裏ワザの極意~今日から使える弾き映えテクニック~
この本は左ページ見てれば手を置くだけで弾けるっていうキャッチフレーズだが、自分の中では月刊ピアノの楽譜でござさん特有の和音使いに慣れてから、一定の演奏と知識を積んでから読むと、より面白く感じると思う。
左ページを理解するにも、コードがなんなのか分かってたほうがより理解できて面白い。
自分は分からないのが大嫌いなので、この本を読むには素人すぎるので手を出さないことにした。もっとコードの事がわかってから読もうと決めた。
素人にもわかる、かんたんに習得できるっていうキャッチフレーズは間違いではないがそんな表面だけできるようになったのは自分の中でできるようになったとは言わない。
この本は月刊ピアノの連載楽譜よりももっと具体的に、直截的にござさんが使ってるアレンジについて解説している。
はっきりいってそんな詳しく書いていいのかレベルで全部バラしている、ように素人目には見える。
それは企業秘密ってやつじゃないんですか?
いいんですか全部バラしちゃって?
と素人は心配になるのだが、しかし単なる杞憂にすぎなかった。
だって録画が遺ってる時代だけでもニコニコ生放送から通算して14年以上の生配信歴ですよ。Youtube動画とかツイキャスも入れたらそれどころじゃない分量で放送してるござさんがですよ。本でひととおり基本アレンジを解説したからって、持ち札が枯渇したりするとかありえない。
ていうか毎回生配信のたびに新しいアレンジやら不思議和音とかいちいち使ってくるくらいですから、たぶんござさんの持ってるカードは無尽蔵に湧き出てくると思って差し支えないだろう。
最近のござさんの出演するコンサートに自分は都合により行けてないことが多かったが、しかし心配はいらない。だってこの通りござさんはいつも楽しそうにピアノ弾いてるし、持ち曲とか持ちアレンジがなくなるのもありえないとわかりきっているから。公演後にニコニコしてる写真がUPされてきて、あー楽しかったんだなーよかったーと安心するだけである。
むしろ、公演ならではの特別感出したアレンジにしてみたり、より豪華な和音使ってみたり、そんな工夫を盛り込んでしてやったり感を出してドヤ顔してるござさんの様子ならありありと思い浮かぶが。
この本は実際にござさんのように耳コピアレンジで即興演奏されてる奏者の方に、より親しまれ実践の場で読まれてるといいなと思うのだ。
昨年出版されてから、再重版されたということです。おめでとうございます。
わたくしの本 #ござ式 、ご好評により再び重版が決まったそうです!思ったより多くの人に手に取って頂けているようで感謝…! https://t.co/r1xmaBCr9R
— ござ @5月アルバム&ライブ (@gprza) 2023年11月17日
ござさんの活動にはこのほかにも楽譜集、来月に控えた2ndアルバムのリリース、ござの日のソロコンサート、セッションにおけるござさん、ピアノ以外の音源も駆使した投稿動画とかいろいろあるが、そのことは次の記事でつぶやくとして、とりあえずこの記事は筆を擱く。