ござさんの魅力を語る部屋

ピアニストござさんについて、熱く語ります

北風の季節:1/24の生配信

 

それは大寒も過ぎた頃のしんしんと冷える夜。1/15に行われたソロコンサートの舞台もまだ記憶に新しいころだった。

暗い闇に満月が浮かぶ。

冷たく輝く月に照らされて、通りの屋根が道に長い影を落とす。

窓の外では寒風がごうごうと音を立てて吹きすさび、葉を落とした暗い木の枝が静かに揺れていた。

 

ここは都内のオフィスビル、某秘密結社のアジト。外には「G興業」とだけ看板が出ている地味な建物の一室に、深夜まで煌々と明かりが灯っている。コタツに入りせっせと作業に勤しんでいるのはアジトの主Gさんと共同出資者のIさん。

彼らが手にしてるのは、

タツに定番のみかん

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……ではなく、

夥しい量の手紙とプレゼントの山である。

ただ単に本人へ渡すための箱へ整理・仕分けしているだけの簡単な作業中。ちょっとしたお手伝い、のはずだ。

 

「ちょっとGさん、僕明日は出勤日なんですよーマジ勘弁してくださいよー」

「しっかし凄いよね?いくらあるのこれ怖いわ……GZくん、いっそアイドルとして売り出したらいいんだよ、ブロマイドとかきっと大人気だよ」

「(あからさまに眉をひそめて)Gさん最近忙しかったですよねゆっくり休んで下さい」

「いやほら今回、僕の企画の唯一の盲点だと思うんだよね、設置したカゴ、もっと大きなポストみたいのにしときゃよかったなあー」

「僕は事前にちゃんとツッコミましたよ、そんなサザエさんの買い物カゴみたいな大きさでどうするんですか?って」

サザエさんのカゴよりは大きいじゃん……にしてもどんどん来るから、深く考えず次々に裏に下げてここに放り込んでったらさぁ、訳わかんなくなっちゃってさー」

 

「他にもロビーに頂いてましたよね、フラワースタンドのお花はいかがしました?」

「綺麗だったので譲っていただいたんだ!ほらウチのビルの正面受付に飾ってるから」

「(あったんだ……このアジトにまともな正面受付なるものが)」

そこで、はたと止まる仕分けの手。

「しかし、この膨大なお手紙とプレゼント……そんで実際にお客さんから拍手もらえて、ほんとうに良かったです………」

ぱたりとその手に何かが落ちた。

「もう僕らがカワウソくんとリスくんになって、客席から一人で『ござさ~~ん!キャーかっこいい~!素敵でーす!!』ってジャンプして叫ばなくでもいいんですね……」

「そうだね、あの恰好、年齢的にも僕らにはスタミナの限界が……Iくん、ほらボーッとしない!もっと手を動かして、マジで終わんないじゃん!」

 

「あれGZくんは?」

「はあ、あっちで一所懸命リングフィットやってましたけど?なんか必死でしたよ」

「何やってんのちょっとこっち連れてきて」

「ステージを乗り切るにはスタミナが勝負とか何とかゆってましたけど…体を絞ってんだとか(それ言ったら僕は)」

 

 

その夜更け。

GZさんは窓辺に腰かけて外を眺めていた。

その手に握られているのはさっきガヤガヤと仕分けられていたものの一つ。

 

明るい満月が青白く外の景色を浮かび上がらせる。

何もかも動きを止めたかのような、凍てつく空気が支配する物音のない世界。

暫く、吸い込まれるようにその光景を眺めていたGZさんは、ふいと視線を外し窓際から去っていった。

 

 

 

自分は1/15のソロコンサート(の配信)の余韻からずっと帰ってこれてないままだった。

別に現実に帰ってこれなくても良い、一生その世界に浸っていたい。

これを陶酔っていうのか、何か特別な空気が流れていた。

そんな中、名残惜しくて徒然に書いていたもの。


配信の期限は一週間後の1/21(金)まで、その間こんな調子で骨格が抜けたように記憶と現実の合間を漂っていた自分は、ある日突然ござさんからの発信に背中を叩かれた。

一方的に叱責を受けた、とでも言おうか。

「何やってるんですか!?」

「時間切れです!!!」

「さっさと次行きますよ!!!」

「モタモタしてる人、置いていきますから!!」

 

 

 

そこでソロライブ前の1/5以来、久しぶりに生配信聴いて、自分は頭から音楽を浴びせられて冷水をかぶったようにハッと我に返った気がするので、その印象を書いてみようかなあ(長すぎる前置き定期)

 

今回の配信をひとことで言うなら?

まったり詐欺。

誤解を招きそうな表現ですか?

「12/28の配信も家での配信でまったりってツイートしてたし、あの配信のころ忙しくてよく聴き込めてないしなあ。今回もきっとまったりなんだろうなあ!」

と、配信を聴いてみたわけです。月曜の疲れを癒してくれるかも?って思って。

そんな自分のゆるい思考は一回へし折られて、新しいのにすげかえられた気がしないでもない今回の生配信。または「いつまでもソロコンサートの想い出を忘れたくない」っていうぬるま湯の中でまどろんでた所を、しばき起こされたというか。

 

前置きが長い割に観念的な一言で申し訳ありませんけど。

今回のござさんは自信にあふれててかっこよかった。

以前からソロコンサート後の配信ではどんな演奏になるんだろう?とわくわく感と不安がないまぜになった気持ちが心の片隅を去らなかったのだが、要するにそんな不安要素は初めから存在しなかったというわけです。

当面の目標だったと思われるアルバムリリースとコンサートを終えて、目指す所が不明瞭になってテンション下がったりしないかな、という自分の心配は杞憂に終わった。

ソロコンサートで実際ファンの方を前に演奏できた事は、いい方向に働いてるようだ。

コード進行?も実験的なふうに弾きながらも?、断定的。

アドリブ部分も、アレンジも、考えつつもいわば堂々としてきた感がある。

 

今までの(特に昔~ペンギン時代~不審者サングラス時代までの)生配信の方が自由奔放、よりアグレッシブで冒険的、選曲も音色も奇抜で聴いてて面白かったとも思う。というか今までは、その昔の配信が好きだった。

しかしグランドピアノライブが始まって以降くらい?かなあ、演奏自体により自信?が感じられて、聴いてて自分はますますのめり込み振りが激しい。

自分メンバーシップのラーメンプランですけどね、昔の配信久しぶりに聴いてアレンジの発想面白いなあ、珍しい曲も弾いてるなあと思うけど、やっぱり何といっても最近の配信に戻ってきてしまう現象が頻発してます。なんでしょうこの症状?

その理由はやっぱり経験の場数を踏んで、演奏に自信が滲んでるというか、アレンジの引き出しが豊富になったというか。(←えっと全くピアノ弾けない勢からの上から目線で大変申し訳ありません)

ござさんの手にかかれば往年の名曲や最近発表の人気曲など素晴らしい音楽が、さらにいきいきと鮮やかに精彩を放ち、輝きを増す。隠れていた本当の魅力が呼び覚まされるように、楽曲が独自に動き出すかのようだ。

原曲を尊重したシンプルなアレンジ?それでいて聴くものの意識は釘付けになるのはこのあたりに鍵があるのかもしれない。(←あんまり分かってない)

 

カーペンターズを聴けばあの優しい透明なボーカルまで甦る。それを聞きながら(授業で)暗唱するまで歌詞をうたって覚え込んだなあと思い出す。

鬼滅の刃も自分はアニメが怖いので見てないけど、いい曲ばっかりだなあと配信聴いてると思う。(高1男子に言わせればボロ泣き必至)こっそり「うろ覚えで~」と新曲入荷されてるし。うろ覚えのレベルではない。

ディズニーメドレーはござさんアレンジは吹奏楽のメドレーがもとになってると以前聞いたので色んな楽器の音が聞こえてきて、構成が壮大になっててよく一人でできるなあって驚きしかない。そのメドレーに毎回絶妙に入ってくるレア曲を聴くのも楽しい。

最初の優しいJAZZの曲も、「雰囲気作りがだいじ」(リンク:違和感ゼロ?!都庁でジャズメドレーに【あの曲】を混ぜてみた結果…? - YouTubeから)らしいので、配信の最初から自分はござさんの手中の罠におちているようなものである。

何が言いたいかというと。奇抜じゃなくても(コード進行は奇抜なのかもしれないけど)、ござさんのピアノはかっこいいというわけ。小並感にあふれてるな。

 

…とか言いながらなんか始まったわけです。

ござさんの本領発揮コーナー

気づいたら何だっけこの曲ってエリアが。やっぱこういうのがないとござさんの生配信って言わないという風潮ありますよね。結局どんな演奏でも素敵って聴いてしまう症候群なんで。すいません。

洋楽的なメルトーーーカーペンターズメドレーで、ボーカルを思い浮かべて余韻に浸っていたところにそれは振ってきた。「カーペンターズふうに……」えぇ、ちょっと違うんじゃないかいその路線は、と思いつつ謎アレンジに思わず首肯する。なんで?伴奏が洋楽風なんだろうか、深く考えるのはやめた。

劇場版君をのせてーーーラピュタはもともと劇場版映画じゃないか?というツッコミはなしです。自分が言いたいのは、エンドロールをバックに静かにエンディングで流れるこの曲が何のリズムなのか、クライマックス風に変わってるってことです。

壮大なたいやきくんーーー高1男子がこの曲をどうしても分かってくれないので昭和の名曲って説明してますが、ござさんの配信を聴く限り、昭和ってあまり信じてくれない。たいやきくんのつらい人生を謳ってたんだっけ?いや、これこそ劇場版じゃなくて劇画調。盛り込めるだけの超絶技巧の限りを尽くして語られる、たいやきくんの遍歴。これ以上出来ないレベルのこぶしの効かせ方。演歌だっけこの曲。違うな。

アポトーシスーーこの曲は奇抜っていうんじゃないですが、原曲が劇的にすごいですね(知らなかった)自分は髯ダンのコード進行とかは分かってないけどなんか命を削って歌ってるみたいなところが刺さる。曲名を調べたら前向きだけど無常観を感じる。

ちょっと調べてみた。リンク:アポトーシス - Wikipedia 直訳すると枯葉が落ちるって意味のギリシャ語。今は医療用語で細胞の積極的な死(新陳代謝のことか……?)を意味するらしい。

 

この辺で「ござさん、生配信に帰って来たんだー、お帰りなさい」っていう実感がじわじわ沸いてきた。じゃなくて、ちっとも自分が現実に帰ってこれてなかったので、これらの演奏聴いてガツンと後頭部をしばかれたように目が覚めた、と言った方が正しい。

あーござさんは前に進んでるんだな、このぶんだと置いてかれるな自分、しっかりしなきゃ、と気を取り直して現実にスイッチを切った自分はとにかくこの感想をあらかた書いてみた(そっから寝込んだり、仕上げるのにタイムラグがあったけど)

 

 

そんな何もかもぶっちぎる勢いのござさんを象徴するかのようだったのが、最後のメドレー。

自分が最初にござさんの動画を知ったのは2020年の2/28。最初に生配信を聴いてみたのはその前の1/10放送分。最初に聴いた時から思ってたのだけど、

「この最後のノンストップメドレーって何だろう」

という疑問。

でもござさんは生配信の中で一回たりとも絶対にこのコーナーは外さない。回線トラブルでない限り、自分の記憶する中ではこれが無い回は、無い。

たぶんござさんは最後のメドレーが楽しいので配信をやってる可能性がある。

基本的にリクエストに応えるのがござさんの身上。

今回の配信でも、またしても律儀に「色んなジャンルを網羅してますかねえ…」といちいち気にされている。それはさておき、最後のメドレーもリクエストから拾うとして、あのスピードで即興でやっていくという、ござさんの中での命題なのかなあ。チャレンジ精神?

 

といういつもの定番でもある最後のメドレー。

今回は、ここがござさんが一番輝いてる場面じゃないだろうかと思う。もしかして今回の配信中に網羅できなかったジャンルをここに全部詰めこんでる疑惑。

ソロコンサートでもらったモチベーションが勢い余ってここに全部つぎ込まれてるんじゃないだろうか。

手だけの生配信時代、あのころの生配信も実験味にあふれていて演奏もキレキレ、珍しい曲もアレンジも盛りだくさんだが、やっぱり自分は現在のござさんの演奏を聴いていたい。目指す所が明確になり、モチベーションもお客さんからたくさんもらって、練習量もたっぷり確保できてて(気になるのは腕のアトピーと思われる症状の悪化くらい)、キレキレな今の演奏を聴いていたい。

なんか、弾いてて楽しそうだから。ピアノ触ってて、幸せそう。

見てる自分も「あーよかったなあ」って幸せな気分になるから。

(おまけ)メドレーの最後で自分はさらに致命的打撃を食らった。

ポケモンになり、ユーミンでしっとりからのとっとこハム太郎になって、それからなぜかボレロへ行き、そのまま蛍の光が始まる、という意表を突く展開。

ありですか?そんなの。

(※かもめが飛んだ日の参考演奏:ストピ動画)

昭和名曲(ちょこっと平成)10曲メドレー!何曲知ってる?! - YouTube

 

 

 

余談ーーーささやかな変化もあった。

 

椅子

ペンギン配信になってから、手だけの時代からあの椅子に座ってることが明らかになったが、あの回転自由な事務いすに座ってどうやってピアノ弾いてるんだっていうささやかな疑問はあった。今回あたらしくピアノいすを購入されたそうで、高さを調節できるところは従来と変わらないと思うが、やっぱ固定された椅子の方が演奏にはいいんじゃないかなと思うのだった。食事するとか、その椅子で演奏以外にくつろいでるとしたら利便性は低下するかもしれないけど。

食事ねえ、そういや社会人ピアノサークルのツイキャスでお酒が倒れて以来、大きめの食事テーブルは購入されたんですかね?

そこでピアノの向こうに見える机の片付きぶりを見てください。いつとは言いませんよ、2016~2018年頃(言ってるやないかい)のツイートに登場するテーブルを思い出して下さい。きっと秘密結社のIさんとGさんからツッコミがあったに違いありません。「生配信でお部屋の中映るじゃん!整理しとかないと!」っていう風に。

いや?ござさん最近服にも気を遣ってるようだしその辺も自発的にやってるのかな…?

 

そんなどうでもいい事は棚に上げといて。

配信画面の摘要欄の#名が、最大の違いだと思う。正確には年明けから変わってる。

ピアノとかいうありきたりなやつではなく、ちゃんと固有名詞を#にしてきてる。

そうやって宣伝するつもりになってくれて、ファンとしては嬉しいわけです。

その辺が、ファンが実際にいるんだなと実感してくれた一番の影響かなと思う。