ござさんの魅力を語る部屋

ピアニストござさんについて、熱く語ります

大きな古時計で巡る、ござさんアレンジの歴史

 

※ござさんの2ndアルバムについては実際にCDの演奏を聴いてからまた書きます。

ここでの記事はおもに「大きな古時計」アレンジによる「ござアレンジ研究会」さんのリレー動画について語ります。

 

目次:クリックで各項目へ飛べます

 

 

 

ござさんの2ndアルバム「Fantasia」

ござさんの2枚目のピアノソロアルバムがリリースされることになった。

発売日は2024年5月1日。

前回の1st ALBUM「EnVision」2021年11月24日発売から約二年半の歳月を経て、ござさんの「今」が詰まった注目の一枚である。

 

※1stアルバム EnVision発売時の、ござさんのインタビュー記事。

 

 

ござさんのピアニストとしての転換点はいくつもあったと思うが、最大のキーポイントは今思い出してもこのアルバムにあったと思う。

ファンにとっては今も昔も生配信でピアノを弾いてるござさん、という姿は変わらないのだけど。生配信で即興アレンジを自在に弾いてるのがござさんの本来の姿。

でもCDという媒体で出すことで、ピアニストとしては目に見える、手に取ることのできる看板を持つことになる。自分はこの1stCDリリースを夢にまで見て待ち望んでいた。ネット配信での即興が主たる活動ということは、よく言えば一期一会、言い方を変えると二度と同じものはないし他の人にも手軽に案内できる看板がメジャーなところに無いことを意味する。

しかしこのCDリリースに際して自分は心のどこかに一抹の不安があった。

即興アレンジこそがござさんの最も輝く場。

ライブにしても、配信にしても。

「CDに収録した曲」として決め譜にしてしまうと、ござさんのピアノの精彩は全く色を失って命を奪われるのではないか?

 

現に、ござさんは今もほぼ毎週Youtubeツイキャス配信で定期的に演奏されているが、やはり配信でその場で考えられているほうが、生き生きと音とリズムが躍動する。

しかしそんな心配は所詮、素人の浅はかな戯言であった。思慮が足りず愚かなことを口走ってしまったにすぎなかったのだ。

 

今回の、ござさんの2ndアルバム発売に際してのインタビュー。

この記事の中に全て答えは詰まっている。

 

このインタビュー記事から抜粋で引用させていただきます。

――前作では滝廉太郎の「花」をフィーチャーしましたが、今回は「大きな古時計」を選ばれましたね。

この曲も、最初に編曲をしたのは10年前で、そこからどんどん形を変えていった曲でした。僕の配信を見てくれている人にとっては、BGMとしてもおなじみの曲。演奏をする時は「今の自分を弾く」という気持ちになるので、自分の現在地を知ることができる、とても大切な曲です。

 

――アレンジや楽曲のアイデアは、どんな時に沸いてくるのでしょう。

僕は演奏中に膨らむことが多いですね。自分の演奏から着想を得るといいますか。自給自足みたいで変な感じですけど。自分が弾いたフレーズに合うものはと、突き詰めていくという感じです。

 

この記事に見える通り、ござさんのアレンジは生きていて呼吸する。

刻一刻と姿を変えて、一瞬たりとも同じところに留まらない。

 

決め譜を作ったから精彩を欠くのではなく、決め譜があるから、次へのアレンジへの足掛かりになるのかもしれない。

この2ndアルバムのレコーディングの流れの中でも、常にその時のアレンジをその場で咀嚼してさらに新しい着想を得る糧にしている感がある。

 

2ndアルバムのビジュアルも決まったようだ。ピアノをモチーフにしたアート風なジャケットである。POPで幻想的かつ抽象的、明るい色調とかわいらしいイメージは誰でも手に取りやすい親しみやすさを持つ。

 

※レコード会社の公式ページはこちら

 

収録曲のラインナップ:

リベルタンゴ
トロイメライ
幻想即興曲による幻想曲
森の出来事
CHOPIN SYNDROME
空の陰影
悲愴
大きな古時計
ミックスナッツ 
Tank!

 

 

この収録曲には、自分は色々思い入れがあるが、全体的にはCDが発売されてから感想を書きたい。

 

さて、ここに見える「大きな古時計」もまたござさんのピアノアレンジのなかではもっとも歴史が長い曲であり、ござさんファンなら各々の方がそれぞれに胸に思い出をもつのではないか。

ござさんもこの曲についてコメントされている。重複するけどもう一度引用。

――前作では滝廉太郎の「花」をフィーチャーしましたが、今回は「大きな古時計」を選ばれましたね。

この曲も、最初に編曲をしたのは10年前で、そこからどんどん形を変えていった曲でした。僕の配信を見てくれている人にとっては、BGMとしてもおなじみの曲。演奏をする時は「今の自分を弾く」という気持ちになるので、自分の現在地を知ることができる、とても大切な曲です。

 

ござさんの生配信はあらゆるジャンルを持つという意味で横に幾重にも無限の拡がりをもつ。どれが主役というのではない。いろんな要素を絡ませながら、お互いに作用しながら、顔貌を変えていくのだ。

 

お互いに干渉しているようで全く別のいくつもの貌を持つ。

交わらないようで、しかしどれもござさんのピアノに欠かすことのできないファクターだ。

 

生配信の来歴を思い出すと、ござさんのいう通り過去をベースにして現在があり、そして未来は無限に広がり繋がっていく。終わらない時間の道。

 

 

時間という概念とござさんのピアノからイメージしてみた。

 

原始の昔、音楽とは自然の雨の音、動物の声、

耳に入るもの全てだったかもしれない

音楽の黎明を告げる時代

いつごろから人間は音を携え

音楽として奏ではじめたのだろう

 

ござさんはピアノを傍らに

音楽と向き合い対話を繰り返してきた

ござさんにとって音楽は

ありのままの姿で受け止めるもの

 

長い音楽の歴史は紡がれていく

人間の一生はそのうち僅かな間

瞬きするほんの少しだけの時間

 

すべての土地の風土を背景として、

またすべての人の営みに根付いた音楽がある

 

ござさんの音楽は生き物

明日はどんな姿で会えるだろう

 

ござさんの音楽は純粋かつ斬新

歩んでいくのはござさんしか拓けない道

果てしなく続く道

追い求めても、目標は幻影のまま

でもござさんは歩き続ける

この道程はピアノに、音楽に携わる人々

全てに行く先が広く示されている

 

 

ござさんのアレンジを俯瞰してみるーー大きな古時計ーー

2ndアルバムのラインナップに「大きな古時計」がある。

インタビューにもある通り、大きな古時計はござさんの「今」を切り取る指標として、生配信で常に新たな解釈が提示されてきた。

 

現実の配信での演奏がその刹那の二次元的な存在であるなら。

YoutubeTwitterに現存する過去の様々な大きな古時計のアレンジ演奏動画は、ござさんの今に至るまでの足跡を三次元的に表現する、ござさんの歴史の生き証人だ。

可視的、そして寺院の塑像のような不可逆的な存在でもある。二度と同じものを新しく作ることはできないから。

 

 

松尾芭蕉の「奥の細道」の冒頭、

『月日は百代の過客にして、行き交ふ年もまた旅人なり。』

からイメージを引用すると、

ござさんは時空の旅人。

ござさんの音楽は生き物のように姿を変える。

その変化は木が長い年月をかけてゆっくりと小さくも年輪の幅を重ねていくように、目に見えないがしかし着実な揺るぎない歩みをしるす。

 

生配信でござさんの新鮮な今その瞬間を味わう。

アーカイブでその時ごとの演奏アレンジを永く愛でる。

ファンは、ファンの立場から自分のスタイルでござさんの演奏を楽しむだけである。

どの瞬間の演奏もござさんだから、

ござさんが提示する普遍的な世界は時代を超えて語り継がれるべきものだから。

 

 

奥の細道の冒頭部分は、唐の詩人李白の詩「春夜宴桃李園序」に題材をとっている。

引用サイト:『春夜宴桃李園序』李白 【原文・書き下し文・現代語訳・解説】

「春夜宴从弟桃李園序」: 春夜従弟の桃李の園に宴をするの序

李白

夫天地者万物之逆旅、光陰者百代之過客。而浮生若夢。為歓幾何。古人秉燭夜遊、良有以也。

況陽春召我以煙景、大塊假我以文章。会桃李之芳園、序天倫之楽事。群季俊秀、皆為恵連。

吾人詠歌、独慚康楽。幽賞未已、高談転清。開瓊筵以坐華、飛羽觴而醉月。不有佳作、何伸雅懷。如詩不成、罰依金谷酒数。

 

現代語訳。

春の夜に従弟の桃李の園で宴会を開くにあたっての序

月日は万物を泊める宿。時の流れはゆきかう旅人のようなものだ。

生者と死者の違いは夢を見ているか、夢から覚めたかの違いでしかない。

物事は永遠に移り変わり、追い求めても手にできる喜びはほんのわずかだ。古人は夜ろうそくをともして遊んだというが、その気持ちはよくわかる。穏やかな春が美しい景色で私たちを誘っているのだ。大自然はこの世ならぬ美景を私たちに見せる。桃花の香りの中、花園に兄弟たちが集まって楽しかった昔話にふける。弟たちはみな優秀で、謝恵運のような才能を持っている。一方私の詩はとてもその兄・謝霊運に及ばず恥じ入るばかりだ。清らかで雅(みや)びな遊びが繰り広げられ、闊達な議論もやがて清言雅語に代わっていく。敷物を広げて美しい花を愛で、酒杯を次々と酌み交わしては月の光の中に酔う。良い詩がなくてどうしてこの思いを伝えられよう。もしこの場で詩を作れないというなら、昔の金谷園の故事を真似て、罰として酒を三杯飲ませよう。

 

 

「ござアレンジ研究会」による、「大きな古時計」の演奏でファンが辿るござさんの歴史

大きな古時計のござさんのアレンジは、まず代表的なものでいえば月刊ピアノの連載楽譜が挙げられるだろう。

 

大きな古時計アレンジは、月刊ピアノの2020年10~12月に掲載された楽譜である。

月刊ピアノ連載は53回を数えたところで一区切りとなった。古時計以外にもあらゆるジャンルを網羅し、ピアノを学ぶ人には必ずや何かの学びが得られるであろう、奥深くかつ初心者にもやさしい解説記事が併記されている。

「ござアレンジ研究会」ではこの53回分のアレンジ楽譜についてアンケートを行っている。

ござさんファンの方におかれましては、もし回答がまだの方がおられたらぜひご参加ください。(このツイートのツリーに、月刊ピアノ楽譜の参考動画URLもあるのでそちらから演奏を聴くことも可能です。)月刊ピアノ連載は次の6月号から新たなシリーズとして再開されます。この際に、今までのござさんのアイデア満載の月刊ピアノ楽譜を振り返ってみてはいかがでしょうか。

 

 

月刊ピアノ楽譜のほかにもござさんの「大きな古時計」アレンジは様々な形が存在する。Danny Boyと並んでござさんの代表的レパートリーとして挙げられる「大きな古時計」。

現在ネット上で確認することのできるアレンジ動画と併せて、ファンの方によるオリジナルアレンジの演奏も交えつつ、「ござアレンジ研究会」ではリレー動画として投稿されている。

 

 

過去にも様々な節目でござさんのアレンジを演奏されてきた「ござアレンジ研究会」さんだが、

「アネモネ」リレー演奏 ござさんリスナー有志で弾いてみた - YouTube

「清新の風」リレー演奏 ござアレンジ研究会有志で弾いてみた - YouTube

 

今回は演奏とともにファンアートとコラボレーションされている。

ーーYoutube概要欄を転載ーー

ござさんが思い入れがあると仰っていて、2024年5月1日発売のセカンドアルバムにも収録されている「大きな古時計」をテーマに、” ファンアートとピアノ演奏のコラボレーション ”というのをやってみました。
ファンアートは、オリジナルイラスト、DOLL、切り絵、チョークアート、フラワーアレンジメント、詩など。ピアノ演奏は、歴代のござさんのアレンジと、研究会メンバー自身のアレンジです。
目と耳の両方でお楽しみいただけたら幸いです。

 

それぞれの演奏とイメージを合わせたファンアートは演奏と共に、視覚的に訴えかけてくるものがある。それぞれの曲と演奏のイメージに寄り添うようなファンアートの数々。ピアノの音は演奏する人によって表情が違うように、ファンアートも様々な表現で、ござさんの今までの来歴、これからの道のりを静かに暗示してくださっている。

 

「ござアレンジ研究会」では皆日々の生活の傍ら、それぞれに研鑽を積んできた。

ピアノ練習は精神的にも時間のうえからも余裕をもってないと難しい。しかしござさんの楽譜に関しては、弾いているとござさんの和音が楽しめるから、疲れてても時間無くても、一日5分だけでもという気持ちでピアノに向き合えたりするものである。

この一日わずかな時間だけでもピアノの事を何か考えるという事自体が練習の継続という意味では重要な役割を果たすようだ。

少なくとも全くの素人である自分にとってはそうだった。

(自分もこの演奏の片隅に名を連ねているので)この動画について思い入れを語ります。

 

 

以下、各動画の見出しも全てyoutube動画 概要欄からの引用です。

また各箇所に各演奏の頭出し済みの動画リンクをそれぞれ貼りました。

 

テーマ
大きな古時計 -My Grandfather's Clock-』

1. Jazz style(arr.Rie)
チョークアートSaori_kerrisdale
演奏:Rie

演奏頭出し済み(冒頭):『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube

大きな古時計の曲がもつ古き良き時代のクラシカルなイメージ。そこへ現代的なJAZZ風の解釈を加えられたお洒落で格調高い演奏になっています。
ウィットの効いた和音と軽快なリズム、オリジナルのアレンジです。

ござさんのこの二年間の集大成といえるアルバムリリース、その晴れの日にファンから捧げる祝賀の花束代わりの演奏とアートのコラボ。

重厚なチョークアートは色のタッチが奥深く、懐古調でレトロな雰囲気を醸し出しています。そんな中、窓から吹き抜ける一陣の風が初夏の新緑を思わせる。

動画の冒頭を華やかに飾る、グランドピアノでの素敵な演奏です。

 

2. ジャズ・バラード風(月刊ピアノ2020.11月号 arr.Goza)
イラスト:あづ
演奏・再アレンジ:桜と月の森

演奏頭出し済み:『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube
※出典動画ーー月刊ピアノ参考演奏:月刊Piano 2020年11月号「ござさんの All that Goza's Piano Arrange」第11回 大きな古時計(ジャズ・バラード風) - YouTube

シンプルなアレンジに見えるがござさんはリズムをスウィングさせていて、つまりJAZZアレンジの大きな古時計である。月刊ピアノの3つのアレンジ楽譜のひとつ。

グランドピアノでの豪華な響き、美しいアルペジオ、噛み締めるようにひとつひとつ丁寧に押さえられる音が優しい表情をもって聴き手に語りかけてくる。

ゆったりしたバラード調で和音をしみじみと存分に味わえるアレンジ。

 

夜空に瞬く星が大きな古時計を形作り、星たちを背景にござさんのピアノの音が幻想的に流れていく、天の川のようなイメージのアート。桜の花が、ぼうっと光るござさんの手元を優しく彩る。

 

(自分で書いててなんですけど本当ため息が出るくらい音と視覚が本能的に融合しててうっとりする・・・・こんなことやってるとTwitterでは感想を絶対に全部書ききれないので、やっぱりこの部屋でいちいちコメントするしかない。)

 

3. 綺麗な内声・裏メロ特集(arr.Goza)
DOLL:月兎耳-つきとじ- さん
演奏:ひつじぐさ・Saori_kerrisdale

演奏頭出し済み:『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube
※出典動画ーー「大きな古時計」で学ぶ「綺麗な内声・裏メロ」特集! - YouTube

この動画はござさんが効果的に使えると例示されているアレンジ集なので、全部通して弾けば演奏効果抜群の構成になっている。

定番の指使いや和音展開を例示しつつ、ござさんなりのちょっとスパイスを効かせた語法で語られる音楽理論の数々。楽譜も図解で添付されてて、内声がどのように動いているのか、その工夫により和音がどのような効果をもたらすのか?

このござさんアレンジ特有な和音の連続を、ひとつひとつゆっくりと踏みしめて歩を進めるように響かせて演奏されている。

郷愁を誘う優しい音、不思議な一工夫ある和音の連続に、思わず立ち止まって振り向きたくなる懐かしい雰囲気。

傍らでござさん人形がマスコットのように愛らしく、オリジナル曲のモチーフであるアネモネを手に優しくピアノ練習の風景を見守ってくれているようだ。

 

そしてござさんと、ファンのピアノを通じた交流を暖かくつなぐ、数々の演奏のアイデアたち。ござさんはピアニストだから、わたしたちファンは投げかけられたお題に対してまたそれぞれの解釈をしてみせるのもまた、楽しいものである。

 

※この内声・裏メロアレンジ動画そのものについて

ござさんがこの動画のサムネに記している副題は「使える!内声・裏メロ・ベースライン集 in 大きな古時計 obligato/ inner voice  Tips On ”My Grandfather's Clock”」つまり、和声のバリエーションだけではなく、ベースラインにもこだわってるんですね、このアレンジ動画は。

このアレンジが、大きな古時計動画の中ではある意味もっともござさんの原点に近い存在かもしれない。投稿は2019年とござさんの活動遍歴の上では比較的新しいけど、動画の内容はござさんのアレンジ手法に自ら切り込んでいる。そこまで具体的に例示していいのかというくらい、はっきりと詳細にしかも楽譜付きで解説されているのだ。

何がすごいって、この動画は2小節単位とかでこまかくアレンジパターンを実際の曲の展開で例示しつつ、大きな流れで見てちゃんと「大きな古時計」の曲として起承転結を経てまとまってるところです。

ござさんの持ってる手札、カードの豊富さ、その場で対応できる臨機応変さはすでにここで垣間見ることができる。

 

こういったアイデアを可視化・成文化した集大成がござさんのアレンジ参考書となって出版に至ったのだなあと思うと、あらためてこのお題だけで一冊の本が書けるござさんの発想の独自性と引き出しの多さに脱帽せざるを得ない。

さらにもっと恐ろしいのは、この一冊をもってしても、ござさんの演奏バリエーションに実際に肉薄するには全くパターンが足りないのではないかという点だ(素人から見ても)。レパートリーが2000曲を超えるという事実を紐解くと、ござさんが日々携わっている創作の現場が垣間見えてきて驚嘆すると同時、にプロとして活動できる所以もまたむべなるかな、全く首肯するべきものだった。

 

4. ショパン エチュード10-3アレンジ(arr.ひよこ豆
詩:ひよこ豆
デザイン:リオ
演奏:ひよこ豆

頭出し済み動画:『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube

ここだけどうしてもHNで呼ばせていただいてよろしいでしょうか。(といって勝手に進める)ござさんのアレンジを研究して演奏されてる方は多々いらっしゃいますけど、ひよこ豆さんは、このリレー動画の中でもRieさんと並んで実際にござさんのアレンジ手法を用いて自分なりのアレンジ曲を作ってしまわれました。

何のことだか耳を疑う。

人はその才能を鬼才と呼ぶ。

独創的な着想が、ござさんの生配信での意表を突く表現手法と重なって見える。

このメロディラインと和音進行を用いて、大きな古時計の曲の中に何げなく落とし込まれている。(こうやってサラッとやってるようですが、ござさんのアレンジへの飽くなき探求心が成せる業です)

 

夕日が優しく空を染める。

この場面は一日の終わりを告げる時間なのだろうか。

家路へと足を速めているところ?それとも薄暮のなかの気ままな散歩?

 

どちらにしても歩いてる人が聴いてるのはきっとござさんのピアノなんだろうなあ。

何聴いてるんだろう、いつかの生配信なのか、お気に入りの動画なのか。

日が傾く時刻、耳に心地よい風を受けながら……

今日は良いことがあったのかもしれないし、疲れて落ち込んでるかもしれない、でもピアノを聴いて心をととのえて前向きになれる気がしますよね。

 

ござさんのピアノはいつもすぐそこに寄り添ってくれる。

ピアノの楽しさも音楽への情熱も全て包んでいつも黙ってそこにいてくれる。

 

 

5. In Jazz Ballad(arr.Goza)
イラスト:いよかん さん
演奏:Bee Hachi・ティム・ohirunesukisuki

頭出し済み動画:『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube
参考動画:tomorrow(アニー/from Annie)/大きな古時計(My Grandfather's Clock)/どんなときも ピアノアレンジ詰め合わせ - YouTube

ござさんアレンジで楽譜も販売されている:「大きな古時計」 ピアノソロ譜面 mucome

↑↑ この楽譜に記されたござさんのコメントから。

「……音数は少ないですが、余韻を活かした豊かな響きを目指しました。」

 

前述の内声・裏メロの技術と知識をもって書かれたのがこの曲なのではないかと思う。実際にはこの動画の投稿が2014/6/26なので、解説動画の投稿のほうが後になるが。

ござさんの動画がもとになった楽譜そのままであるため、月刊ピアノの楽譜よりは格段に難しい。なぜなら速度は遅くても上記の通りの複雑な技法を用いて和音が書かれているから要するに単純にすぐ弾けるという構成ではないからだ。そもそも曲の長さも月刊ピアノ楽譜の4倍ある。

大きな古時計アレンジの原点の姿。今に伝えられた、いにしえの音楽の語法。

ご提供いただいたイラストも、まるで旧家に伝わる絵画のような古びた仕様になっている。印刷のインクがモノクロだった時代の写真のような懐古的な色調。そして古びた紙の折り目や皺を思わせる独特の加工が施され、まるでほんとうに100年前の演奏会のパンフレットのようなイラスト。

モチーフが大きな古時計というレトロなお題になったのに合わせ、クラシックな時代をイメージしてリアリティを以て仕上げられた絵もまた、ござさん同様にプロの業である。

 

そして、100年前も演奏されていたと言われればうなずけるような、郷愁を誘うピアノの音色。

ござさんが2ndアルバムインタビューで語られた所の「大きな古時計のアレンジは、『今の自分を弾く』という気持ちになるので、自分の現在地を知ることができるとても大切な曲」とのことだった。

でもファンはこの動画に還って来ればいつでもござさんの昔の姿に出会える。

そう思ってこの演奏を聴くと、それぞれの音が雄弁に語りかけてきて、豊かな物語の世界を体験できることだろう。

ござさんの楽譜は、それぞれの和音にこのように深い含蓄があるから練習して弾いていて、自然とござさんと音楽を通じて深い世界を共有できるところにファンとしての醍醐味を感じる。

この曲は通して4分、使われている和音も難解で(素人の自分にはなかなか弾けるものではなく)縁遠い曲ではあるが、この和音を習得でき、曲として演奏できた時の感慨はひとしおではないかと推察する。

 

 

 

6. ラヴェル風(月刊ピアノ2020.10月号 arr.Goza)
切り絵:うみいぬ さん
演奏:よっちゃん

頭出し済み動画:『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube
お手本動画:月刊Piano 2020年10月号「ござさんの All that Goza's Piano Arrange」第10回 大きな古時計(ラヴェル風) - YouTube

3つある月刊ピアノアレンジの2つ目、これは印象派作曲家のラヴェル風である。

詳しく言うと、「亡き王女のためのパヴァーヌ」風に書かれている。

さて、印象派風に書かれた月刊ピアノ連載の楽譜は他にもある。よく知られているところでは2020年3月号の「アメイジング・グレイス」の印象主義風がある。

参考動画:【月刊ピアノ連載】超マニアック?!「印象主義風アレンジ」の方法を声アリ解説!【アメイジング・グレイス】 - YouTube

このラヴェル大きな古時計アレンジは、やはり月刊ピアノ連載の楽譜だけあって、しかもござさんが傾倒している(レパートリーも多い気がする)印象派なだけあって、テーマが一本透っていて、入念に仕組まれている気がする。

上記のアメイジンググレイス動画でござさんが自ら語られているポイントを挙げながらこの動画を見るとやはり共通点が多いことがよくわかる。

・静かで幻想的な雰囲気

・保持音

・平行和音

・(アメイジンググレイスでは月の光と混ぜられている)

・(今回の楽譜ではパヴァーヌと混ぜている)

・旋律をオクターブで演奏すると音域に広がりが生まれる

全音音階(ホールトーンスケール)

今回の亡き王女のためのパヴァーヌ印象派のアレンジにもこれらの要点ははっきりと生かされている、と思う。この前のJAZZふうアレンジとは違い、静かに瞑想するイメージは同じかもしれないがはっきりと使ってる和音が違う。古典派のクラシック風ともまた違う。古風な舞曲をお題にしながらも、ラヴェルらしい近現代的な和音使いが見える。(自分は詳しく調べられてなくてすいません)

優しい幻想的な余韻の残る音は自然と奏者の人柄を映し出す。思慮深く穏やかな、何か哲学的な思索に耽っていそうな姿。

印象派の名の通り、大きな古時計もまたこの曲の中では時空の中に幻影を残す。

 

大きな古時計アレンジのためファンアートも時間の経過を意識して作成してくださっているが、ここでは切り絵によりござさんの演奏風景をアニメーション風にされている。

切り絵のモチーフはござさんのグランドピアノ配信だと思われるが、アレンジ動画の演奏風景とも重なるものがあって、ひとつひとつの和音を弾いてる姿を切り絵にイメージとして写し取った感じがする。

アートとのコラボ、アートというだけあって、芸術の域です(日本語が不自由)。

芸術って持ち主の手から命を吹き込まれて自我を持ち、ひとりでに何か語り出すんですよね。

この切り絵とピアノ演奏がコラボするとほんとうに切り絵が動き出してるという錯覚に陥る。

 

※どうでもいいおまけ
亡き王女のためのパヴァーヌはいにしえのスペインの王宮で王女が踊っていた舞曲をイメージされているらしいので、念のため参考に16世紀スペインの王宮で生まれた王女の画像を貼っておきます。

エレオノーラ・ディ・トレド - Wikipedia

 

 

7. AOR風(月刊ピアノ2020.12月号 arr.Goza)
詩:かまたまうどん
デザイン:Bee Hachi
演奏:かまたまうどん

お手本動画:月刊Piano 2020年12月号「ござさんの All that Goza's Piano Arrange」第12回 大きな古時計(80年代AOR風) - YouTube

(このコーナーだけ唐突に自分の練習日記)

ここは自分が演奏した曲のため、いきなり練習日記の体裁をとります。異論は認めませんので勝手に進めます。

曲は月刊ピアノの3つのアレンジのうち最後のAOR風。AORとはいわゆる80年代のシティポップを指し、この曲も都会的で垢抜けた印象のアレンジとなっています。お洒落な和音で動くリズミカルな旋律がポップな印象を生む……はずですが強弱の付け方が難しくベタ弾きみたいになっている。難しい。

シティポップは曲が生み出された当時は近未来的な要素も含まれていたと思われ、そのためファンアートとして現代的なアグレッシブな背景に、過去から遠い未来へ一貫した道を行くイメージとしていただきました。

そこにござさんの時空を超えるイメージと世の中を広く掌中に納めて展開するアレンジ領域を詩に表してみました。

 

それはいいから。

自分はござさんのアレンジを研究するとかできない素人である。

というか月刊ピアノの連載楽譜を通して一回分自分で弾くというのが今回のお題だったのだが、この時点で自分にはすでに超えられない可能性のある壁だった。月刊ピアノのアレンジは通して弾くと40秒~1分かかる。普通の曲が5~6分とかかかるのに比べると何のことはない短編と思われるかもしれないが自分にとって今回の演奏を動画に撮ってみるチャレンジは清水の舞台から飛び降りるのも同然の荒業であった。

誰が見てるわけでもないピアノ部屋で、いつも使ってる携帯で動画を撮る。ただそれだけのなんのことはない作業だが、動画のカメラが回ってると思うだけでいつもできてる所もミスするものだ。自分はそんな小心者のチキンなのだ。

しかしとにかくござさんが2ndアルバムをリリースするからには自分もそれだけの覚悟を以て何かを為さないとござさんについて行けない気がして(←気のせい)、前から続けてた基礎練から叩きなおしてやりなおし、楽譜のござさんの難解な和音も必死で目を血眼にして覚えた。

しかしよく見てみよう。この楽譜の解説キャッチフレーズに書かれてるのは

「弾きやすさにこだわったAOR風」

である。ござさんはそもそも超絶技巧の使い手なのにこんな素人向けに月刊ピアノの連載楽譜を優しい語法で書いてくださっている。それだけでも感謝なのにこのAORはわざわざ弾きやすさにこだわった、とある。

確かに。

この曲は、アネモネなどEnVisionアルバムの曲の楽譜や、ましてやほかの月刊ピアノ連載の楽譜と比べても、格段に和音が理解しやすかった。

逆に言えば、理解しやすかったので自分は心が折れずに最後まで練習できたという気もする。この曲の難易度は月刊ピアノ掲載時、★★であった。つまり、初心者向けの簡易なアレンジということのようです。なかなか一曲を通して弾くのが難しい自分みたいなのには、こういった存在は神から賜ったお恵みかというくらいありがたいです。

なぜありがたいのか?

最後まで練習できたからやってて楽しかったし、自分の中ではじめて実際に短期間で弾けたので嬉しかったのはある。

それよりも、それまで全くの謎の存在だったコード進行というかコードの構成なるものが、この曲の和音が簡易な仕組みだったおかげなのか????少しわかって来た気がするからだ。

ここで長年の疑問がいくつか(自分の中で)解消できたため、他の曲の楽譜を見ても、そういう意味で曲の造りというかなりたちというか、そこに書かれている意味はどういう意味があるのかという点が分かって来た気がする。

「コード進行は曲を実際に弾いてみるとか解析してみないと、理論だけ読んでてもわかるわけがない」

っていう意味を長年理解できてなくて自分は半ば腐ってて自暴自棄だったのですが、ここの曲でコードについてちょっと親しみを持てたおかげで、ピアノの練習というかピアノそのものに今までよりも前向きに取り組める気がする。

スケールも、何で必要なのかわかってきた。

コードの種類が頭で考えるよりも響きでなんとなくわかってくるから?かもしれない。

ーーーーーーーーーーー

 

以上、ここだけ自分の練習日記部屋でした。

再びリレー動画の感想に戻ります。

 

 

8. ピアノ二重奏(arr.Rie)
フラワーアレンジメント:花職人の店いるでぱいん
演奏:紳士的日本人(Primo)・花職人の店いるでぱいん(Secondo)

頭出し済み動画:『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube

ここでピアノアレンジは原曲、元来の曲のイメージに戻っていく。いわゆる昔から、小さい頃から童謡としてみんな歌ったことがあるであろう原曲のイメージだ。

なんならこども向けの合唱曲などで聞いた事があるかもしれない。

誰もが知ってる「大きな古時計」の楽譜。

このアレンジもまた、アレ研の方のオリジナルアレンジである。(つくづくやってることがほぼござさんである)

小さい頃の童謡そのままのかわいらしいアレンジに、中間部で旋律パートに高音のアクセントがついていて、重厚な古時計を思わせる演奏が続く中でここだけちょっとかわいらしい。装飾音までつけられてて童謡からすこしだけクラシック風に衣装替え。

 

ござさんのアレンジはこの動画の前半を見るとわかるとおりJAZZアレンジが主体となっているため、この原曲通りのバージョンでリズムも和音ももとのままの演奏は動画全体の中でも色んな意味でアクセントとして機能している気がする。

ファンアートは、アネモネが一輪大きく添えられたドライフラワーふうのアレンジメント。クラシカルな色調のモノクロ写真で、童謡にあるおじいさんが生きてきた100年の時の経過を暗示する。

アネモネはもちろんござさんのオリジナルの曲名からモチーフをいただいたものだ。

 

9. 即興アレンジ(2023.10.22 ござさんyoutube配信)
イラスト:Bee Hachi
演奏:Yuri.A

頭出し済み動画:『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ - YouTube

ここで無駄なコメントとかいらないですね。

静かに演奏をご堪能下さい。(動画の最終盤ですがここに頭出ししたURLで貼っていますので直接飛べます。)

出典は、去年のござさんの生配信からの演奏です。(動画はメンバー限定となっているためここには貼りません。メンバーの方は各自アーカイブでご確認ください。)

たぶんモチーフとしては、ござさんの歴代の大きな古時計をモチーフにしたアレンジをこの動画で聴いてきた中で、この演奏は現在のござさんを表しているようです。

過去の一つ一つの演奏を糧に積み重ねてきたござさん、現在もなお進歩、いや進化し続ける姿。

配信の姿そのままのアルペジオで埋め尽くされた標題は、壮麗にして圧巻。

この動画、軽快な古典的swingふうJAZZで華麗に冒頭を飾られていたが、終末はより進化し続けるござさんの姿を暗示して劇的に幕を下ろす。

 

ここに合わせて載せられているファンアートはそのようなイメージなのだろう。

抽象的な歯車と時計の針(の先はペンギン仕様になっている)。

全てモノクロの世界の中科学的な光彩の中に浮かぶピアノの鍵盤。

歯車と交錯する円は、大きな古時計のコード進行の記号で構成されている。

濃い色の中に淡く緑色を帯びてタタミみたいな格子と共に浮かび上がるこれらのモチーフは、ござさんのひたすら音楽と向き合ういつもの姿、これからも音楽を探求し続けていくであろう研究者としての姿を彷彿とさせる。

 

 

サムネイル:special thanks to いよかんさん
音声・動画編集:ひよこ豆さん

 #大きな古時計 #grandfatherclock #ござの日

 

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以上、「ござアレンジ研究会」アカウントにて投稿された

『祝 2ndアルバム発売&ござの日2024』大きな古時計 ファンアート&Pianoアレンジ

のリレー演奏動画について感想を書いてみた。

 

この大きな古時計の演奏は記事の冒頭で述べた通り、5/1発売のござさんの2ndアルバム「Fantasia」に収録されている最新版が待たれるところである。

 

このアルバム曲の紹介動画に、大きな古時計も短いフレーズだけだが登場するので聞いて見て下さい。


大きな古時計の本編の演奏は、CDリリースを待ちたい。

おそらくリリースののちに、各種配信サービスでも鑑賞できるようになるはず。