ござさんの魅力を語る部屋

ピアニストござさんについて、熱く語ります

NEO PIANO Acoustic ー実況編(ネタバレを含みます)ー

 

この記事は、NEO PIANO Acoustic コンサートの感想:実況編 です。

開催日:2024年4月28日(日)

 

※注:この感想は激烈ござさん単推し熱血ファンの自分が書くため、ござさんの演奏に偏って焦点を当てます。内容の割合もかなりの部分をござさんに割くと思われます。

 

さて、この記事はネタバレを含みます。

ご了承いただける方のみ、下にお進みください。

 

 

先日このコンサートつまりNEO PIANOシリーズについて前もって分かっていた情報を整理した記事があるので、参考資料として置いておきます。


また、当日の公演アーカイブは5月5日まで視聴及び配信チケ購入が可能です。

NEO PIANO Acousticのチケット情報 - イープラス

今からでもオンラインで買えます。

どうしようか迷いながらこの記事へやってきたそこのあなた。(大部分の方はコンサート鑑賞後にここをご覧のこととは思いますが)今からでも間に合います。ゴールデンウィークを過ごすお供としていかがでしょうか?

 

コンサートをまだご覧になられてない方は、鑑賞後にこの記事をお読みください。

全編ネタバレありです。

よろしいでしょうか?

 

ここまでスクロールされた人は、ネタバレをご了承いただけたものといたします。

 

さてNEO PIANOライブのコンサートとしては去年の2023年7月ぶりとなった今回の公演。あの時のメンバーは入れ替わり、今回はけいちゃんさんが新たに加わった……いや、けいちゃんさんは第一回、第二回 NEO PIANOライブに参加されて以来の久しぶりの出演になる。

予習記事に貼りましたがもう一度このツイートをお借りします。

 

リハーサルのときからこうしてつるんで悪さをしてる ……仲良く練習されている様子がまるでみんな母校に帰って同級生とふざけてるかのような雰囲気でした。

そう、これはけいちゃんさんにとっては同窓会なのかもしれない。菊池さんとは何回か共演されていたかもしれないが、ござさんはほんとに3年ぶりなのでは。

あの何でもありだったねぴらぼから幾年もの歳月を経て、それぞれの音楽の道を歩み続けるけいちゃんさんと菊池さん、ござさん。3人それぞれの演奏に、この3年間の劇的な変化を感じる。

再び顔を合わせ、同じ舞台に立ち、またピアノで切磋琢磨するところが見られて、もう自分は胸がいっぱいです。

過去のねぴらぼはもうアーカイブは遺っていないので、当時の感想記事を貼ります。

※参考資料:今回のメンバーのうち3人が参加されていた初回のねぴらぼの記事

※参考資料:これも同様に3人が参加されていた第二回のねぴらぼinventionの記事


※参考までに自分の視聴環境:
デスクトップパソコン(メモリとCPUはしょぼい)とWindowschromeブラウザ。audio technicaのヘッドホン……それから。

 ↑↑↑↑ creative社のサウンドブラスター。Twitter始めた頃ござさんファン界隈の方から教えていただいたサウンドブラスター。それはパソコンの周辺機器の一種:サウンドカードのことです。ヘッドホンにこれを経由してパソコンにつなぎ、また専用ソフトでエフェクトを設定することで、サラウンドの本格的な音響で鑑賞できる。屋外のライブ、歌手のスタジアムライブ、大編成のオーケストラ、オペラ、そしてピアノ等、楽器演奏や歌を視聴するときに真の威力を発揮する。アコースティックな音をリアルに(他にもバンドのドラムやベースライン等を)鮮明に、繊細に、明瞭に解析して立体的な音にしてくれる。

その場で発生している音を目の前で耳にする如く、ありのままに再生してくれるのだ。控えめに言って神。少々高価ではあるけどパソコンで視聴する場合、配信鑑賞の強い味方になってくれるのでお薦めです。

 

 

ではそろそろ目次を書く。

この項目ががっつりネタバレのため冒頭には置きませんでした。

ご注意ください。

 

目次:クリックで各項目へ飛べます

 

 

 

時は2024年4月28日(日)。

場所はクラシック音楽の殿堂、サントリーホール

ネットを中心にツアーやライブ、作曲などで幅広く活躍するピアニスト5人の公演、

NEO PIANO Acoustic

が幕を開けた。

 

エントランスにはデジタルポスターでコンサートのロゴが掲げられていた。このロゴが上下左右に反転してるところが、コンサートのコンセプトを象徴している。参加メンバーのそれぞれが持つ個性を思い出せばなるほどと肯ける。

配信でも、オープニングまでの待ち受け画面にこのロゴが掲げられていた。

(  ↑↑ コンサートに行かれた方からご厚意により提供いただきましたm(__)m。)

 

NEO PIANOシリーズのライブは初回ねぴらぼの代から、

あらゆる音楽分野の境界を越えて自由に往来しつつ、

鍵盤楽器でできる表現の限界に挑み、

新しい概念で未知の世界を開拓する。

 

今までの5回のコンサートではそれぞれに表現方法が様々であったが、今回は前回までに見られたベースとドラムパートや弦楽パートなどとの合奏というライブの形ではなく、完全にピアノだけのアコースティックライブだ。そういう意味での、NEO PIANO Acousticというネーミングになっている。(前回のSummerPianoJunctionでもこうだったのかもしれないが自分は鑑賞してないのでわからない)

当然(配信用の集音マイクはあっても)会場に音響増幅用のスピーカーなどなく、完全にピアノの音のみの勝負である。

 

さて、大きなステージの上に、重厚なたたずまいでそびえ立つパイプオルガン。

ござさんから開演前の最終コールが掛けられた。

 

クラシック専門の2,000人収容できるサントリーホール

用意されたのはスタインウェイのコンサートグランドピアノ。

さてどのような演奏会になるのだろうか……

 

Budoさん

英雄ポロネーズ

Budoさんのピアノは自分はこのコンサートがほぼ初見に近い。Youtubeでパジャマを着てストリートピアノを演奏されていた動画は以前見たことがあったが。確か前回のSummerPianoJunctionにも参加されていたような気がする。その時も含めてクラシックピアニストの方と耳にした気がする。おそらく、今年の夏ごろにサントリーホールでのコンサートを予定されているのではないだろうか。

ピアノは最初の第一部は2台が両方とも反響板を外されて置かれていた(第二部もピアノの反響板は全部外されていたが)。

コンサートの幕開けに相応しいショパンの大曲、英雄ポロネーズ。このコンサートに来場された人の中で知らない人はいないだろう名曲である。(子供時代以降、ピアノ曲をござさんのYoutube動画で初めて聞くようになった自分にとっては、ショパンの曲はどれも華やかで聴きごたえがある。)

特に中間部以降の左手が迫力があります。

少し原曲よりゆったりしたテンポで堂々とした演奏、丁寧に間を取り、半音階のユニゾンからの両手のキメ(自分はここが一番好き)などがみどころ。

この人の特徴はなんといっても愛嬌のある、親しみにあふれた人柄だろうか。

その人柄ははっきりとした自信に満ちたピアノの音にもあらわれている。

 

ござさんとBudoさん

2台ピアノでシューベルトの歌曲「魔王」リスト編曲版(と、ピアノ五重奏曲「鱒」)

さて、このコンサートはリレー演奏形式でコラボレーションをつないでいくようになっていた。Budoさんにコールされて登場したのはござさんだ。

シューベルトの魔王といえば一般に有名なのは歌曲の「魔王」だが、ここではリスト編曲版の超絶技巧曲をBudoさんが演奏され、ござさんがそれに対称的に掛け合いの演奏をされていた。

リスト編曲版でBudoさんの左手により刻まれるオクターブが不安を煽り、曲の展開に重々しく陰を落とす。こっちが原曲通りの展開だ。

そんな中、ござさんが高音部でアクセントをつけて一筋の光明を見出し、そこにさわやかな五月の風みたいな旋律でピアノ五重奏曲「鱒」三楽章のメロディを混ぜてきた。

2台ピアノならではの趣向を凝らした演奏。

 

歌曲とは違ってひょっとしてハッピーエンドに終わるのではないかという新しい解釈の演奏が流れる中、照明が効果的に独特な紋様を投げかけて、謎は謎のまま二人のコラボ演奏は終わりを告げた。

 

 

さて次はござさんのソロ演奏である。

自分はござさんの超単推しであり、この日記部屋は普段ござさんのことしか書いてない。よって一連の演奏の中でもここ以降、不自然にござさんに偏って内容が充実します。

読んで下さっている方には、何卒ご了承いただきますよう伏してお願い申し上げます。

 

 

ござさんの音

自分がこの部屋で(かれこれ4年間)日記を書いてるのは、そもそも、ござさんのことをYoutubeで知ったとき本能的に「このまま聴けなくなったらどうしよう」というひらめきが脳裏をよぎったから。

Youtube動画でござさんを見つけた時、ござさんは音楽専業になったばかり(2020年2月末)で、それからどういう未来があるのか自分には見えなかった。

自分は、その動画でピアノ弾いてた人、つまりござさんにどうしてもピアノを弾き続けててほしかったし、もっと多くの人に広くござさんのピアノの事を知ってほしかったから、この部屋で血眼になってござさんのことを書き続けた。

しかし当時、ござさんのピアノが持つイメージと現実の乖離に黙って唇を噛むしかなかったし、抗えない自分の不甲斐なさが悔しかった。どうやったら現状を変えられるのか見当もつかなかった。

 

でも今になって当時を振り返れば、ござさんは黙ってひとつひとつご自分で設定された目標を地道に塗り替えていっていた(この経緯の具体的なことは言いません。ござさんファンなら誰しもがご存じのことばかりです。)のだから、ファンたる自分も黙ってピアノ聴いて見守っていればよかっただけ。

信じて待っていればよかっただけなのに、この部屋を設置してわーわーわめいていた自分は、結局ござさんを信じることができてなかったという意味なのか。

そういう事実を自覚して凹んだりした。自分には雑念が多すぎたのだ。

 

とにかくござさんはひとつづつ大きな舞台での経験を積まれ、また(おそらく他のピアニストさんと同様に質量ともに想像を絶する)練習に明け暮れてきた日々への応えとして今がある。

ござさんが今立っている舞台でニコニコ嬉しそうにしてるのは、それだけのことを積み重ねてきた裏付けがあるからだ。

 

自分はこの大きなクラシック音楽のホールで、スタインウェイのコンサートグランドピアノを前に、ピアノの弦から放たれるえもいわれぬ美しい音色にござさん自らが聞き惚れ心酔しながら音楽を紡いでいる様子を(たとえ画面越しにでもです)見れただけで本望だ。

 

自分の願いは、ござさんにただ心から楽しそうにピアノを弾いていてほしい。ずっと。

それだけだ。

 

ピアノは弾く人を音色に載せて表すという。人が違えばひとつとして同じ音はない。

ござさんのピアノの音もまた一瞬聴いただけでもわかる音。

若葉から滴る朝露のような透き通る輝き。

闇に燃え上がる紅蓮の炎のような官能的な情熱。

純白の綾絹のような艶やかさ。

理知的で端正な輪郭……

 

ござさんの音を表していると終わらないのでこの辺で言葉を留めておく。

 

 

ござさんのソロ  ”さわやかクラシックメドレー”

この前がシューベルト「魔王」リスト版という超絶技巧曲(と「鱒」)、この後もまた激しい曲調の演奏が続くという事で、ござさんがソロ曲に選んだのは「さわやかメドレー」であった。

乙女の祈り

愛の夢」第三番、

アメイジンググレイス

ゆったりした抒情的なバラード調の曲で構成されている。

 

コンサートの流れからここを一息ついてもらう箇所、とござさんの中で設定したらしい。聴いてる人の立場から想定されて考えられている。(この選曲はあらかじめ決まっていたとしても)ござさんは自分が初めて見た公演である第一回ねぴらぼを思い出すと人が違ったようである。

何よりもござさんは聴衆に正面から向き合ってくれるようになったことが、自分は嬉しい。10年以上ネット生配信で活動されてこられたござさんには今一つ「ファン」が存在することを信じていただけてなかったが、ここ二年程こういった実際の舞台で演奏を披露し、それへのレスポンスとして歓声と拍手をもらうことに慣れてきた感がある。

ござさん。

配信を聴く人、コンサートに足を運ぶ人は、ピアノの演奏に感動したら拍手を贈るんです。その声に正面から向き合ってくれるようになって、自分はそれだけでも今までござさんのピアノを聴いてきてよかったなと報われた気がします。

この観客に向けてまっすぐ視線を返してくれるござさんは、言い換えると、プロとしての矜持を以て演奏されるようになった、という事だと思うんだ。

自分には第一回ねぴらぼの時よりも、ござさんの背中が、鍵盤を踊る手が、何周りも大きく見えた。

所作も落ち着き払っておられ、MCも如才なく進められて、さらにBudoさんとの「魔王」が始まる前にBudoさんが忘れ物(?)か何かで袖に下がったときは繋ぎ演奏としてアルペジオに乗せて「魔王」と「鱒」のモチーフで間を持たせるという落ち着きぶり。

 

ソロ演奏のさわやかメドレーでは、ブルース風とか軽快なJAZZアレンジを挟みつつ、曲を遷り変りながら、次第に曲調が高まっていく巧みな構成。リズムの揺らぎとフレーズの狭間に置かれた空白すらも美しい。その計算され尽くした一瞬の間、休符とはいえない間隙がもたらすものは僅かな緊張と馥郁たる余韻。

最高音域で刻まれるアメイジンググレイスの決めの音が気高く響く。

ほんとうに配信で聴いても素晴らしい音響です。

 

ござさんいわく「激しいプログラムの合間の浄化される演奏」、自分は、今までの雑念が浄化されたような気はする。

 

ちなみに見どころは?

ヒラッと90度(伝わってください)回転する左手。

歌うフレーズで音楽に乗って舞う空いた方の手。

この空いたほうの手が、雄弁に何か歌ってると思います。

 

 

 

菊池さんとござさん

ビゼーアルルの女」第二組曲より  ファランドール

ござさんのコールに合わせて、リレー演奏の次の共演者である菊池さんが現れた。

この2台ピアノの組み合わせはこの間の京都での桜音夜コンサート、さかのぼれば去年のフジロック以来の演出ということになるらしい。

 

(↑↑エントランスの写真と同様、コンサートに行かれた方からご提供いただいた、ステージ上に並ぶスタインウェイ)

 

ファランドールの2台ピアノアレンジはその去年の7月、千葉県勝浦市での公演とフジロックで演奏された以前に、第二回ねぴふぁび(2023/1/24)で演奏され、さらにその前の2022年11月池袋のスタクラフェスが初出である。

※第二回ねぴふぁびの感想は配信があったから遺っているので貼っておく。目次から該当箇所へ飛べる。


この曲の冒頭の演奏を始めようとして菊池さんが何をやってるのか座り込み(イスの高さ調整?)、空いてる右手で繋ぎに何か弾き始める菊池さん。なんで両手でそれぞれ別々のことが出来るんだ。あ、ピアノではいつもやってる事か。

そのフレーズはチャルダーシュであった。ござさんは仕方ないので*1ライティングが落ちたまま演奏を合わせる。なんでだ、鍵盤見えないはずだけど。

そして始まったセッション曲、この二人の場合のみどころはユニゾンの迫力ではなく中間部のアドリブ合戦である。お互い2周り目くらいまでは第二回ねぴふぁびと同じフレーズで踏襲してる気がするが、そこから後が今回オリジナルと思う。唯一同じなのは熊蜂の飛行を菊池さんがねじ込んできたぐらい。

ノリでアドリブで羽目を外すのではなく、より一層理論的に羽目を外している、たぶん(なんのことやら)。準備してアドリブを考えてきたというか、アドリブすら決め譜なのではと思うくらい理路整然としたかっこよさ(素人目線)。

2人でアドリブを入念に考えたのでしょうか。よりレアな和音のバリエーションを。

この曲、何かの都合で2,3日前に突如決まったらしい。それでシレっと演奏できるあたり、やっぱりこの二人は何の心配もなく聞いていられる(ほんとうに)。

このユニゾン以降の後半は原曲のキメのままのようだが、唯一ねぴふぁびと違う?のは、1:09:10秒くらいの所の菊池さんの左手。シンコペーション?みたいになっててなんかかっこいい。

 

 ↓ ※去年の菊池さんの左手はその箇所はシンプル。

日本最高峰のロックフェスに出演するピアニスト達の演奏がヤバすぎて会場大パニックw【ござ×菊池亮太】【ストリートピアノ】 #ストリートピアノ #ござ # #菊池亮太 #ピアノ #フジロック - YouTube

 

 

菊池さんソロ

パガニーニ変奏曲 

この曲は言わずと知れた菊池さん編曲のオリジナル曲である。さらに、同じ場所サントリーホールで2021/8/12に開かれたソロリサイタルでの思い出の曲。自分はこのときか、所沢ミューズホールかどちらかでこの曲の披露を聴いた気がする。

このサントリーホールのコンサートに向けた告知が、告知の告知の告知から始まってて謎に包まれていた記憶。

確かにファランドールの前にござさんの曲で箸休めをさせていただいたのはありがたい展開だったかもしれない。あれからどの曲もエネルギッシュな勢いのある曲ばかりだから。

 

この曲でも菊池さんはファランドール同様、謎のアレンジは入れてこずにたぶん原曲アレンジのままと思う。

菊池さんのやってることはその場に合わせた自由な即興とか独創的なコード使いとか、ござさんとそっくりだ。自分が菊池さんのピアノ動画をよく聞いていたのも故あっての事だ。最近菊池さんは活動の幅を広げられていて自分は全くついていけていないが。

そんな菊池さんがオリジナル曲と称する数少ない曲。

↓↓↓ ※サントリーホールの演奏動画、概要欄に構成の解説がつけられている。ご参考までに。

Paganini Variations - Ryota Kikuchi/菊池亮太 - パガニーニ変奏曲【LIVE at Suntory Hall】 - YouTube

確かこの編曲の前後で、音大の大学院に入り直してリストの研究されていませんでしたっけ。

作風が違うだけで菊池さんとござさんはどこまでも音楽を探求し追求するピアニスト。

菊池さんの弱点?それはオヤジギャグが芸風な所である。というかそれを看板にしてるふうすらある。もはやたくおんさんもござさんも、それにツッコミ入れるのは高度過ぎる技術を要するのでスルーされている節すらある。

そんな冷たい仕打ちにもめげずに菊池さんには頑張ってほしいところである。

 

たくおんさんと菊池さん

上記の通り、菊池さんがいきなり安心してボケ始めるもたくおんさんのツッコミ支援はなく無事滑りまくるまでがセット進行である。

「次の曲は、サン・サーンスの死のぶとう……Butou…ぶとう……」と呪文のように繰り返す菊池さんをクールな視線でやり過ごすたくおんさん。よしよしその調子です。

え?出演者にBudoさんがいるから、ぶとう……ぶどうさん。。。。ってつぶやいてほしかったんですね菊池さん。しょうがないので自分がここでツッコみます。

サン・サーンスの交響詩「死の舞踏」

ちなみに、この曲もまた第二回ねぴふぁびでの菊池さんとたくおんさんのレパートリーを踏襲している。

菊池さんとござさんのビゼーファランドール」が名曲であるように、このサンサーンスの死の舞踏もまた古典派の薫りを色濃く残す名曲である。

一応この曲はオーケストラによる交響詩だが、サンサーンス自身の編曲による2台ピアノ版という決め譜がそもそも存在する。

正統派クラシック奏者のたくおんさんの操るピアノには、のちにラフマニノフやリヒャルトシュトラウスにも共通する点があるような、19世紀後半ながらも古典派風の由緒正しい端正な曲がよく似合う。菊池さんもまた元来のベースはクラシック奏者であるから選曲としてはよく似合っていると思うのだ。

 

ただ、今回の演奏がゆったりしていて、この前後がまたしても個性的なアレンジであるのでここでも聴衆には休憩してほしいタイミングということだったのだろうか。

不穏な曲の展開だがサンサーンスの曲の展開にはあくまで奥ゆかしい上品さがあるので、決して恐怖映画みたいな展開にはならない。

それに、たくおんさんの演奏じゃ絶対怖くないから大丈夫である。

音が明るいからである。

菊池さん一人で、低音域でおびやかそうとしているけど無駄なことだ。

 

時計の音が真夜中を静かに告げる。

そんな中、骸骨が不気味に踊り出す。骨と骨が打ち合うカチカチいう音も、原曲のシロフォンの音を忠実にピアノの高音で拾う。骸骨のモチーフは、古く14世紀に欧州で流行したペストによる死者。

(※どうでもいいつぶやき)
1:25:15あたりの進行が、なんかショスタコーヴィチ交響曲7番「レニングラード」第一楽章の、通称スターリンマーチの旋律に似てませんかね、でも今回の死の舞踏の演奏はサンサーンス自身による編曲なので、菊池さんが何かねじ込んだのではないようだ。

 

たくおんさんソロ

ウィーンの夜会

この曲はもはやたくおんさんのコンサートにおけるマスターピースとなってきた感がある。留学されてたのがウィーン国立音大のためたくおんさんの奏法はウィーン風なのだろうか。ウィンナワルツは伴奏の2つ目の音が若干遅れるのが特徴だがその微妙な現地の楽団でしか出せないニュアンスがたくおんさんのピアノにはあらわれている。

このどこまでも明るい音もまたたくおんさんのピアノの特徴。

優雅で貴族風なワルツのリズムと併せて、この5人の中では随一由緒正しいクラシック奏法でここもまた息抜きタイムといえるかもしれない。

 

ここで自分のコメントが寡言なのは、ござさん以外は皆それぞれに自分のツアーを敢行なり主催のイベントをシリーズ化なりなんなり、音楽活動のフィールドをある程度自分で広げていっているからです。

そこに余計なつぶやきはいらない。

すでに彼らの活動は軌道に乗り、こんなとこで個人がつぶやく必要がない。

この部屋はござさんについてつぶやく部屋であり、ござさん以外のフィールドには自分は部外者なので客観的な事実以外は自分はコメントしないです。

 

 

けいちゃんとたくおんさん

ピアソラの「アディオスノニーノ」

タンゴとクラシックの融合した曲。ここまでピアノ曲やオケ曲のクラシックが続いた中で、ラテン音楽のタンゴの要素を選ばれている。

ピアソラは第二回ねぴふぁびでも、ござさんとたくおんさんが選曲していた思い出深い曲である。けいちゃんさんは作風がPOPSふうな打ち込み音源を多用した曲などを多数作曲している経緯から、正面からのクラシック曲からは少々軌道を外してきた感じがする。

珍しい組み合わせで、確かにこの二人の組み合わせは自分も見たことがない。たぶん初めてだと思う。けいちゃんがクラシック寄りの演奏をグランドピアノでやってるのがレアすぎです。生配信とかを基本けいちゃんさんはほぼ残されないので、そういう意味でも今回の演奏はレア。

 

懐かしいけいちゃんのピアノ

けいちゃんさんはこの曲で初登場。けいちゃんさんのファンが待ちかねたようにコールを飛ばす。こうやって叫べるようになったのもごく最近のことなので、感慨深いことです。

けいちゃんさんといえばござさんと菊池さん同様、ジャンルを問わずなんでも耳コピアレンジで即興演奏していたイメージ。それからオリジナル曲も豊富で、オリジナルばかり集めてCDを2枚くらいリリースされている。

作風は打ち込み音源を多用したPOPSとピアノの融合、だろうか。

その印象が強いので、自分はけいちゃんはピアノばっかりのこのアコースティックコンサートに一体どのようなかかわり方で登場するのだろう、とその点が最大の焦点であった。

しかし、自分はほんとにこういう公演で、配信にしろけいちゃんのピアノを聴くのは久しぶりだったのでほんとピアニストの同窓会みたいな雰囲気を呈してきたなと思う。

けいちゃんはここ2年見ないうちにすっかり変わられました。言動が、今回の舞台でも言ってる内容が一番落ち着いてましたね。

けいちゃんもまたこの2年のうちに、色々なツアーや、CDなどの作品の発表を経てきた。

ピアノも奏法を刷新されてる感じがしましたが、でも懐かしかったです。

(故意に聴いてなかったわけではありませんが、ここの部屋のペースでござさんを追っていると他の人のピアノを聴けていないだけです。すいません。)

 

(※おまけ)
けいちゃん「譜めくりペダルで楽譜を見たいけど左足の落ち着きが無さ過ぎて(ノッてくると左足が動き出す)ペダルを蹴っ飛ばしちゃうんですよねえ」

けいちゃんの暴れる左足は健在だった説。Youtube動画を見ていると、古い動画はたいてい左足でリズム取ったり、そうじゃなくても暴れてたことが多いがその動きは健在だったようだ。確かに今回も足で拍をとっている。

 

けいちゃんソロ

オリジナル曲の「人間失格

「人間失格」ピアノ六重奏 作曲:けいちゃん Piano Instrumental - YouTube

配信勢にも手を振って挨拶してくれる。ござさんと同様、公演の全体の流れを見てるのだなーと思う。配信勢として謝意を述べさせていただきます。ありがとうございます。

けいちゃんさんのオリジナル曲といえばバンド演奏とピアノのコラボ、打ち込み音源も多用しているが、今回ピアノソロ曲にオリジナル曲を選ばれている。

レアです。原曲はピアノ六重奏曲だと思う。

ピアノの演奏もさらに切れを増し、さらにネピアコ特製アレンジなのか?ベートーベンの何かのソナタ(月光?)が混じってる。

 

けいちゃんさんは自分はライブを追えるわけでもなく、生配信のアーカイブもあまりなく、自分は全く最近聴けてなかったが、お元気そうで安心しました。

言いたいことといえばひとつだけ。

ご飯、食べてますか?ちゃんとご飯食べてください。(余計なおせっかいの近所のおばさん目線)(そもそも自分はおばさんだしな)

 

けいちゃんさんと菊池さん

聖者の行進でセッション・JAZZチックな曲にするというお題が与えられた。

原曲はディキシーランドJAZZであり金管楽器クラリネット、ドラムが入る構成だが、それらのパートも含めて2台ピアノでのアドリブを繰り広げている。そしてラストのテーマに還ってくるとちゃんと色んな楽器の音が聞こえる。

 

トークからして既に旧友の感があるふたり。

曲はJAZZの二台ピアノセッション。

(菊池さんによる注:)拍手はくれぐれも裏拍で!

コール&レスポンスが機能してる。すごいですね、これもなかなか近年できませんでしたので、ほんとに客席と舞台が一体となって作品を作り上げてる。これが本来の演奏家の姿ですよね。

いいなああーーー。

JAZZセッションになってやっとけいちゃんさんに笑顔が出てきた気がする。自分のフィールドに帰って来た感がある。楽しそうです。ずっと笑ってるけいちゃんさん、ほんとに久しぶりに見たんですけど。

そして、出た。

元祖ねぴらぼ名物の菊池さんのコードメモ。タブレットのソフトが、もはやイラストアプリなんですよね。文字を書く気が無いぽいですね。何書いてんのかもわからないですね。1:56:57あたりの情報によると………やっぱわかんないですね。F→ G、くらいですかね?判読できるの。

前曲のピアソラからだんだんJAZZ風味になってきて、ここにきて謎和音のアドリブで応酬し合うふたりが楽しそう。

なんでしょう、JAZZの語法を手加減なしでぶつけ合える相手だから楽しそうなのか。ええーいいな菊池さん。ござさんもそれ参加したかったと思うんですけど。何それずるいです。

 

第二部・5台ピアノ

そして休憩を挟んで舞台後方に置かれていた3台のピアノが加わり、5人による合奏となった。

まずねぴらぼで全員の合奏といえば定番?となった感のあるショパンの革命。なぜ定番なのだろう。大人数でのアレンジがしやすいからだろうか。

ここで休憩から少しずつ人数が戻ってきて増えながらエチュードの革命へと……

進むわけもなく、全員揃ったところでリズムはござさんが音頭を取って何か刻み始めた。なんなんでしょう、ラテン……?いや、自分はアフリカンシンフォニーのリズムだと思うんですけど、たぶん。どうなんですかね…?

わかんないです……

 

 

ホルスト 組曲「惑星」から木星  ”快楽をもたらす者"

後半からまたござさんが登場したので自分は言及したい。というかなぜ一人だけ紙楽譜なのか。みんなタブレットなのに。ござさんアナログ派??いやいや何を言う、いつもパソコンとDAWCubaseで作曲してるのに? 

よくわかりません。ござさんだけスコア(全体の編成)譜を持ってるのでしょうか?何でそう思ったのか?というと、ござさんはいつもオケ曲を一人で即興で生配信で演奏されてるので。そして、各パートをカバーするのに指足りないと言われてるため、5人いればイメージするピアノカバーができるのかなあと思ったり。

※休憩の概念

休憩とはスタミナを回復し、また精神的にリフレッシュすることで集中力をより高めるために作業の合間で取る時間である。しかし。たくおんさんによりリハにおけるメンバーの自由気ままな様子が暴露され、そんな中ひとり常識的な社会人として秩序を守ろうと尽力されているたくおんさんの気苦労が忍ばれる。

菊池さんとけいちゃんさんとござさんが、休憩中に休憩しない問題。休憩時間じゃなくて「貴重な自由時間」だと彼ら三人は主張する。たくおんさんはちゃんと休憩は癒しタイムとして「紅茶を飲んだりチョコ食べたり」とウィーンのカフェみたいな優雅な時間を設け、疲れをリセットされているようだ。

しかしあの3人にとっては、緊張感あるリハの合間にこそ、自由なフレーズで気ままにアドリブをキメる癒しタイムが必要なのだ。

(想像される三人の自由な会話)演奏してたらいろいろアレンジ思いついちゃってー、最近こんなマニアックな練習やってるんだー、へーそれってあの曲に使えますねー、例えばこういう奏法があるじゃん、ほうほうそのコード進行おもしろいなー(エンドレスに続いてそう、終わらなそう)

……なるほど。

もう何も言うまい。

 

木星とは

木星ホルスト組曲「惑星」の第4曲。ホルストエルガーと並んで近代イギリスを代表する作曲家だ。なかでもこの組曲「惑星」の火星と木星は特に印象的で、オーケストラの演奏会でもたびたび取り上げられる人気曲である。

※原曲オーケストラ版のコンサート動画。
ウィーン・フィル Schönbrunn Palace Concert - 組曲『惑星』作品32第4曲 「木星(Jupiter)」 - YouTube

※おまけ:惑星の全曲
Holst: Die Planeten ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Hugh Wolff - YouTube

木星の中間部のゆったりした主題は讃美歌として歌詞をつけ歌われたり、またPOPS曲としてアレンジされたりと時代とジャンルを横断して親しまれる名フレーズだ。

 

5台ピアノアレンジ

5台ピアノとなると5人10手アレンジとなり、高音から低音全てをカバーするピアノで合奏となるとほぼオーケストラを再現できることになる。

あと1人1台ピアノとすることで連弾と決定的に違うのは、特にユニゾンの厚みが増し、また同音域で沢山の別フレーズということも可能な点だ。

という訳で今回のアレンジではオーケストラ版に準拠したもので、ガチガチに原曲のキメまで再現した緊張感あふれるものになっていた。

演奏後のござさんほか全員の感想「息する間がなかった」。なるほど、だからよけい休憩時間に楽しくピアノ弾きたくなるんですね、とってもよくわかります。

※フレーズが複雑すぎて、誰が何やってるのかわかんなくなってきたら、カメラが映す鍵盤と演奏者の指をガン見するのです。誰が高音、中音域、低音域をやってるのか、今聴こえるフレーズで弾いてるのは誰か、鍵盤を動く手を見ればおおよそわかるからです。

そうすると緻密に設計されたアレンジの全体像がわかってくる。

内容からいうと、ボレロが自由人たちの高度な遊びだったのに対し、木星はオケ版に準じて限りなく原典のイメージを温存している。

 

ござさんはクラシック曲のピアノ曲もレパートリーに数多いが、なんといってもアレンジにおいて管弦楽曲のバリエーションが圧倒的、ござさんは今回の五人の中でもオケ曲アレンジに造詣が深いと思う。それは菊池さんも同様と思われるが、自分の過去記事にあるござさんアレンジの資料をひとまず貼っておく。

 

さて、このように裏付けを取っていくと。

この木星をやろうと提案してきたのは、どう考えてもござさん以外に考えられないのですが。

「誰だろ~~?????」ってしらばっくれてもネタは割れてるんだ、いい加減正直になろうよ。ほら、すなおになれば天丼出します、話してくれさえすればこれ食べれますよ…???

 

 

演奏の振り返り

この曲は高音連符でヴァイオリンやら木管(フルート、クラ、オーボエ等)が効果音?装飾音?的な役割でスパイスを効かせてるので華やかでキラキラ素敵に聞こえる。

しかし。

木星の主役は高音群に対峙する中低音のオブリガードつまり対旋律のほうです。

オブリガード・対旋律とは、最低音のひとつ上の音域、BASS~アルトの高さで動く、メイン旋律とは別の動きの旋律のことを指す。

この中低音の旋律はときどきメイン旋律になったりもするが、表になったり裏に潜ったり、その行方を捜すとおもしろい。対旋律とその他のリズムが全く違ったりするので、キメがずれないか見ててハラハラして心臓に悪い。

 

冒頭の16分音符による高音の掛け合い(原曲だとヴァイオリン)から鮮烈な印象で曲は幕を開ける。全員が16分音符なのでずれないために?けいちゃんさんが最初双眼鏡のモノマネで「皆の者、準備はよいか!?」的な最終確認をとったあと、けいちゃんさんがさっと振り上げた指揮の指に呼応して煌めく、16分音符。

第一主題 2:30:40~


\relative c' {
\key c \major \clef bass
\time 2/4
\tempo ""
\tempo 4 = 140
a8-._\markup{ \musicglyph #"f" \italic "molto pesante" } b4-- g8--~
g b-. a4--
b16-. c-. a-. b-. c8. g16--~
g4 b8-. a-.
g16-. a-. c-. e-. \clef "treble" g8. g16-.
a8-. b4-- g8--~
g
}

※楽譜画像の引用:惑星 (組曲) - Wikipedia

冒頭の16分連符に続いて突如、オオカミの咆哮のように現れる第一主題。(原曲だとまずホルン全員のユニゾン、そして再び2人ティンパニを含む全オーケストラで繰り返される)この勇壮なフレーズを、けいちゃんさんがひとり両手ユニゾンの中低音で鳴らしながら颯爽と切り込む。

冒頭の4人でやってる高音16分音符は、そのあと次第に様々なフレーズに形を変えながら引き継がれるが、鍵盤なのに16分音符が阿吽の呼吸で縦が揃っててすごい。

人数が増えれば増えるほど、アンサンブル(合奏)は普通揃わなくなるものだが。

だからフレーズのまとまりごとに、要所要所のキメではたくおんさんがいちいち大きく指揮して合図を送る。

けいちゃんさんにより第一主題が提示された直後、たくおんさんの最初の指揮の直後に原曲でいうヴァイオリンの様子を全員高音(オクターブ?)トレモロでずっとやってて、控えめにいって見てるだけでも指がつりそうである。

 

※ちなみにこの第二主題の直前の和音が一種の最初のヤマ場の一つ、要するに大事なキメである。完璧に合っててさすが。

第二主題 2:31:37~


\relative c' {
\key c \major
\time 2/4
\tempo ""
\tempo 4 = 140
b8_\markup{ \musicglyph #"f" \italic "molto pesante : non legato" } d e4~
e8 [ fis g a ]
fis d d4~
d b8 d
e4. fis8
g [ a b d ]
cis a fis4~
fis
}

この主題をござさんと菊池さんのユニゾンでやって、音圧を増幅している。連弾じゃなくて複数台ピアノってこういうふうに制約なく贅沢な演奏が可能なところが、現実のオケに肉薄できる所以かと思う。

 

2:32:00  ここで菊池さんが冒頭の第一主題を高音で再現しつつその末尾は他の音との掛け合いに消える。バッキングポジションの一部と化したとき、菊池さんの職人としての完璧さが遺憾なく発揮されている。

職人と化したとき、菊池さんの目からは感情が消え、冷徹に音楽の一部となって溶け込んでいる。こういうときはアンサンブルはミクロの世界で息が合う。

この菊池さんの直後  2:32:08~、同じく第一主題をござさんが中低音でやるが(原曲は木管楽器数人のささやかなフレーズ)、両手使って和音で動いて決めてるんですよね何気ないフレーズを。生配信だとこんな些細な箇所はスルーしてたかもしれないが、ここも豪華に両手で和音でやれる\(^o^)/というノリでしょうか。5人で分担するから、いつもあきらめざるを得なかった気になるフレーズも、気になる和音も全部盛りの豪華版\(^o^)/とか思われてるに違いない。絶対にそうだ。

いちいち何弾いても目が輝いてノリノリで生き生きと弾いてるのは絶対に気のせいではない。

他のメンバーも折に触れてたくおんさんは指揮を出し、ござさんはあたりを見ながら、菊池さんはたぶん見なくても合わせられそうで、みんな合図を出しつつ要所をキメながら進んでいく。いちいちキメが来るのを自分は知っているだけに、ほんとに合わせられるのかこっそり胃が痛かったが、しかしメンバーの顔触れを見てやっぱり安心していられると開き直るのだ。

さて、ここまでは単一のそれぞれの主題が交互にあらわれて受け継がれてきたが、それが立体的に絡みだす第三主題以降のアンサンブルが面白い。

誰が何をやってるのかわからなくなるのはここからだ。

 

第三主題 舞曲風 2:32:18~


\relative c' {
\key c \major
\time 3/4
\tempo ""
\tempo 4 = 160
g'4\f d e
f e d
g d e
a, b c
g' d e
f8 g a4 \tuplet 3/2 { g8 ( a g }
f4 ) \tuplet 3/2 { e8 ( f e } d4 )
\tuplet 3/2 { a8 ( g a } b4 ) c
}


このシンプルな旋律がたくおんさん → けいちゃんさん → と遷り変っていくが、けいちゃんさんの旋律の次に、

2:32:40~

いろんな掛け合いが旋律を裏から引き立てる。

主題の横でござさんとたくおんさんが(原曲だと高音の木管楽器の)アルペジオを可憐に再現。このアルペジオから両手ユニゾンで第三主題を堂々と奏でるござさんが、というかどこの場面のござさんも実に心から楽しそうで、自分はいちいち号泣して涙が止まらない。いつしか目前にはティッシュの山。

タイミングを合図しあってうなずく姿も、どの瞬間も楽しそうなござさん。

まさに水を得た魚。

 

2:32:50~

そしてだんだん和音が複雑に、響きに厚みを増してきた第三主題が形を変えてそれぞれの奏者に受け継がれる中、このタイミングで堂々とバリトン音域が対旋律として現れる。この部分が対旋律としては第四主題直前のヤマ場。

 

2:33:09

ここで駿馬の駆ける音のような音が遠くから聞こえる……

それは菊池さんの足音が号令をかけて合図していたキメだった。このキメの前後、原曲で言えばホルン全員の和音からティンパニに遷り変っていく、リズム。

菊池さんの左手がピアノの一番左の低音域でリズムを刻む。そして徐々に弱音になりながらフェードアウトしていく……

いぶし銀が光る職人技。こういうリズムをやっている菊池さんの手はまさに全員のアンサンブルに対して忠実に倣う。

 

第四主題:一番有名、木星といえばこれ


\relative c' {
\key c \major
\time 2/4
\set Score.tempoHideNote = ##t
\tempo 4 = 130
g4\mf bes \bar "||"
\key ees \major
  \tempo \markup  {
    \concat { "Andante maestoso"
      (
      \smaller \general-align #Y #DOWN \note {2} #1
      " = "
      \smaller \general-align #Y #DOWN \note {4} #1
      )
    }
  }
\time 3/4
\tempo 4 = 65
c c8 ( ees ) d8. ( bes16-. )
ees8 f ees4 d
c8 d c4 bes
g2
}

えーと、ここは解説いらないですね。飛ばしましょうか。

言わずと知れたJ-POPのジュピターとしても親しまれている旋律です。ただし、作曲者のホルストは当時すでにこの曲の旋律がもつキャッチーさから単独で第四主題のみが取り上げられがちであった風潮をよく思っていなかった説は遺っているが。

けいちゃんさんが静かに旋律を歌い始め、バッキングも穏やかに和音を刻む。それから徐々に旋律は雄大になり5人を包んでいく。

 

2:35:14

この第四主題が終わる直前、旋律の流れの山でござさんが高音アルペジオを何気なく入れてくる。

……………ん?そんなんあったっけ。

いやいや原曲にはそんな装飾音はない。ただ壮大で重厚な全合奏による第四主題の和音でこのフレーズは一旦区切られるのだ。

そこに高音アルペジオあると、重厚な曲に華を添えられるなーというござさんのお茶目心が見える。

ほんとに全く油断ならない。決して目を離してはいけない。

 

2:37:10~ 再び第三主題

この第三主題の裏でもう一つ流れがあるのが対旋律。

上記と内容が重複するので書かないが、当然、これ以降の和音が豪華になる後半部分の対旋律がかっこよく聞こえる。

さらに、ここからは、前の2:32:50付近で聞こえた低音部による対旋律もセットでもう一回登場する。この対旋律、ござさんがまたしてもドヤアと両手弾きしていてこの対旋律が効くことで、もともとの第三主題も活きてくる。

 

2:37:45~ 転調と共に最後のヤマ場

音楽の流れがいったん止まり、皆がたくおんさんに注目する。ここで全合奏が一斉に転調し、バリトンつまり再低音域が(めったに旋律を担当しない音域が)アンプから聴こえるエレキベースの音さながらに、第四主題で迫ってくる。まるで山塊がそのまま頂上から剝落して落ちてくるような迫力満点の重低音。

と、終幕を飾るに相応しい主役は重低音のはずだったが、しかしここぞとばかりにハープみたいな華麗なアルペジオが聞こえる……

これは何もねじこまれたのではなく、原曲では重低音の上で弦楽器と木管が全員で壮麗なアルペジオでうねるのだ。

第四主題でだいたいいつものござさんの生配信の即興は終わってしまうので、この木星の終幕のアルペジオは自分もお目にかかったことはない、と思われる。

というわけでここで重低音の流れと共に弦楽器のアルペジオを完コピしていたのはござさんだった。(ほんとは2~3人でやってたのだと思うが自分の視界にはござさんが主に映ってる)ほんとにこのアルペジオが、ござさんは今回のコンサートで一番楽しそうという説まであった。いつもはここのパートも即興のイメージの中では鳴っていたのだなあと思うと、ただただ感慨深い。

最後の、和音のまま半音階で上がっていくところも5台ピアノならではの迫力。まさに全オーケストラの規模を再現していると言って過言ではない。

 

ボレロ

ピアノで遊び始める確信犯の三人組はこの期に及んで部外者みたいにシラを切る。

この曲でもやはりたくおんさんの心労は絶えない。胃に穴が空きそうな勢いである。

菊池さん「いきなり転調から始まるから~~~」

たくおんさん「ほんとに、ダメだよ!!僕が立ったタイミングでCからA-durへ、これだけは守ってくださいwwwww」

そしてここで元祖ねぴらぼinvention名物、ボレロ冒頭の弱音のスネアをグラピの枠を叩くリズムで再現する菊池さん。

そして空いてるパートのけいちゃんさんが踊り(なんちゃってバレエ)担当。INVENTIONでは指揮の真似だった(どっちでもいい)。

けいちゃんさんは踊りつつ旋律パート担当の鍵盤に不協和音をねじこんでくるのだが、たんにテキトーに鍵盤を押してるだけなのか、狙って不協和音にしてるのか、どっちかがわからない。

 

さて、曲の途中でこれだけアドリブで放り込まれてきたわけですけど。

パリのアメリカ人?

木星(ござさん)

水の戯れ(以下、菊池さん)

モーツアルトソナタか何か

トルコ行進曲

くるみ割り人形から 金平糖の踊り

木星の冒頭(けいちゃんさん?)

魔王(ござさん)

ホルスト組曲「惑星」から火星(ござさん)

革命(菊池さん)

火星(ござさん)

バレエ音楽シバの女王ベルキス」からソロモンの夢(誰?単なる空耳かも)

 

最初から順番に各楽器でソロ回しをしていくわけですね、原曲は。んでピアノでそれやると音色が変わらないから単調じゃないですか?だから、こうやって菊池さんとござさんとけいちゃんさん?でそれぞれ順番に違う曲のフレーズをアクセントとして載せてきたんでしょうか。

ござさんの譜面台に、楽譜の右に怪しいメモ??が並んでいる。それがこのねじこんでくる曲一覧だったのじゃないかなあ。だってこんだけ横槍入ってるのだから、いいかげんたくおんさんが怒り出しそうとおもいきや、別に誰もツッコミを入れないし。

 

最後の転調のタイミングはむしろわかりやすいので、それよりも難題はおわりの下降するフレーズのタイミングが難しかったのでは?そこで対策として、たくおんさんは2回手拍子で合図をしている。確かに、こうでもしないと絶対合わないと思う。

 

それでは、メンバーのグダグダぶりをもうちょいご覧いただこう。

菊池さん「これから最後の曲です」

けいちゃんさん「いや、我々は間違っている」

最後の曲はボレロだったため、今からやるのはアンコール曲だった説

 

アンコール:リベルタンゴ

けいちゃんさんが一番よく練られたコメントをしてくださって場が引き締まるのです。

「純粋に音楽を通しての友人同士、自由にピアノで演奏できる空間をお客様と共有出来て幸せでございます」

「これからも5人の音楽活動を応援よろしくお願いします!」

 

ほんとうにこのコメントに尽きます。何もかも、5人のすべての気持ちがこの言葉に詰まっているのではないでしょうか?

ねえボレロでいたずらっ子な発言をしていたどこかの菊池さんとござさん。ちょっとお聴きになりましたか?考えましょうよ、アレンジのどこに謎和音を投げ込むかっていう議論は置いといて……

 

それは置いといて、アンコール曲はリベルタンゴであった。

危うくこの曲をプログラム最後の曲としてみんな気づかずに紹介しそうになり、そこをけいちゃんさんに助け船を出されて危機一髪で修正するという綱渡りではありましたが。

ほんとにけいちゃんさんありがとうございます。

 

 

ござさんファンの自分としては。

このリベルタンゴ、生配信でも覚えてしまって一時期飽きてしまうくらい聞き倒したござさんの定番レパートリーである。それに第二回ねぴふぁびでも一曲目アンコールとして採用されていた(2曲目アンコールは威風堂々)。

しかし、今回のリベルタンゴは旋律もアドリブも、全部ござさんがやってる節がある。なぜかというと???たぶん、5/1に新しいCDアルバムリリースを控えたござさんが、CDにリベルタンゴが収録されているため即座に弾けたしアドリブも豊富に持っていたからではないか。それは菊池さんもけいちゃんさんもその程度の手札は持っているのではないかと思うが、しかしふたりともリアルライブやら公演やイベントに走り回っているので(菊池さんはネピアコ後にラジオだったらしい)、今回のネピアコのレパートリーだけでも膨大な量の中、アンコールピースまで手は回らなかったためではないか。

 

そんな事情はなんでもいいので、ござさんファン的にこのリベルタンゴは実質ござさんが珍しくバッキングに回らずずっと旋律やアドリブやってたので、聴きどころとしてソロのクラシックメドレーと並んでこの最後のリベルタンゴは注目です。

CDアレンジの全貌がまだ謎の中、このアンコールでまた違う編曲のリベルタンゴを楽しめた気がして、思わぬ天からの賜りものみたいで有難かった。

 

 

 

最後のござさんの挨拶ツイートお借りします。(この挨拶ツイートと、円陣を組む動画は5人のメンバーがそれぞれに投稿されていますが、自分はござさんファンのため、このツイートのみを載せます)

 

コンサート終わって、まっすぐこっちを向いて、笑顔のござさん。

マスクに隠れてるけどこの微笑みがコンサートの成功と手ごたえを確信されてると思う。

 

 

クレジットされないスタッフの方に感謝を込めて

出演者以外のスタッフの方々がわからないので、ここでお礼を書く。

この素晴らしい舞台で自由に演奏できる準備に携わってくださった方々へ。

🎉ロゴデザインされた方

今回のコンサートは、パンフレットも、ポスターも、イメージロゴすらも公式さんから前もってビジュアルが提示されなかった。広報活動はどうなっとるんですかと思うが、当日配信の待ち受け画面と、現地エントランスのデジタルポスター(この記事の最初の方参照)にロゴが掲載されていた。

というわけでどこにも名前も出しておられませんけど、ロゴデザインしてくださった方、ありがとうございます。上下左右反転されたアルファベットが、ピアノによる新しい境地を開くっていうこのコンサートのキャッチフレーズにぴったりです。

 

🎉ヘアメイク・衣装の方

衣装とスタイリングは出演者の方それぞれに担当者の方がいつもおられると思います。公演ごとについているはずですので。

そこで、ござさんの衣装について見てみると、去年のこのコンサート時のセットアップではないでしょうか。インに着たシャツのみ違ってて今回は黒のネクタイをつけられてました。

今回もとってもお似合いの衣装だったと思います。

このときのノーカラーのシャツもステキでしたけど、今回の普通の黒シャツにネクタイもまたスタンダードなのに垢抜けてます。ござさん、衣装を自然に着こなされるようになったなあ(もう何見ても泣く)。

 

🎉調律のご担当の方

当然スタインウェイのコンサートグランドピアノが5台も集結しているので、調律のスタッフの方を依頼しているはずです。

一台だけでも大変な作業と思いますが、しかもこのコンサートはクラシックとは違う奏法になるので、いつもと勝手が違ったのではないでしょうか?ありがとうございます。

 

🎉照明の方

ねぴらぼのもう一つの名物、それがバリエーション豊かな照明による演出だと思う。

いつも会場ごとパッケージのように、それぞれの曲に対して入念にタイミングも考えられた演出が施されてきた。

今回も様々な色彩で投影された照明。

荘厳なパイプオルガンを背景にスケールの大きな演出をしてくださっています。

名前がこちらもクレジットにどこにも上がってきませんが、深謝申し上げます。

 

🎉音響エンジニアの方

配信で鑑賞させていただくにあたり、照明と並んでカギを握るのは音響である。

今回の音響がただ言葉をなくすくらいあまりにも素晴らしかったのでここにコメントでお礼を書かざるを得ない。

ピアノは全部スタインウェイのコンサートグランド、場所はサントリーホールという事を差し引いても、凄かったのです。

どんなに高音域の端の音まで使っても絶対に耳障りな刺さる音にはならず、小鳥のさえずりみたいな鈴を振るような麗しい音色がした。

また、低音域は強く弾いていると割れて聴こえることがあるけどそんなこともなく。

ただただ御担当の方の技術に脱帽です。そしてまるで会場でそのまま聞いているかのような臨場感を演出して下さり、ほんとうにありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1: