ござさんの魅力を語る部屋

ピアニストござさんについて、熱く語ります

音楽とござさん

 

この記事の題名。お題がざっくりしすぎというか、対象が大まかすぎてはっきりしないのですけど、これ以外に適切な表現がない。

 

"音楽という人類共通の文化"

ーーーこれを普遍的に、世の中に分け隔てなく広めたい。

老若男女にあまねく親しまれるようにもっと魅力を発信したい。

ござさんの音楽に対する接し方、音楽活動における立ち位置を考えるとこうなるのです。

 

11/12のお誕生日配信でござさんはふと、さりげなく言われている。
【スペシャル】グランドピアノ弾いてますリクエスト募集中! 2023/11/12 - YouTube
(※この記事書くのが遅すぎてもうメンバーシップ限定公開になっててすいません)

「クラシック弾きましょうか?こういう特別な配信では、ひねらずに王道を弾けばいい気がするので。」

この言葉に自分は決定的に違和感を感じた。違和感ありすぎてこのお誕生日配信のアーカイブが二週間くらい振り返れなかったくらい、自分の認識と決定的にずれている何かがあった。でもそれがわからなかったのでここの日記も更新できずじまいだったのだけど。

お誕生日配信ってもっと華やかに楽しくやるんじゃないの?いつものアレンジも特別バージョンとか、豪華な盛り上がる曲でファンと一緒に今までの一年を振り返り、これからの活動の抱負を述べるとか・・・?

え・・・?ひねらず王道?????

と、オーソドックスな選曲を眺めながら自分の中で自問自答してみた。

でもどうしても答えは出なかった。

 

しかしちょっとしたきっかけで解決の糸口をもらった気がするので、考え方を変えてみた。

 

ござさんは音楽活動をしている。なんのために?

 

 

その答えはこの動画の冒頭で既に提示されていた。明文化されているのはこの時だが、語らずともその姿勢はネットで活動を始められた2009年から(2ちゃんのセッションスレを考えるともっと前かも)、ずっと一貫して続いていると言っていいだろう。

ござさんの目的は「全てのジャンルのピアノを弾きたい」

 

でもこの動画を見た時すでに、自分の中のどこかで疑問は提示されていたのかもしれない。

「すべてのジャンルをピアノでって、何のために?」

ござさんのこの徹底した満遍なくすべてのジャンルの曲を弾くっていう姿勢のために、練習内容とか選曲とか、音楽家としてのかなりのリソースをそこに割いていると思うんですよね。

それだけの腕前をお持ちなのだから、何かのジャンルを極めることなどたやすいとは言わずとも夢ではないはず。

たとえば。

JAZZアレンジを長い年月かけて掌中に納められているのですから、JAZZの本場のアメリカに行って研究なさるとか、ラテンの本場に行ってリズムを肌で体感し会得するとか…もう自分のものにしてしまわれてるけど、よりそれぞれの分野の研究が深まるのでは?それは、ござさんのレパートリーのあらゆる分野に言えることではないのか。

何かを究めたござさんのピアノ、進化したござさんの地平線の彼方に見える姿はどんなだろう?って見てみたいと思った。

自分のこの考え方がつまり現実のござさんの姿勢とずれていたから、ずっと自分の中の違和感は消えなかったし、しんどかったのかもしれない、と思う。

 

ござさんはどこまでも音楽の本質を追求している。

 

ござさん自身が演奏家として極めるため?

というよりは、

音楽の本質をつまびらかにして平易へいいに表現し、あまねく世の中に知らしめたいのでは?

つまり活動の主体はござさん自身ではなく、音楽そのものに置いているのではないか。

探求すればするほど、音楽に対して真摯に向き合うほど、ござさんの中では個としての自分の存在は音楽の中に埋没して個性は見えなくなっていく。

ござさんは唯一無二の個性的な存在であることは間違いないのだけれど、ご自身からは決して個を誇張して発信されない、という意味だ。

音楽を主体として発信するときに個はむしろ余計な存在だとでも言うかのように。

 

生配信のときにいつもあらゆる分野を長期的に見て偏りなく色々演奏されるのも、

それは聴く人全てに、あらゆる分野にわたって音楽は分け隔てなく素晴らしいのだということをわかってもらいたいからなのかも。

そのために手を尽くしてアレンジを色々試し、どのようにすれば聴き手に伝わるのかを探求しているように見える。

 

月刊ピアノでアレンジ楽譜とコラムを連載されてるのも(もう年明けから5年目になるのでは?)、

ござ式のピアノ演奏のアレンジの手引き的な本をまとめられたのも、

全部、ござさんの考えてる世界を少しでもファンに体験してもらって、一緒に音楽のすばらしさを共有したいからだと思う。

 

ござさんは超絶技巧を操り、また複雑な音楽理論を駆使して縦横無尽に夢みたいな演奏を配信で披露されている。

でもそれらの根底にあるものをわかりやすくファンにでもできるところまで解像度を鮮明にしている。なぜならファンが理論とか知らなくても、曲についての知識とかなくても、ござさんのピアノは直接心に訴えかけてくる説得力を持っているので。

 

音楽にはジャンルの垣根も国境もない。

色々気軽に取り組めるし、躊躇することなく気構えることなくやってみると、そこには無限にめくるめく世界が広がっているから、一人でも多くの人にそのことを知ってもらいたいと思われているのでは?

 

月刊ピアノの連載のコラムの懇切丁寧、優しく平易にして本格的に掘り下げた内容。

アレンジ楽譜の色んな分野を取り入れつつもしっかりとござさんならではの和音とかコード進行?が盛り込まれててしかも素人でも練習すればできるのでは?と思わせてくれる、現実的な難易度。
※動画一覧:月刊Piano「ござさんの All that Goza's Piano Arrange」 - YouTube

ござ式のアレンジガイド本の、わかりやすく系統的にまとめられた内容と、素人と中級者の方向けに分けられたステップ別の解説。そして圧倒的な量を誇る具体的演奏例と楽譜。ござさんによる何十本もの演奏音源までつけられている。

 

どうにかして、素人にも、ピアノ触ったことない初心者にも、音楽に興味持ってもらって一緒に楽しんでほしいっていう熱意をひしひしと感じるのだ。

もはや執念と言った方がいいかもしれない。

 

これらは全部自分の想像にすぎないけど、ござさんの性格とか活動の姿勢から考えてそう仮定するといろいろと腑に落ちることが多いということだ。

音楽は、時代も国境も人種も越えた、人類共通の文化。

 

音楽を英訳するとmusic、この単語が意味する狭義の音楽というのは、直截的には中世に端を発する西洋音楽を意味する。(このムーサという単語はmuseum、つまり美術館・博物館の語源でもある。)

英語の"Music"を始め、ヨーロッパの多くの言語においては、古代ギリシャ語のμουσική (mousike; 「ムーサの技[わざ]」の意)を語源とする。ムーサはミューズの名でも知られる芸術や文化を司る女神である。(※参考リンク:音楽 - Wikipedia より)

しかしござさんは民謡とか民族音楽とかも同様な視点で見ていて、そのほか音とリズムで表すことのできるすべての存在を音楽と捉えてるようだ。

ござさんの奏でる調べは世の中にあるすべての音楽に敬意を払っている。ゆえにどの曲のアレンジも聴く者の胸にひときわ深く響くのだろう。

 

 

ーーグランドピアノとござさんーー

2023/11/12の生配信はござさんのお誕生日ということもありグランドピアノスタジオからの演奏だった。

序盤の選曲も千と千尋の神隠しからの「ふたたび」という曲……

ほぼグランドピアノ配信は2年ぶりだからだろうか。

このスタジオも以前毎週通われていた配信のスタジオと同じ場所、たぶん同じ部屋でピアノも同じなのだろう。

ひさしぶりの懐かしい相棒との再会に際して「ふたたび」のアレンジをイメージされたのかもしれない。

「やっぱりグランドピアノ弾くの楽しいですねっ!」

と、ござさんは、はやる心を抑えかねてる様子。

 

グランドピアノをスタジオじゃなくて家に買えばいつでも弾ける、練習もいつでもできるという説もあるが。

ござさんはあくまでスタジオで弾きたいのだろう。

そのほうが色んなピアノに出会える。ピアノにはそれぞれ個性があるらしいから、その時置かれた状況でピアノにどう接するか、どう弾くかを工夫するのもござさんの中では楽しみの一つなのかもしれない。

家にもグランドピアノ、買えるはずですがござさんの音楽活動の中ではグランドピアノ弾くだけが全てじゃない。色んな音楽に対してフラットに接するというなら、ピアノ弾くだけじゃなくてござさんの表現方法はもっとマクロな選択肢を持つだからだ。楽器としてのピアノ演奏のみを通してござさんの音楽を理解しようとすると、途端に演奏から流れて来るござさんの思考は言葉を失ったように口をつむぐに違いない。

 

でも楽器としてのピアノ、そこでしか得られない音色も厳然として存在することに偽りはない。

だからこそござさんはグランドピアノの音色との出会いを楽しんでいるように見える。あくまで個人的な楽しみとして。

楽器は演奏すると自然な音の波長が何重にも派生して豊かな倍音を生み、音として聞こえる響きに豊かな表情をもたらす。その豪華で贅沢な音響には画一的な基準は存在しない。ござさんはピアノに実直に問いかけ、明るく伸びやかで豊潤な音のレスポンスを楽しんでいるかのようだ。

また、王道にして定番の曲としつつも、やはりござさんならではの和音の展開をひそませて、それに対しピアノから聴こえてくる響きに心地よい驚きとささやかな満足感を味わいながら、鍵盤の感触を楽しんでいるように見える。

だからこそ、ござさんにはグランドピアノの音を楽しむ空間を存分に味わっててほしいというか、好きなだけ楽器の生の音を愛でていてほしい。リクエストとか気にせずに二時間弾きっぱなしの楽しい時間でもいいじゃない。

 

と思うがござさんの生配信の題名にはいろいろ時季の文言をいれつつ絶対に外さないキーワードがある。それは「リクエスト募集中!」だ。あくまでござさんにとっては生配信はファンと、リクエストとピアノ演奏のキャッチボールの場なのだろう。多分そのスタイルはニコニコ生放送時代からずっと変わらないままだ。

 

それ見てて思うんだ。

ござさんはあくまでファンから求められてピアノ弾きたいんだろうな。

そしてファンが求める音楽という欲求に対して、演奏という形でどのように音楽を提示できるか?というキャッチボールの場、それが生配信なのかなと思う。

ファンから提示される音楽も、古今東西あらゆるジャンルに渡って音楽という存在全部を網羅せんとする勢いだ。

しかし、それに応えござさんが演奏にして現出して見せる世界は、ファンの思い描く楽曲そのもののもつ既成の概念を遥かに凌駕している。

あるときは孤高にして崇高な厳粛さを持ち、また誰もが涙せずにいられない抒情豊かな調べにあふれていて、ときにはロックやアニソンのビートが炸裂しベースラインが縦横に駆け巡る…

その発想は即興演奏のときにこそ、より鮮やかに閃いてまるで儚い陽炎のようである。