ござさんの魅力を語る部屋

ピアニストござさんについて、熱く語ります

番外編ーーー図書館とレファレンスサービス

 

★★★番外編です。ピアノのことについて今回は全く触れてません。

★★★興味ない人はスルーしてください

 

 

つい最近、図書館って言葉をTwitterで目にした。

珍しい、そんなワードをネット上で見かけるなんて。とその時思った。

いつだっけ、そういや随分前のことに思える。

 

(確かまだ梅雨の戻りでもなんでもなくて、暑かったと思う。前日の自分のツイート見ると夏真っ盛りみたいなことになっていた。)

 

 

 

目次:クリックで各項目へ飛べます

 

 

 

素晴らしい対応の司書さん

そのツイートとはこれのことである。

 

 

 ↓↓ このことについてまとめた記事もあるようなので貼ります。

 


 

今日、このツイートの話題がネットニュースに載っていたようだ。

自分はそれで思い出した。

Twitterで最初にそのつぶやきを見て思った自分の意見も思い出した。

というわけでとりとめもなく書いてみる。

 

事務員Gさんのツイートを要約するとこうなる。

ある地名を偶然知って、その起源について

「東京のまあまあ大きい図書館で、専門資料室でかなり調べた」

が分からなかったらしい。そこで司書さんが、図書館側で調査することを提案してくれたらしい。このいきさつや調査を図書館に依頼した結果はツイートのツリーに詳しい・

 

果たして事務員Gさんは

「司書さんに調べてもらったの人生初なんだけど、すごく嬉しかった」

そうである。それは調べたかったことがものすごく専門的な思いもよらない内容まで明らかになったこと、何より専門資料室で調べまくっていた事務員Gさんに司書さんが調査を提案し、親切に対応してくれたことによるものだろう。

そしてこのツイートは

「皆さんも活用してみては!すごいよ司書さん!!」

という言葉で締めくくられている。

 

 

 

自分がこのツイートを見た当初思ったことは、

「司書が調べてくれるのは当たり前じゃん?」

だった。そう鼻で笑う気分で、その時は何を言いたいのかわからなくてツイートを素通りした。その後、今日これをまとめた記事がネットのニュースに載ってるのを見て思った。

「それはニュースになるような特異な出来事だったんだ…?」

さらに元々のツイートを再び見に行って気がついた。

「いいねが6万、RTが1.5 万…?バズってる……!」

ツイートが当初からバズってたかどうかは記憶にない。そのまま素通りしたから。

 

 

 

司書さんの主要業務

この「司書さんが調べてくれる」サービスを、レファレンスサービスという。

レファレンス(reference)

とは、英語で参考・参照の意味を持つ単語である。リファレンスとも。

レファレンスサービス(reference service)とは、図書館利用者が学習・研究・調査を目的として必要な情報・資料などを求めた際に、図書館員情報そのものあるいはそのために必要とされる資料を検索・提供・回答することによってこれを助ける業務である。また需要の多い質問に対してあらかじめ、書誌・索引などの必要な資料を準備・作成する作業もこれに付随した作業であると言える。

リンク:レファレンス - Wikipedia

 

つまり事務員Gさんが受けたサービスはこのレファレンスに当たり、このツイートがバズってるということは、まだまだ世の中の認知度が低い業務といえる。「東京のまあまあ大きい図書館」だったのに。

 

 

司書さんの業務は、利用者が本を借りたり返したりする際の処理業務だけではない。

 

・資料の収集・整理保管・調査・研究

 予算によりその図書館のテーマに沿った蔵書の構築
 資料を収集し書誌情報を整理する 
 それを元にしたオンラインによる蔵書データベース(OPAC)の提供
 専門図書館では所有資料を元にした研究も行う

※ 例:

東洋学文献類目:京都大学管轄の東アジア人文情報学研究センターが主宰する学術文献データベース。東洋史の1936年以降の論文をほぼ網羅している目録。

【センターが受け入れた学術雑誌に掲載された中国学関連の論文及び センター所蔵の単行本(書評論文の対象となっている図書も含む)を、 年次ごとに分野別に整理した文献目録データベースの冊子版】

リンク:Bibliography of Oriental Studies on the Web [Version 7.4α]

 

・利用者への啓蒙・啓発

 児童書の読み聞かせ
 テーマや季節による本の展示・貸出
 広報活動

 

・レファレンス業務

 ーーー上記参照。

館内資料を活用し、また他図書館と連携して専門司書が問題解決にあたる。

 

 

 

要するに世の中では司書さんは本の貸し借りカウンターにいる人ってイメージが強いのかなあ?

図書館で働く職員は色んな人がいるが、その職員 = 司書ではない。

むしろ、非常勤職員も多いのが実際の現場だと思う。

そしてレファレンス業務が行えるのは資格を持った司書であり、現実には図書館における司書の在籍率は低いのが現状で、それが世間の認知度の低さを招いているし、全ての原因は図書館および芸術・学術分野への予算の低さが背景にあると思う。

 

もう一度言う。事務員Gさんが行ったのは

「東京のまあまあ大きな図書館」

でありそこになら各分野の専門司書さんがいただろうと思われる。

しかしこれは全国に共通する点ではなく、そんな恵まれた施設はほんの一握りである。

 

事務員Gさんが言うように、

「司書さんはすごい」

のであって、とにかく

「図書館へ行ってみよう」

という意見には全く賛成だ。

 

 

ネットの功罪と司書業務の意義

しかし図書館は特に自分の地元では活用されているとは言い難い。

地域の住民に無料で開放されている資料があるのに?そこに行けば得られない知識は無いのに?

なんでか。

・ネットの隆盛により紙ベースの資料は使われなくなった、また読まれなくなった

・わざわざ本を借りに、また調べ物に図書館に行かなくなった

ことが挙げられるだろう。

すると必然的にレファレンスサービスを利用する人も減っていると思われる。

 

自分もネットがブロードバンド回線で使いやすくなってから、特にスマホが使えるようになってから、つまり10年前くらいから調べる=ネットであることが多くなってきた。

分からないことがあると考えるよりも秒で調べてたのだが。

地図と国語辞典と漢和辞典は手放せなかったのだが。

そういう資料が手元になくてもネットでは便利に情報が手に入る。

特に手軽さ、最新情報の速さ、画像や動画などを組み合わせた調査能力においては他のメディアを遥かに凌駕し、全く追随を許さない。

 

ググる」という言葉が使われて久しいが、これは「Googleで検索する」という言葉の略語のようだ。そのくらい調べ物をするならネット、という手法は市民権を得ているらしい。

 

でもネットには致命的弱点があるのだ。(これは図書館好きな自分の贔屓目ではない)

それは情報の正確さだ

情報の発信源はネット上においては様々であり、マスコミ発信であっても個人発の情報でも眉唾ものの噂、流言蜚語などが多く混じってそれを見分けるのは不可能な場合もある。また、転載や伝聞により事実が歪曲されて伝わったりする事もある。

あらゆる分野の情報を網羅するネットにより百科事典の類は不要であるとの意見もあるが、ではネットは万能かというとそうともいえない。

 

また検索する人の主観が入ることによる、無意識の調査漏れもあるだろう。

検索方法には and 検索や or 検索を駆使して事実に近い情報をピックアップする技術が求められるが、あくまで検索ワードを選ぶのは人間であってネットではない。

 

レファレンス業務が活躍するとすればこういう場合においてだろう。

自力では調べるのに限界があるとき。

調べたい内容が専門的でどこをどうやって調べたらいいのかわからないとき。

 

こういう時に、図書館は便利なのである。

紙の資料は逆に言えば最新の情報ルートには乗らないものも網羅している。

事務員Gさんのように地域的な情報はその地元でないと資料を持ってないこともある。

専門的な内容は専門図書館に行かないとないかもしれない。

(美術館や科学系博物館の附属図書館、大学図書館など)

 

図書館同士でも資料の活用において連携したりするから、個人で調べるよりは調査の精度が上がるのは間違いない。

 

結局自分も事務員Gさんと言いたいことは一緒である。

司書さんてすごいんだよ。

みんなもっと図書館行こうよ。

 

静かなところで雑誌読むとかの目的でもいいじゃん。

エアコンついてるから行く、でもいいんだよ。

 

そんな暇が無いなら?たいていの公立図書館は住民にオンライン蔵書目録を公開してるから、蔵書があるかどうか、貸出中かどうかわかるはず。

 

もし貸出中なら?

次に借りたい人ってことで予約ができるはずだ。それがネットで可能かどうかは図書館によるかもしれないけど。

蔵書がなくても、他館から取り寄せ可能かもしれない。

 

前提としてこれらのサービスは基本的に住民へ向けて税金を使って無料で提供されているのだ。

もっと図書館の資料を手足のように使いこなしてみようよ。

使いようによってどのようにでもなる施設なんだ。

あそこは単なるハコモノ施設でもないし、司書さんは単に座ってるだけではない。

図書館って。

知りたいっていう好奇心が刺激され、満たされる面白い場所なんだよ。

 

 

今みたいに住民に開かれた図書館になる前はーーー。

 

 

そもそも近代までは、というかヨーロッパにおいてはルネサンス期にグーテンベルクにより印刷術が発明されるまでは羊皮紙という羊の皮に書いた本でそれも聖書が大勢を占め、ものすごく本というのは貴重なものだった。権力者が集める財産みたいな側面があった。それは博物館とか美術館の所蔵品にも言えることだけど、近代になるまではそういう貴重品は市民の利用に供されるものではなかった。

 

↓イメージ(写真が)

 

こういう昔の図書館というのは威厳とか静謐さは感じるが、全ての市民に明るく開かれた施設という方向性は感じられない。書棚も威圧的に高くてとても手に取って見やすい場所とはいえない。どちらかといえば権力者がコレクションを誇ってた名残が見える。

 

 

 

では住民に開かれた図書館とは?

 

2022/7/16に移転オープンしたばかりの石川県立図書館

 

上記の通り開架数30万冊、書庫も含めた収蔵能力は約200万冊。

各所にちょっと読めるスペースと椅子。

書架もデザイン的。

興味を引く配置。

まだ新築で評価されるのはこれからだと思うけど、コンセプトとしては図書館の概念をいい感じでぶっ飛ばしてて面白いんじゃないでしょうか。

建物にふんだんに光を取り込みつつ、書架には当たらないように工夫されている。

日光は資料の劣化のもとなので、そこを考えて設計されてるのがすばらしい。

 

 

 

うどん県は図書館ほか文化がほぼ絶滅しているので省略。

でも地元なので、調べ物をする時にはまず県立図書館へ行くけど。

 

 

 

金沢と同じ規模の県立図書館が海の向いのO県にある。

開架図書30万冊、閉架図書150〜200万冊。

専門分野の司書さんが7人いてそれぞれレファレンス業務に対応してくれる。

蔵書検索も県内の他の図書館と横断して検索できる。

ホームページの岡山大百科もすごい。

児童書も13万冊所有していて書架も閲覧スペースもかわいくて利用しやすい。

とか色々で、年間利用者数は毎年100万人を超えているとのこと。

自分もコロナ以前はここにフラッと行っていた。

 

★図書館を横断して検索するだけでなく、受け取る図書館も選べる。

 

★ビジネス目的ユーザーへのアプローチ。

 

★地元の情報もどんどん発信。

 

★他図書館、たとえば学校図書館との連携も盛ん。

 

県を代表する公立図書館として、県内の公立図書館の紹介も網羅。

※特に市町村立図書館は本館と分館があるところも多く、より身近に利用されている。

 

ビジュアルつきで行ってみたくなる。もれなくタグも付けている。

 

 

目的があれば最強の味方になってくれるところ、

目的がなくても色んな意味で楽しめるところ。

 

というより利用する人の数だけ楽しみ方がある、

それが図書館。

 

時間がなくて忙しい世の中だけど、

たまには行ってみようよ、図書館。