ござさんの魅力を語る部屋

ピアニストござさんについて、熱く語ります

11/5の生配信

 

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テクい時代との訣別

ござさんのレパートリーにはテクい曲つまり技巧的なものが数多くあるが、少なくとも今はもう弾けなくなった、と言われていたものを挙げてみる。
「シュレーディンガーの猫(トイコンテンポラリー)」を弾いてみた (toy contemporary / piano cover) - YouTube

この音ゲー曲である。確かこの動画撮るのに年末年始の休みを全部費やしたそうで、定期的に弾く曲にするにはあまりにも練習のコスパが悪い、という事らしい。

 

テクい曲で行方不明のものは他にもある。やはり音ゲー曲が多い。生き残ってるのを祈るばかり。

L9 (piano cover) - YouTube (←11/5 弾いてくださったため生存が確認されました)
Macuilxochitl (piano cover) - YouTube
七つの海よりキミの海(波打際のむろみさんOP) on piano - YouTube

 

(そこでふと自分のかつての好みを思い出す)

自分も、いい演奏=テクい曲の演奏、という時代があった。音楽は競技、勝ち負けが全て、っていう価値観の時代。いわゆる若気の至りってやつだ。

 

しかし音楽は早さとかテクとかいう、ストップウォッチで測れる数字だけで比べることはできない。

そもそも、音楽を鑑賞するのに比べる必要なんかない

ていうことに、ござさんのピアノに出会ってから気づいた。

芸術は聴いた人がそれぞれにどう感じ取るか。

良し悪しというか順位なんて、聴いてる人の数だけ違う意見が存在するはずだ。

そういうことだ。

その感覚と、順位は全くベクトルの方向が違う。

 

三者が客観的につけた順位、それによって評価される演奏。

他人がつけた序列には別に興味ないです。

その序列は、音楽そのものになんか関係あるんですか?

それって運動会の徒競走の順位と何が違うんですか?

音楽ってそんな物差しみたいな単一の側面でしか見れないものなんですか?

音楽を、演奏を聴いて個々人が素直に感じたこと。

それこそが、音楽に対する正直なレスポンス。

演奏に対するそれ以外の応えって、無いだろう。

 

まっさらな状態で聴いて、いいと思った演奏、いいと思った音楽が自分にとって大事な存在。

 

自分は、「自分なりにござさんのピアノが大好き」っていう感覚をずっと忘れたくない。

それは誰とも違う自分の存在意義だと思って、心の隅に大切に携えていたい。

この部屋の記事を読んで同感だと思ってくださってる方がいるとしたら一緒にござさんへの気持ちを共有できてうれしいですけど、それはあくまで奇跡みたいな偶然であり、必然ではない。

そんな、偶然ござさんへの気持ちを共有できたという喜びをかみしめながら、ああござさんの音楽に傾倒されてる人はこんなにいるんだなっていう事実に感動しながら、日々ここの部屋で自分の気持ちをしたためている。

 

 

さて、この記事では11/5の生配信のことについて考える。

嬉しさを抑えきれないござさん

配信の最後のノーストップメドレー、いつも必ず最後にお題を決めずにチャット欄からリクエスト拾ってくれる、ござさんもファンにとっても楽しい時間。

「メドレーを長めに自由に弾きたいんです」

と、とにかく好きなようにやりたいということでその台詞どおり一時間はあったのではないだろうか。

このメドレータイムの自由さ、一曲を丁寧に弾いてくれるところ、バラエティに富んだジャンル、奇想天外な発想、…どこかで見たな。

そう、2020年8月までの配信で、前半1~2時間ノーストップでやってたスタイルに酷似してきた。

そのころ、配信のら後半は休憩を挟んでスーパーチャットで投げられたリクエストをメモし弾くタイムだった。スパチャによるリクエストは今は廃止されてるので関係ないとして。

だんだんあのころのスタイルに回帰しつつあるのかもしれない。

自由に弾くのがメインのスタイルに。黙ってずっとリク拾いながら弾いてたあの姿に還りつつあるのかもしれない。

滝コメからリクエストを拾う方法として、メドレーで色んなジャンルをやるという手法が定着してる気がするが、ござさんのアレンジが冴えわたり、独創性が炸裂するのはなんといってもノンストップメドレーだと思う。

 

制約も足枷もなくなった時のござさんの発想は……

思索のアンテナを多重次元にめぐらせて、

思慮深く海よりも深い精神世界を湛え、

ひばりのように空高くどこまでも羽ばたく。

 

もはや生配信全部ノンストップメドレーでもいいやん?という暴論も常に自分の中の片隅に居座っている。しかし決まったジャンルのメドレーごとにやってほしいという需要もあるし、滝コメからリクエスト拾うのにはメドレーが効率いいから、結局今のスタイルが最適解なのかもしれない。

ただ、ござさんの独創性は膨大なインプットがあるが故の賜物だと思うので、ござさんの自由な様々なツイートを見ては、あー次の生配信も楽しそうだなーとそっちに発想が飛ぶ。

 

冴えわたるJAZZ、ついていきたいファン

11/5 この日の演奏、なんといっても白眉は冒頭の2曲、Moon Riverともののけ姫の曲である。

いや生配信は全てが名演奏なのだが、あえてこの2曲を挙げる。この2曲を聴けばこの日の生配信のすべてがわかる、とはちょっと言い過ぎ?ほかにもいっぱいあったでしょって?

ただ、JAZZアレンジが素晴らしかったと言いたいのだ。

JAZZってなんだ?JAZZに特有の和音進行、特有のリズム、特有のアドリブフレーズ……ていう色々な音楽的縛りがあるはずだけど、この記事は素人が書いてるのでそういう知識はないのでスルーする。自分はただ聴いててJAZZっぽいな、お洒落な物憂い和音だな、アドリブがアツくてかっこいいな、とか野生の勘で感じてるにすぎない。

 

(そういう素人が聴いても)このオープニングの2曲が殊更に美しくて艶を帯びていた。前奏というか導入部からのゆったりとした曲調を丁寧に、ワルツなど交えながら優雅に語ってくださるござさん、その憂いを帯びた調べに静かに耳を傾けるチャット欄。

それからもののけ姫の曲で、映画のラストシーンで流されるEDテーマ。

ござさんの演奏って楽曲という存在に魂から向き合ってるんですよね。穏やかな曲演奏してても、根底に流れる音楽そのものへの情熱は隠しきれてないんですよね。

そこから編み出される音の群れはしみじみと心に響く。

 

ござさんのピアノ、こういう音ひとつ取っても、明らかに何か語ってるんですよ。

寡黙にして雄弁。

陰翳礼讃いんえいらいさん

↑ ※元ネタは谷崎潤一郎の随筆から。【陰翳礼讃 - Wikipedia :『陰翳礼讃』は、谷崎潤一郎の随筆。まだ電灯がなかった時代の今日と違った日本の美の感覚、生活と自然とが一体化し、真に風雅の骨髄を知っていた日本人の芸術的な感性について論じたもの。】

抒情的な音の流れが紡ぎ出すわずかな陰………

その中にござさんは細やかな感情を織り込む。

 

 

この日は配信全体がえもいわれぬ艶をまとった雰囲気に包まれていた。

J-POPのリクエストも、クラシックも、どんなリクエストもJAZZふうにリズムを揺らして崩し、ブルースふうな物悲しい和音を混ぜている。

原曲ふうな雰囲気に仕立てられた端正なショパンの雨だれが合間で顔を見せると……周りの物音がしない中、雨粒が滴る如く規則正しく刻む中低音の響きだけが波紋のように広がっていく。

 

上記の通り、この日のラストのノーストップメドレーは一時間以上続いた。

「生配信だし、弾きたいだけ弾いていいよね!」

というノリで嬉々として早速リクエストを拾うござさん。

そうです、仕事として音楽活動を続けられる中、この週に一回の生配信枠は、数少ないござさんが自由に演奏できる空間なので。

のびのびと、それはもう思う存分、好きなだけはっちゃけてください。

そんな楽しそうなござさんと素晴らしい演奏を愛でる空間と化している、ラストのメドレー。ファンとしては楽しそうなござさんを見られるのは本望なので願ったり叶ったり。

 

聴きどころって全部ですが。

特に拾っていくと……

ノーストップメドレー冒頭のJAZZ曲二つがすでにアレンジが美しい。奇抜なアドリブとかいうよりも楽曲として美しい。

 

その次のアラジンの曲も人気で楽しいアレンジだが、

革命のエチュードが素晴らしい。革命がまずフルバージョンで必聴なのはもちろん。というかメドレーなのにどの曲も長め、原曲通りとアドリブも加えて丁寧にアレンジされている。その次のアンパンマンと混ざってる革命が素晴らしい。ノーストップの白眉は何を於いても革命風のアンパンマンである。

チャットで誰かがのたまう。「あんこの入ってないアンパン」と。言い得て妙である。そして、ラストのキメがなんとなくモルダウの終盤ぽく、格調高くて壮大。何言ってるのか分からない?だってそうなんだからしょうがないです。

 

それから、I amから始まるルパン三世からのカンパネラ。どの曲にもシレっと I amが混ざってきてて油断ならない。いいからとにかく配信を聴いたら分かる。

※参考アレンジ(この配信中のアレンジ例動画、もう暗記してしまってこの曲を配信で演奏されるとこの動画が自分の中で自動再生されてしまうので困ってる)
【演奏実況】ノープラン即興演奏あるある(ピアノ)【I am(報ステ)】 - YouTube

I amが普通は、気軽に他の曲と混ざらないでしょ。

 

それからイパネマの娘につられてボサノバ風になる KICK BACK。その後ガチ版の KICK BACKも来てて一粒で二度おいしい。その後トーマスを演奏されてるが、この KICK BACKに途中から現れるトーマスではなく、単体でのきかんしゃトーマス。混ぜて下さってもよかったんですけど?

ボカロのrain stops, good-bye、ミュージカルCatsのMemoryとバラード調の原曲ふうなシンプルなアレンジ から、畳みかけるようにラプソディーインブルーの壮大なサビが続く。配信冒頭の曲調と酷似した、流れるような美しい旋律が静かに胸を打つ。ござさんのメドレーは流れを切らさず鑑賞するに限るというのはこういうところだ。

大きなJAZZの中にアクセントとして美しく壮大なバラード調の曲を挟んで雰囲気を変えているというか。

 

JAZZって本来の解釈ではアドリブが最大の見せ場、奏者の腕の見せ所、ってググったら解説サイトに書いてたので、素人の自分はずっとそういう認識だった。熱く手に汗握るアドリブの応酬こそがJAZZの醍醐味。魂の鼓動が聞こえるような熱量。そしてJAZZならではのコード進行をどういうふうに独自の展開にして織り込むか。

でもやっぱりござさんのアレンジは好きな曲を好きなように演奏してる時が輝いてる気がする(素人感)。JAZZスタンダードがやはり長年セッションの現場で受け継がれてきた有名なアドリブと共に曲の構成も練られていてJAZZとして一番しっくりぴったりくるのだが。

しかしござさんが選ぶJAZZじゃない曲のJAZZアレンジが、より一層ござさんらしさが炸裂してて聴いてて楽しいしそのセンスに度肝を抜かれる。

 

さらにJAZZアレンジから季節が飛んで、なぜか春の海が始まった。

なんでだ、もうお正月か?まだ早いぞ12月にもなってないしお年玉年賀状も発売してないし(え?もう売ってる?)、大掃除もまだ、何もかもまだなんですけど!と一瞬混乱する自分。

そしてチャット欄でもあけましておめでとうとか総ツッコミされている。そらそうよ。

春の海をシンセの琴の音色を使って演奏、とかいうひねりのない事はするわけもなく、アニソンのアイドルと、ブルースのサマータイムと、アニソンの祝福、ポケモンの曲とのコラボになっていた。

それはそれでひねりすぎでしょ……?

脈絡ないともいう、いやあるのか、それぞれのコラボ曲に共通点があるはずだ?春の海が民族音楽ぽいスケール(?)として構造が共通してる曲を選んだんかな(素人考え)?とにかく和風な和音とかを混ぜとけばいいやろの精神。あれだ、演歌アレンジにもなんかパターンがあるし、一緒やろ。

と、素人の頭脳で叩いてもホコリも出ない思考回路では考えても意味ないので。

 

このあと普通バージョンのメルト弾いてくださって、なんか癒されるというか家に帰って来たような妙な安心感がしたのは自分だけか?

 

と、全編にわたってうっとりするようなJAZZふうアレンジの調べが流れる中ちょっとお茶目なのが挟まってた気がするが、どっちもというかどれもござさんの顔である。

むしろ冴えわたるアレンジもござさんの真の姿だし、

お茶目な姿が見えないと何肩ひじ張ってかしこまってるんだと心配になる。

ござさんは、謎アレンジに引っ掻き回されて混乱してるチャット欄を微笑みながら眺めてるくらいのキャラじゃないと(え?)。

そう、まじめなだけのアレンジ配信なんてつまんない。

ご自身の生配信なのですから、そこでくらい好きなだけやっちゃってくださってもよろしいかと存じます。

 

とかのたまってるところに突然降ってきたガチャガチャきゅ~と・ふぃぎゅ@メイト。この曲名からしてすでにwwwええ?なんでもないですよ原曲通りの演奏って安定感ありますよね名曲です(棒読み)、いやほんとこの曲の展開面白くて飽きませんよねここだけ大好き過ぎて鬼リピです。はいこの曲が好きなだけでして、ござさんってなんでも弾けてすごいですよね。

 

なんか聞こえた気がしましたが気のせいです。

最近何か一つの曲のアレンジだけを弾いてるおかげで?こういった好きにアレンジできる生配信枠は冗談ではなく貴重な癒し時間となっていることでしょう、ござさんには。

ファンはなんでもいいから聴きたいし、ついていきたいし、ついて行ったはいいけど惑わされ混乱して振り回されてる感も否めませんが、まあそれがござさんの生配信の醍醐味です。

 

綺麗なだけの耳触りのいい音楽は音楽の単なる一面にしかすぎないのだ。

音楽って、芸術って世の中のあらゆる事象を表現しているもの。

ござさんの音楽にはそれらを包み隠さず、しかも親しみやすく触れさせてくれる不思議な力が備わっている。