※この記事は前回の続きです。
一般的に有名な曲のうち、ござさんの名アレンジを用いて語ってみましたが、今回もうちょっと補完します。
題して、
まだまだある!
もっと極める!!
ござさんのピアノ配信を渉猟して巡る旅
鍵盤楽器とは違った音色に焦点を当てた圧巻のアレンジ!
目次:クリックで各項目へ飛べます。
- ①マスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
- ②ハチャトゥリアンのバレエ音楽「ガイーヌ」より
- ③チャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」組曲より 中国の踊り
- ④ロッシーニの歌劇「ウィリアムテル」序曲から スイス軍の行進
- ⑥ラヴェルのバレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲より「夜明け」
- ツイキャスから:★★ネタバレ注意★★ツイキャスを聴いてない方はあとでお読みください
シフラ編曲版の熊蜂の飛行とかもピアノ用の名アレンジとして、ござさんのレパートリーにも入ってて自分も大好きだが、あえてこの記事では取り上げない。
なんでかっていうと、古来有名なピアノ曲は、そういうアレンジ版も含め、鍵盤で演奏する楽曲として、完成されてしまっているからだ。
自分は、あくまでござさんが鍵盤上に自由に演出する世界を楽しみたいんだ。
この記事ではそのお題の例としてクラシック曲としているにすぎない。
完成された決められたお題を古来ある解釈通りに弾くってのは、自分が描くござさんの姿とは違う。ござさんが追ってる音楽もそこじゃないと思う。
ござさんがつくる自由な世界が好きなんだ。
ござさんのピアノでしか聴けない音があるから好きなんだ。
※ 生配信アーカイブは、今の所2020/8/20以前はメンバーシップ会員限定の公開です
①マスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲
2023/4/15 【ピアノ配信】帰ってきましたリクエスト募集中 2023/04/15 - YouTube
原曲:マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲 - YouTube
前の記事の、ドヴォルザークの交響曲9番二楽章「家路」のところで、原曲では管楽器のビブラートで歌い上げる旋律を、繊細なオクターブトレモロで表現しきっていてすごみがあると書いた。
家路が管楽器のビブラートだけで謳う名曲なら、こちらは弦楽器のビブラートで謳う名曲なのだけど、何も言わないからござさんの表現にただただ聴き入ってほしい。
この原曲のオペラのストーリー展開は凄惨だったりするのだが、間奏曲は俗世のしがらみから解き放たれたような、天上の世界を描いたような美しさ。
ござさんのアレンジは中間部のサビから入ってそのままクライマックスの山場に至る。
原曲はオペラの幕合いの間奏曲ゆえに、ピアノアレンジの旋律にもござさんはアリアのような情感をもたせて訴えかけてくる。ふとこちらも思わず引きずり込まれて旋律を口ずさんでいる……
②ハチャトゥリアンのバレエ音楽「ガイーヌ」より
α:剣の舞
2023/9/10 ピアノ弾いてますリクエスト募集中! 2023/09/10 - YouTube
原曲:Khachaturian: Sabre Dance / Ozawa · Berliner Philharmoniker - YouTube
もう有名すぎて原曲の説明いらないですね。みんなどこかで聞いたことあると思います。コンサートとかじゃなくても、どこかで。
このアレンジのかっこよ!ポイントは、右手です。
正確に言えば右手のクロスです。
爆速のリズムを左手で刻みながら、シロフォン(木琴)と高音の木管楽器で有名な旋律を右手(当然和音でやってる、装飾音つきで!)でやる。
これで両手ですね?これでギリギリ両手です。
でも原曲のトロンボーンのグリッサンドがこの曲の看板ポイントなので、そこを強調させたいがためにいちいち右手をクロスさせてなぜか原曲より低いBASS音域でやっている。
なんでですか?
BASS音域だとさらに目立ってかっこいいからですか?
なるほど。
あ、途中の右手の和音が変わる所はもっと看板ポイントなので当然入れてきてますね!
β:レズギンカ
2023/5/13 【ピアノ配信】ピアノ弾いてますリクエスト募集中 2023/05/13 - YouTube
原曲:[1991 Live] "Lezginka" - Moscow Radio Symphony Orchestra, 7th Jun 1991 Japan - YouTube
レズギンカとは、コーカサス(カフカス)地方の民族音楽・舞曲のこと。
コーカサス地方ってどこかって?黒海とカスピ海の間の地方。ジョージアとかアルメニアとかアゼルバイジャンがあるあたり。
ござさんの生配信で何と言っても熱量がこもっているのが最後のノンストップメドレー。自由にアレンジして発想をつないでいくのがござさんの本領、何が起こっても不思議ではない。この5/13のメドレーの終盤、JAZZの名曲からモルダウとLet it be に感動して、Omens of Loveが爽やかな疾風と共に駆け抜けていって、その勢いで高速コロブチカが来て驚いていたら、さらにそのままの勢いでレズギンカ!なんで!?ロシア民謡つながり??なるほど!!って自分は納得してたのだったがチャット欄はコロブチカの派生アレンジの一部?と思われてたふしがある。いやほんと、コロブチカの高速右手の中に一音ずつ旋律を混ぜながら、そのまま次のが始まるって思わないよね。
チャット欄は、なんだ?とか、
ひえーとか、すごーとか、
どうしたござさん?
とかいう声が多い。みんなコロブチカの勢いを追撃できず、ござさんにまんまと撒かれた感が否めない。
してやったりとほくそえむござさんの姿が浮かぶ。
でもこの曲は、いつかやってくれないかなーと、自分はダメもとで時たまリクエスト投げてた曲なので、どうやって弾くんだろ、ござさんがやったらすごいことになるぞってワクワクしてたので。
たぶん名実ともにこの回始めて弾いてくれた思い出の配信です。
ご覧の通りです、もう笑っちゃうし(褒め言葉)。
(高速パートが得意なフルートほか、原曲の木管楽器の)高速の旋律を意地でも拾う右手。
おそらくオクターブで変則的に跳びまくる左手。
2:06:46 (頭出し済み)~の右手がさらに人間じゃない。この裏で、がっつり鳴らしながら下がっていく左手も圧巻。
【ピアノ配信】ピアノ弾いてますリクエスト募集中 2023/05/13 - YouTube
※おまけ:ガイーヌのバレエ動画(実際のバレエなので速度が現実的)
レズギンカ バレエ「ガイーヌ」より、ハチャトゥリヤン作曲 アルメニア・バレエ団 - YouTube
③チャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」組曲より 中国の踊り
2020/7/5 顔出しピアノ リクエスト受付中! / Piano live 2020/07/05 - YouTube
バレエ音楽つながりでソ連というかロシアバレエから。チャイコフスキーの3大バレエ音楽はどれもBGM風な場面も含めて全部、どこをとっても絵画的で美しく、劇的かつ壮大だ。その中でも知名度が高いからよく弾いてくださってるのだろうと思われる、くるみ割り人形。その中でも行進曲、金平糖の踊り、花のワルツは特に有名、しかしこの配信ではそれらの名曲に加えて中国の踊りも演奏されている。
レアです。たぶん中国の踊りはこの回だけなので。
ファゴットが刻む再低音域のリズムを左手で拾いながら、風のように過ぎ去っていく右手……そう、フルートの旋律をそのままガチで鍵盤でやってる。
この旋律はフルートだからできる、フルートを想定して書かれてるんですけど。恐るべし。
しかも、フルートの旋律と交互に現れる弦楽器のピチカートはきっちりスタッカートに変えてくる(和音で)。
※バレエの原曲は当時フランス発信の流行であったシノワズリ(中国趣味)をもとに東洋風なイメージで書かれている。衣装も東洋風。
紅茶(中国の踊り)、バレエ「くるみ割り人形」16/26 第2幕第12曲c、キエフ・シェフチェンコバレエ団 - YouTube
④ロッシーニの歌劇「ウィリアムテル」序曲から スイス軍の行進
顔出しピアノ リクエスト受付中! / Piano live 2020/07/30 - YouTube
管楽器パートはダブルタンギングでやってるこのメイン旋律を同音連打でさらっとやっててかっこいい。それらの旋律の合間の左手でやってる低音も。この勢いのまま息つく暇もなくラストまでもっていってて圧巻です。
鍵盤がアップで映ってて画面左半分では鍵盤の全体像も見えるという色々な意味でサービスもすごい。背景になんか見えるのは気のせい。
※おまけ:同じく2020/7/30の配信で楽しむガーシュウィンとアンダーソン
Swing JAZZ 華やかなりし時代のアメリカを振り返る
3:46:36 I Got Rhythm
3:47:20 パリのアメリカ人
3:03:41 トランペット吹きの休日(アンダーソン)
これらの曲は人気なので皆さまご存じと思いますが、同じ配信で楽しめるためメモしておきます。SwingJAZZだとラプソディーインブルーも配信では良く演奏されてましたが、あまりにも有名なのでここには書きません。
軽快なストライドにのせてきっちり旋律を左手の裏拍に充ててくる。
華やかなりし時代のオールドアメリカの雰囲気。
※おまけ:2023/10/14の配信でもアンダーソンの曲が聴ける(頭出し済み)、ぜひメドレーでお楽しみください。
ピアノ弾いてますリクエスト募集中! 2023/10/14 - YouTube
⑥ラヴェルのバレエ音楽「ダフニスとクロエ」第二組曲より「夜明け」
2021/7/7 七夕グランドピアノ配信! 2021/07/07 - YouTube
※原曲:Maurice Ravel: «Daphnis et Chloé». 2ème Suite, Simon Rattle - YouTube
「夜明けは」この動画の冒頭から7:20まで。ござさんは冒頭から5:00前後までをアレンジされている。
ほかにもラヴェルの管弦楽曲アレンジはござさんの配信の中でも星の数ほどあり名演奏揃いですが、きりがなくなるので、極めつけのこの曲を選んでみた。
ござさんは、右手で木管楽器の静かな細かい音符をやわらかい絨毯のように敷き詰めながら左手は厳かに通奏低音を効かせている。右手が弦楽器がうねる旋律に移ると、左手が右手でやってた細かい音符をそのまま引き継ぐ。
????
ん?サラッとやってるけどその細かい音符左手でそのままやるんですか?
案の定、指足りないから両手でそれをやりつつ、旋律を両手のどこかの指で単音で弾いている。
いわゆる第三の手奏法。
その隙を突いてフルートの高速アルペジオが一陣の風のように爽やかに吹き抜けた。
おかしい。両手いっぱいのはずなのにそのアルペジオはどこから現れた?
この厳かな雰囲気の中、夜明けを迎える様を表現している。
そして左手の高速の木管のうねりを巻き込みながら、弦楽器の大きなうねりの旋律をダイナミックに右手で(右手は旋律以外にもなんかやってる)おおらかに表現しつつ、クライマックスに持っていく………最後の創作アルペジオの最後の音まで繊細で美しい。
もうござさんこれ指揮者ですよね。
ツイキャスから:★★ネタバレ注意★★ツイキャスを聴いてない方はあとでお読みください
2023/11/8 突発ランダムレパートリー練習無言配信 - ござ 🎹 (@gprza) - TwitCasting
1:02:43~ アンダーソン Plink, Plank, Plunk!
ひょっとしなくてもこの演奏はござさんの配信とか動画でも初出かもしれない。
軽快にして軽妙、それでいて愛らしいアンダーソン独特の曲調を、小粒なスタッカートで打つ。ござさんはまるで現場のアンサンブルに参加してでもいるかのように、全てピチカートの中にもささやかな表情と僅かなうねりを忍ばせていて、まるで上品なウインクみたいな音が思わず微笑みを誘う。
※原曲:Leroy Anderson - Plink, Plank, Plunk /Anna Duczmal-Mróz conductor - YouTube
27:27~ ボロディンの歌劇「イーゴリ公」から韃靼(ダッタン)人の踊り
韃靼人とは、中央アジアのモンゴル高原からカザフステップの草原地帯、いわゆるトルキスタンに広く分布したトルコ系騎馬民族の遊牧民のこと。中世以降、勃興してきたロシア帝国と戦端を交える様が「イーゴリ公」に描かれている。
この韃靼人の踊りは、ござさんの配信ではオーボエの有名な旋律が主に演奏されることが多いけど、このツイキャスではもっといろいろな主題も演奏してくださっていて貴重。
オーボエの主題に続いて、木管楽器の掛け合いをなぜか右手だけでやってる謎。
(原曲の頭出し済み)ボロディン オペラ「イーゴリ公」より「韃靼人の踊り」 - YouTube
宇宙の神秘。右手でどうやって一人二役なのか何回見ても仕組みがわからん。そこから始まる迫力ある場面も演奏して下さりもう涙なしには語れない(´;ω;`)。なんてったって注目は低音部。華麗な木管楽器の掛けあいの裏で地響きと共に迫ってくる下降形のBASS音域。見てて空気がビリビリ震える(気のせい)。
ここからラストになだれ込むんだー!って思いきやラストには原曲中間部のキメを持ってきてる。なんでやねん。
(原曲の頭出し済み)ボロディン オペラ「イーゴリ公」より「韃靼人の踊り」 - YouTube
真のラスボスはここからだった。
原曲でいうチューバにバストロンボーン?にコントラバスにバスクラとかファゴットとか(以下略)、後なんといってもバスドラム!とか、オーケストラの低音ていう低音が一斉に咆哮するのをがっつりやっている左手。
具体的にいうと右手が半音ずつ上がっていって最高音になる一歩手前で鳴らされる左手。あまりの踏み外しぶり、あまりの音圧にまじでパソコンの液晶壊れる(気のせい)。
恐怖におののいている隙に、右手がまたしても高速オクターブで動いてるのを発見し、さらにドン引き(褒めてる)。
皆さま、お楽しみいただけたでしょうか。
このあとに吹奏楽曲も続けようかと思いましたがさらに長くなるため割愛します
(さらにオタク道に走ってしまうため)