自分はござさんファン。動画も配信もほぼござさんのしか見ない。ござさんの音が好きすぎて。ピアノを聴くというよりは、ござさんの音を聴いているという方が正しい。
しかしござさん以外にピアノの音というか演奏が気になる人が一人いる。だからいつも配信とか動画とか謎のツイートも含めて全部チェックしている(こっそりと)。
その人は菊池亮太さんという。何でこんな勿体ぶった書き出しなんでしょう?今回、サントリーホールのライブは節目だなあと思って柄にもなくかしこまってみたのです。(ちなみに8/18まで配信チケットは購入可能だと思います。)
目次:リンクで各項目へ飛べます。
ござさんファンから見た菊池さん
菊池さんの第一印象
菊池さんにはいつもござさんがお世話になっております(といっておもむろに2019年のコラボ動画を貼ってみたりする)
自分がござさんを知ったのは2020年の2月。その当初、菊池さんのピアノはこの2つの動画でしか聞いた事がなかった。当時の感想は「菊池さんて怖い人」だった。服装は真っ黒。ピアノの演奏はひたすら怒涛の連打音(今聞くとそれだけではないのだけど)という感じで怖かった。コード進行など当時の自分は知る由も無く。
しかし確か去年の第1回ねぴらぼの前の頃に「怖いだけの人じゃない」事に気付いた。
(この時、配信機材を一新されて音響がよくなったことも関係しているのかどうか、色んな表現ができる人なんだと気付いた。弟さんとのセッションも必見である。それからこの頃6~7月の生配信のどこかで「本体がどこか行った!」と帽子を慌てて探してるのを見て、「それが本体なんだな。なるほど」と腑に落ちたというか納得した。人間らしい一面を見つけた気がして、急に親しみがわいてきた。)
菊池さんの演奏と、人柄
それからねぴらぼ、ネピサマ、(11月の無観客の)コンサートホールでのライブからネピフユとねぴらぼinventionと続いていくわけですが。
一貫して徹底されているなと思うのは、どうやったらファンの皆さんに楽しんでもらえるのかを追求、実践されているところ。かといって押さえるべき所はきちんとする。仕事として完璧。プロ中のプロ。今回のコンサートも まず告知方法からして面白すぎです。参考までに当時のブログ。膨大な練習量に支えられていると思われる、超絶技巧。その演奏は誰をもうならせる。どこまでもストイックに音楽を探求する姿勢から、無限に生まれていくピアノアレンジ。
とにかく菊池さんのピアノは自分は好きなのだ。一見真逆の様に見えるが菊池さんにはござさんと通じるものがあると言うか、自分の中でござさんと菊池さんは2人1組で成り立ってるというか。(※以前書いた記事でも似たようなことを書いた)
ピアノを前にして弾いている限り圧倒的な存在感で、あたりを払うような堂々たる雰囲気を醸し出している。
それなのにTwitterでは人間らしいつぶやきを書いていて、より身近に感じられるのも魅力の一つなのかもしれない。
これから自分を追い込むので、俺の演奏やライブに関しての不満点が有れば遠慮なく言ってください
— 菊池亮太🎩(Anoatari) (@komuro_metal) 2021年7月29日
自分の正直な気持ちを忌憚なく言っている。裏表のないその態度、ファンからの意見を実際取り入れるかは本人が決めるとして、ファンと交流しようとしている点が自分から見ると新鮮に映った。
飯を食って頭がボーッとした状態でその日初めて触るピアノで、しかもウォーミングアップなしでコンサートのプログラムを全部通してみた。
— 菊池亮太🎩(Anoatari) (@komuro_metal) 2021年8月5日
意外といける。いけるぞ!
本番前のこの緊張感クセになるなぁ。
— 菊池亮太🎩(Anoatari) (@komuro_metal) 2021年8月11日
緊張が怖いとかそりゃ思う事もあるけどやっぱ緊張ってないと面白くないし、これを乗り越えるのが気持ち良くて音楽やってる所もあるんだよな。きっと。
自分を飾らずに、本音をファンに発信してくれている。だから、応援する側もその気持ちに寄り添う形で応援できるのかも。このファンとの距離感というか、信頼関係があるからこそ形成されているともいえる独特の空気感。
心底うらやましいなあ、と思う。
ただ一つコミニュケーション取れてないなと思った件。
【お知らせ】
— 菊池亮太🎩(Anoatari) (@komuro_metal) 2021年7月24日
8/12
CD出します。
サントリーホール公演にお越し下さった方、並びに配信をご視聴下さった方にのみ1000枚限定で発売させて頂きます。
最高のスタジオと楽器で録音した最高の音を是非体験して頂きたく思います。 pic.twitter.com/jQdge5B0kx
このツイート。1000枚限定販売のCDとは何ぞや?配信を含むとコンサートのチケットは1000枚以上売れることは確実なのに限定販売とは。販売方法も後日発表と後述されているし。反響を想定されていなかったとしか思えません。菊池さん、どれだけ期待されているか自覚された方がいいと思いますがね。ある意味菊池さんらしいと思って見ていて微笑ましかった。(後日希望者には全員販売されると決まったようで良かったです)
東京は赤坂、サントリーホール
さて、菊池さんのソロコンサートだ。
僕の演奏にとても大切な時間やお金を使ってくださる皆様に心から満足して頂ける演奏がしたいと思う次第です。
— 菊池亮太🎩(Anoatari) (@komuro_metal) 2021年8月5日
菊池さんがこのような姿勢でファンに向き合ってくださっているので。自分も(配信ですが)襟を正して演奏を聴きました。
【ちなみに自分の配信環境】:Windowsのパソコンで、サウンドカード装着のヘッドホン。つまり楽器とか現地の物音も含めてリアルに音を拾ってくれるので、音だけについていえば目の前で聴いているかのような臨場感をもとに感想を書きます。
まず開演前の配信画面を開けるとCD販売サイトのバナーがあった。なるほど、CDを知らなかった人もここで購入できるという、ファンに優しいシステムというわけだ。(1000枚限定販売問題がよほど骨身に染みたんですね分かります)
そうやってヘッドホンを装着しながら、待ち受け画面の菊池さんのかっこいいアー写を眺めてこっちが緊張するやら、息をのむやら。いつの間にか手には汗がにじんでいた。すると突如画面が切り替わった。いよいよだ・・・!
ホールの客席を背景にした一台のスタインウェイ。大きな木の舞台にピアノだけが静かに佇む。開演直前、水を打ったように広がる静寂。そこに案内係と来場客が絨毯を踏み、着席する音だけがかすかに響く。≪コロナ流行前にコンサートに行っていたころのホールの雰囲気を思い出した。上演直前、まだステージも暗くて客席のわずかな照明を頼りにプログラムを読みながら始まりのブザーを待つ間の、何とも言えない昂揚感≫
客席総数2000席あまり。見たところ客席が埋まっているのはその半数?さらに間隔を開けて着席しているところを見ると、来場者は実数500~600人だろうか?記念すべき菊池さんのソロライブをホールで生で聴けた人達である。その人たちが物音立てず息をのんで見守る中、ピアノに当たるスポットライトがさっと照らされてステージに現れた菊池さんに割れんばかりの万雷の拍手が贈られる。(菊池さんは以前からバンドの一員としてお客さんに向き合う事があったとしても)ピアニストとしての演奏を聴きに来てくれたファンを前に、演奏家なら誰もが憧れる大舞台に一人立って拍手を贈られている。そこに深いお辞儀を返している姿。このシーンで自分はというと演奏も始まってないのに一人画面の前で、拍手するというよりはタオル持って半分泣いていた。いや今から演奏始まるのに泣いてどうする。
菊池さんはというとちょっとはにかんだような、でも自信に満ちた表情を一瞬浮かべたように見えた。帽子にそっと触れたのは、やっぱり本体だから触っておかないと演奏が始まらないのでは…?
(※自分はちなみにピアノは小6でやめた素人です。ピアノの詳しい事は何も知らない人目線で行きます。ご了承ください。)
ピアノ職人、菊池さん
曲目はストピでもおなじみ、ねぴらぼでもやっていた菊池さんの看板とも言える曲が並んでいた。直前の不安そうなツイート、曲の合間の「緊張しますねー」というトークとは裏腹にきっちりこのスタインウェイのコンサートグランドを掌中に収めて自在に操っているように見える。ライブ冒頭のノクターンからのJAZZはピアノとの会話を確かめてでもいるような、そして菊池さんの世界にいざなう導入装置だったというわけだ。
カメラワークも手元の角度や少し俯瞰から引いて見る全身の映る角度、ステージ全体が映る遠景と、多様な画角で菊池さんの演奏の様子が余すところなく楽しめる。
いつもストピや生配信で演奏されている定番曲もこの舞台でとっておきアレンジ(だと思いますが………)で披露されると改めて素敵だなあと再認識するのだった。ねぴらぼなどでも聴いて圧巻だな流石菊池さん、と思ったが今回はそういう舞台演出もなくピアノ一台だけのステージ。シンプルに構成された空間に響く低音がいい。なんといっても低音が曲を支配する。なんと言おうが低音が、それから繊細な旋律が菊池さんの渋い演奏を劇的に演出している。なんかこう色彩が抑えられた渋いイメージ、きらめく高音は控えめ、そういう華やかな雰囲気は影をひそめている気がする。
一言いいですか?かっこいい。BLAVO!会場に行けませんでしたので部屋で一人でこっそり叫んでいます。
ここで休憩の代わり、自己紹介の代わりらしいリクエストコーナー。菊池さんと言えばリクエスト。
リクエストコーナー、すなわちそれはファンへのご褒美タイム以外の何物でもない。謎のブラックボックスに入っている、自分が送った曲名のメモをひょっとしたら菊池さんが拾って読み上げてくれるかも………!とか、そもそもみんな何をリクエストしたんだろう!とか………こうやって気が付いたら菊池さんの思惑通りワクワクさせられていたというわけで、ほんと上手いですねさりげなく盛り上げるのが。
リクエスト曲ーー グリーグのピアコンとか、うっせえわクラシック版に、マゼッパ。
曲を読み上げるたびに苦笑する菊池さんと、温かい笑い声があがる客席。ファンに愛されてるなあ菊池さん。「みなさん、容赦ないですね」「お詳しいですね」そらそうでしょ、このライブチケットを買いリクエストしてるような人はみんな筋金入りの菊池さんファンですから。
リクエストメドレーは、菊池さんの面目躍如といったところだ。そのアレンジよく思いつくなという自由自在ぶり。( そういやこの間のストピでも、その片鱗を遺憾なく発揮していた。曲目は今回は関係ないが)
(ここで本当は菊池さんのオリジナル曲が演奏されているが、曲名も含め演奏には菊池さん、ファンの皆さんの並々ならぬ思い入れがあるはずで、第三者が首を突っ込んで書いてるこんな感想文では、それについては語らない。ここで軽々しく語るにはあまりに素敵な曲で、あまりに素敵な演奏だったのでファンの人ひとりひとりの胸の中で反芻するにとどめて置いたらいいのではないかと思う。)
菊池さんの友人
白鳥。それはサン・サーンスの作品中でも屈指の名曲である。
※勝手に解説。フランスの作曲家サン・サーンス。ヴァイオリンの難曲である「序奏とロンド・カプリチオーソ」や「死の舞踏」などで知られる人気作曲家である。白鳥は、遺された数ある作品の中でも特に演奏頻度が高い「動物の謝肉祭」からのピックアップ。有名なのは菊池さんも語っている通り、パブロ・カザルスの演奏に代表されるチェロの演奏とピアノという組み合わせだが、今回はピアノソロ版である。
何が難しいのかというと、多分右手でアルペジオ、左手で伴奏しながら両手のどこかの指で自然に旋律をつないでいくのが至難の業のようだ。確かに。しかしそんな事は感じさせず夢のように幻想的な右手のアルペジオから、時折顔をのぞかせる優美な旋律。そのまま別世界に連れていかれそうな雰囲気だ。
はっきり言ってCDも持ってる、チェロの音も好きなこの曲はピアノソロ版を聞いたのは初めてなのに、こっちのが素敵と思ってしまったのはどうした事だ。
最後のクライマックに向けて徐々に消え入るように柔らかくなっていく旋律、G(ソ)の音を頂点としてラストは夢の泡がぶつかってはじけるようなはかない高音の分散和音の余韻を残して終わる。
なぜかこの曲を聴いていると泣きたくなった。それは原曲の良さだけではないはずだ。
多かれ少なかれ聞いているファンは同様の思いが胸を去来したことだろう。
検索したらYoutubeにこの編曲版の動画は2つ見つかるはずだがあえてここにはリンクは貼らない。菊池さんがご自分で「ピアニストとしての節目のステージ」とおっしゃった舞台で演奏した、その思い入れを尊重したいと思うから。過去の演奏はそれには替えられない。なぜか演奏しながら客席を眺める菊池さん。そこで聴いてくれているかなあとでもいうかのように。
「この曲がいいなと思ったら松田怜という名前を覚えて帰ってください。」
菊池さんの世界
※ クラシック曲についても割愛します。ピアノ嫌いだったので全くピアノ曲を聴いてこなかった自分としては、ピアノ曲に対して何か独自のことをかけるとは思えず字幕は流れてこなかったので。感想をでっちあげるわけにもいかず素直にあきらめることにしました。そもそもリストを研究したいあまりドイツに旅行に行きたいくらいの菊池さんの演奏は、何も語らずそのまま聴くのがいいのではないでしょうか(←開き直り)
そのあとまさかの再びリクエストコーナー。ここでイメージだけのリクエストで完全即興に近いメドレーを演奏されていた。お口直しではないけど楽譜通りのレパートリーの合間に自由にアレンジできるコーナーがあることで、ファンよりも菊池さんのほうが水を得た魚のように生き生きとした表情で伸び伸びとやっていたのが印象的。JAZZっぽいのもいいですよね。
ここで割愛せず書くとしたらオリジナル曲の、パガニーニの主題による変奏曲のほうだ。なぜこの曲を自分が知っているのかというと当然ピアノからではなく、吹奏楽版のCDを持っているからに過ぎないが。こんな編曲もあるくらいには有名な曲だ。(東京佼成ウインドオーケストラ:バーンズ作曲 パガニーニの主題による幻想変奏曲)これを聞き倒していたので自分は曲の構成的にはよく覚えている。
ピアノ曲はブラームス、リスト、ラフマニノフ版があるらしい。そっちは聞いたことないからYoutubeで復習してみた。
そういうロマン派?の作曲家のバージョンも聞いてみると、菊池さんの編曲は最初からあっと驚く和音ばっかりだ。ねぴらぼのラストでボレロのソロ回しで、菊池さんの番が来た途端ヘンな和音をシレッとねじ込んでた事を思い出した。
「試してみたかったんです」
なるほど実験的なわけですね。変奏曲だというのでテーマが様々に形を変えながら続いていくのだが菊池さんらしさ全開でした。旋律だけは原曲の面影を残しているが、吹奏楽アレンジにこんなの無いし(こんな激ムズアレンジ管楽器では無理だ)。
ソロライブはどうやら去年のねぴらぼ告知配信(2020/12/19)より前に決まっていた、というようなことを、ライブ告知(2021/4/3)後の生配信かどこかで言われていた。そこで思い出すのは去年のソロライブだ。今回と同様リビングルームコンサート。ただし無観客だったが。このライブで演奏を目に留めてくださった音楽関係者筋から、今回のコンサートの仕事の話がまとまったのかもしれない。やっぱりわかる人にはわかってるんですよ。(一人で納得)
殿堂「ミューズ」でソロピアノライブやります!
— 菊池亮太🎩(Anoatari) (@komuro_metal) 2020年10月29日
会場
所沢市民文化センターMUSE アークホール(大ホール)
日時
2020/11/29(日)20:00~(当公演は配信のみとなります)
チケット
2000円
受付期間
2020/10/29(木)12:00~
チケットのご予約はこちら↓https://t.co/9DvCexIhFC pic.twitter.com/QV919SYSdX
ソロライブ自体は決まっていたとして、そこからねぴらぼなどを経て演奏も進化を遂げた菊池さん。
自分の印象上、怖いというイメージはもうない。力強い演奏はそのままに、変幻自在にピアノを操る職人といったところか。もちろん菊池さんならではの演奏技術あってのものだ。
それよりTwitterなどに見える本音なのか日常のつぶやきなのか、人柄を見る限りどこまでもピアノが好きで料理も得意(と言っていいのか)で正直でうそがつけない、まっすぐな音楽マニアなところが感じられて、Youtubeの演奏を聴いているだけでは見えてこない新たな一面を知れた気がする。
音楽マニアなところ以外はござさんとあまり共通点があるかというと無い気がするが、自分の中ではあくまで2人一組である。なのでござさん単推しな自分だが、菊池さんの行く末も(こっそり)応援するつもり。
今日の事は一生忘れません
— 菊池亮太🎩(Anoatari) (@komuro_metal) 2021年8月12日
ピアノやってて良かったと心から思いました。
更に精進します pic.twitter.com/khZXMBU59x
昨日の一幕 pic.twitter.com/lBxnPEv7LT
— 菊池亮太🎩(Anoatari) (@komuro_metal) 2021年8月13日
ライブが終わって一言いただきました。「またやりたい」とおっしゃられているので、楽しみにしています。
いつかウイルスとの戦いに打ち勝ったら。
自分もリアルライブで演奏聞きます!(←←生活圏外に出られない病院事務員)